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コロナ時代、情報消化不良の私とあなたへ - スケールと時間を合わせて自分の問いを考える

コロナウイルスの感染拡大は我々の情報収集・情報処理・抽象思考に今までにない質的・量的負荷を与えている。

地域ごとの感染者数、感染防止の方法、政府のロックダウン指針、企業・家計救済の助成金などなど、日単位どころか時間単位で目まぐるしく移り変わる情報を、あらゆる人が注視し、処理している。 (数十億人が対数グラフを毎日当たり前のように眺める世界を誰が想像しただろうか。)

そして一方ではポストコロナの世界を形作るコンセプトが百花繚乱のごとく生まれている。

ユヴァル・ノア・ハラリはポストコロナの世界を決定する2つの選択として、全体主義的監視/国民の権利拡大、ナショナリズムに基づく孤立/グローバルな団結 をあげている。
安宅和人氏は社会のあり方としてOpen(開) / Close(閉) x Concentrate(集中) / Disparse (分散・疎)という2つの対立軸を用意し、コロナはClose x Concentrateという近代・都市そのものの価値を揺るがすとした上で、ポストコロナの日本再生の方向として"開疎化”(OpenでDisparseな世界)というコンセプトを掲げた。

情報過多で消化不良のゲップが出て、目と耳を閉じて寝てしまいたい人が続出するだろう。あるいは心と頭を麻痺させて流れに身を任せるままにしたくもなるかもしれない。
僕もその一人である。
でも、考えてみればこれほど知的にチャレンジングな状況はそうそうないのである。(Challengingという単語は、"難しいけど面白い"という両義的な意味を持つ言葉でwithコロナ、ポストコロナの時代にこれほど適した言葉もない)

この記事は、胃もたれしかかった自分がきちんと目と耳を開いて歩みを進めるための指針として書いている。同じような気分の方の参考になれば幸いである。

さて、最近僕が意識しているのは、
スケールと時間を合わせて、自分の問いを考えること
である。
コロナのような他要素が絡むダイナミックな状況において難しいのは、
①あらゆるスケールとあらゆるタイムスパン(時間)の情報が混在して投げ込まれ、それらが絡み合っていること
②そのうち自分にとって重要な情報がなにかを判別しにくいこと
である。
それぞれの難しさにどう対応していくかを考える。

スケールと時間を合わせる

①あらゆるスケールとあらゆるタイムスパン(時間)の情報が混在して投げ込まれ、それらが絡み合っていること
については主体のスケール、タイムスパンで情報を選り分けることを考える。

<主体のスケール>
その情報がどんなスケールの主体に関するものなのかを考える。個人に向けられたもの、企業に向けられたもの、国家や全人類に向けられたものでは扱いが異なってくる。そのスケール(大きさ)に応じて3つの階層を用意する。
・個人・家族:最も小さいスケールで、自分と家族に関する情報である。生物としての命を守る、日々の生活をどう営むかという話がこれにあたる。
・企業:いわゆる仕事に関する情報である。自分の会社、事業の環境を左右するような情報。(自分にとってはMYCITYがそれにあたる)
・自治体・国・世界:政策的な意思決定あるいは”資本主義” といった抽象的な価値観やシステムに類する情報。(自分にとっては東京都・日本・国際協力体制がそれにあたる)

<タイムスパン>
その情報がどんなタイムスパンについて言及しているのかを考える。外出自粛のような今すぐの話と今後の生き方のような長期スパンの話では情報の処理の仕方が異なる。ここでも3つのスパンを用意する。
・短期:初期のオーバーシュート抑制期間についての情報。おおまかに2020/3-6月としている。
・中期:コロナの驚異が過ぎ去らないが折り合いをつけて未来のことも考え出す期間についての情報。おおまかに2020年/7-12月としている。
・長期:今後10年の価値をどう作って方向づけていくかを考える期間。おおまかに2021年~としている。

マトリクスで表すとこんな形になる。

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自分の問いを考える

②そのうち自分にとって重要な情報がなにかを判別しにくいこと
については3x3のマトリクスに自分にとって優先的な問いを3つくらい考えることで”この問に答えうる情報”をフィルターする。
この”自分にとって”というのが肝である。子育て家庭と一人暮らしでは全く気になる情報は異なるし、飲食店オーナーと医療関係者でも違う。優先的な問いとは、自分の今後の行動・意思決定に直接的・間接的に影響を与える、あるいは自分が影響を及ぼしうる事象のことで、これが”気になる/興味”という形を取って現れる。

僕は一人暮らしで、オフィス・都市・働き方についてのIoTのスタートアップ(15名規模)を経営していて、東京に住み、グローバルなコンセプトにも興味がある。そうすると僕にとっての(現時点での)優先的な問いは以下のようになる。(けっこう赤裸々だが具体的な方がイメージが付くと思い載せている)

withコロナ・ポストコロナの世界で考えるべき問い (石田版)

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これは自分にとっての今後の道標みたいなもので情報のinput/outputはこれを参考に行っていく。(ポストコロナのワークスタイルについては先日既に記事を書いている。) 興味の対象が重なっている方はぜひ議論・情報交換させていただきたい。
なお、この問いは徐々に更新されていくべき前提で常にベータ版である。

(自分で書いてみて思ったのだが、社会的に重要と思える問は自分にとって必ずしも優先的な問いではなかったりする。例えば"どのようなワクチンが開発されどのように配布されるか"というのは自分にとっての優先的な問ではない。社会的に超重要な問いであることは間違いないが、バイオケミカルの知識を持たず医療関係者でない自分がこの領域の最先端の情報を逐一獲得しても具体的な行動が伴わないと思ったのだ。)

状況が変わり情報が溢れる中でどう情報を選別・判断し、どう行動していくか。価値観もシステムも変わりあらゆるものがゼロベースで問い直されている今こそ一人ひとりが自分自身の頭と体をフルに活用して生き抜いていくことが求められている。


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