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私はこうして悲しくないふりをする

あったものがなくなる。
いた人がいなくなる。
できたことができなくなる。
それを人は悲しいと思う。
でもいつまでも同じ、なんてものはない。
なかったものができる。
いなかった人が来る。
できなかったことができるようになる。
それを人は嬉しいと思う。
でもいつまでも同じ、なんてものはない。
できては消え、来ては去り、の繰り返し。
それ自体に良し悪しはない。
春夏秋冬に良し悪しはない。
生老病死にも良し悪しはない。
良し悪しは人間が感情で判断する。
その感情とて常に変わりゆく。
親も兄弟も 私も いつかはいなくなる。
そしてまたどこかで同じようなヒトが生まれる。
地球も太陽も、いつかはなくなる。
そしてまたどこかで同じような星が生まれる。
この宇宙もいつかはなくなる。
そしてまた同じような宇宙が生まれる。
ぐるぐる。ぐるぐる。
ふと鏡に映ったわが肌のハリのなさに驚くとき
推しバンドのメンバーが
病気で二度と歌えなくなったのを知るとき
週に3回は通っていた近所のスーパーが
ついに閉店するとき
帰省して母の歩ける距離が
また短くなったのを見るとき
私は 宇宙の輪廻まで思いを馳せて
むりやり悲しくないふりをするのです。

いつまでもあると思うな近所のお店。さようなら、お世話になりました。

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