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小さなドットが、うねりに変わる時。



「知らないうちに決まってた」神宮外苑再開発


この4月には、建築家 大橋智子さんのお話を聞きながら神宮外苑ウォークに参加してきました。フィールドワークを通じてあらためて神宮外苑の創立ビジョンの具体性、コモンとして100年の歩みと設計意図をわかりやすく感じられました。

大橋智子さんは、文化学院、東京中央郵便局、中央区立明石小学校などの建築保存活動にもかかわってこられた方です。
日本各地の街路樹を切ったビッグモーターを買い取った伊藤忠さんのビルがこの約2倍(190m)に建て替わるの笑えない話でっす。



弊社 株式会社 PARK STARS のオフィスはそのビジョンの通り「最高のPARK」が近くにある場所を2011年に選びました。徒歩5分ふらりと歩けばたどり着く都心のオアシスが神宮外苑です。弊社にお越しになられた方もよくお連れしたりします。

そう。神宮外苑とは、昨年3月28日に亡くなられた坂本龍一さんも都知事に存続を訴えた「明治神宮外苑」のことです。

日本中から勤労奉仕で集まった方々の植樹、そして市民に開かれたスポーツのための施設やオープンスペース。たぶんこの規模で民と公が一緒に作り上げたオアシスは日本にないんじゃないかな。

神宮外苑再開発は、昨年2月に施行認可、3月より着工開始・・・

有名なイチョウ並木の一部を含む樹齢100年の樹木たちが1000本の伐採や無理な移植。そしてニョキニョキたつ予定の巨大ビルたち。謎のコンサートホールに市民スポーツ施設の排除。

ふつうはここまでくると諦める局面です。でもね。この1年の間にドドッと「うねり」が生まれてきているのです。


社会的共通資本は「時間」が育む。


この明治神宮外苑に限らず、コモンズ(社会的共通資本)=ゆたかな社会に欠かせない共有財産について、社会的共通資本の提唱者 宇沢弘文さんの長女で、宇沢国際学館 代表 占部 まり氏さんはこのように述べています。

社会的共通資本は、ゆたかな社会に欠かせないものは、国やその地域が守る必要があり、市場原理主義にのせ、利益を貪る対象にはしてはならないという考え方です。生物の生存に欠かすことのできない、空気や水といったものから、医療や教育といった様々な必要度が高いものは、需要が途切れることはありません。制限がなければ、いくらでも値段をあげることができます。そうなると、経済的弱者の手に届かないものとなってしまいます。そうではなく、社会的共通資本に、平等にアクセスできることが、社会の安定に繋がり、それこそが、経済がゆたかに循環する基盤になるという考え方です。

市場原理主義は、ある場所や資源の搾取をスピーディに行うことで利潤を最大化するシステムです。本来は、市場原理主義を抑制しコントロールするのが行政機能なのですが、現在の日本はそのような行政能力が失われ、むしろ市場原理主義とタッグを組むような動きが主流になってしまっています。

そうなると、民間事業者・行政とは別に、社会的共通資本を自治運営するセクターやシステムを社会に実装していくことが求められていると感じます。

話を戻して、この1年間の「うねり」といえば。

サザンオールスターズは、神宮外苑に想いを寄せる「Relay~杜の詩」を発表。村上春樹さんも再開発に反対を表明。ぼくの大好きな 椎名誠さんや浅田次郎さんも。

そして、ユネスコの諮問機関イコモス本部からはヘリテージ・アラートが発せられました。 

海外メディアでも大きく取り上げられ、東京都知事もしぶしぶ事業者へ伐採の一時延期を要請。事業者も工事は進めるものの樹木伐採については慎重に世間の様子を伺いながっている段階です(イマココ)

自然資本・文化資本・社会インフラは、いずれも「長い時間」をかけてに保全・育成され社会システムの中に溶け込ませてきているものです。

市場原理の求める時間軸と大きく違うからこそ、コモンズの運営には、長尺時間の価値を考慮に入れた新たな市民自治の力が必要なのではないでしょうか?

それぞれの場所で、それぞれのコモンを。


コネクティングドッツ、とはよく言ったもので。

先日、都知事の学歴詐称疑惑を訴えた元側近の小島敏郎さん。「神宮外苑再開発、あれおかしいだろう」という仲間と打ち合わせの際に偶然そちらの方の話題になったのが訴えのきっかけだそうです。都知事からしたら1年前に坂本さんの手紙をスルーした神宮外苑再開発の話題から1年後に自身への特大の訴えがやってきたというわけです(汗)。

小さなドットがだんだん、ドドッとうねりだしています。
このうねりは中身は違えど、日本・世界いろんなところで感じます。

4月の神宮外苑のゴミ拾いをみんなでした後に、満開のボタン桜。

それぞれのドットが立場主義やら前例主義をポイッとして軽やかに動く。

ドットは ぼく、あなた。
ドットなりに けっこう動けるもの。

それぞれの場所で、それぞれのコモンをみんなの手に。

MAKE, SHAKE, COMMONS なのです。




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