Ryé

旅についてのエッセイ『一度は行きたいあの場所』、語学のあれこれに関する『語学の散歩道』…

Ryé

旅についてのエッセイ『一度は行きたいあの場所』、語学のあれこれに関する『語学の散歩道』と『原書のすゝめ』などのシリーズを連載中。語学と取り組む日々です。 (現在キャパオーバーのためフォローバックをしておりません。大変申し訳ありません…)

マガジン

  • 原書のすゝめ

    語学は楽しい♪ +読書は楽しい♪ =原書は楽しい♪♪ をコンセプトに記事を書いてみました。Let’s enjoy reading in the original language, shall we? 投稿は不定期♪

  • 語学の散歩道

    語学と触れ合うことで出会った人、気づいたことや感じたことを綴ったエッセイ集。日々の生活にちょっとしたと彩りを与えられたら、という願いを込めてしたためました。毎月20日投稿予定。

  • Le jardin de l’écriture

    木曜日の夜のせいなのか、テーマのせいなのか、私たちの「文学で学ぶ表現力」のクラスは常に絶滅危惧種に指定されている。毎回さまざまな仏語圏の作家の作品を読みながら、課題の作文を通して表現力を身につける授業のまとめ。課題の仏文学の抜粋と作文を掲載しただけのシンプルな内容です。毎月20日掲載。(クラスが存続している限り掲載予定!) 全10話。 Bienvenue au monde de la littérature française!

  • <ロダンの庭で>

    心に浮かんだあれこれを綴ったエッセイ集。 不定期投稿。

  • 創作の小沼

    うっかり作ってしまった創作物たちを放り込んだ小さな沼。創作のインスピレーションは果たして沼からも生まれるのでしょうか?

最近の記事

  • 固定された記事

旅のはじめに

 人生は、ときに旅になぞらえられる。しかし、果たしてそうだろうか。私は、日常生活の中に旅を見出すことはない。むしろ、旅は平凡な日常から抜け出す手段だと思っている。むろん、中には毎日エキサイティングな生活を送っている人もいるだろうが。  旅は、さまざまなものを与えてくれる。トラブルでさえ良い経験になる。以前の自分よりもっと成長することができる。だから私は、ときどき旅に出たくなる。こんなわけで、旅の感慨を残すためにこれまでのエピソードをここに綴ろうと思う。普通なら時系列的に並べ

    • 原書のすゝめ:#24 The Secret Adversary

      1915年5月7日、アイルランド沖を航行中のイギリスの大型客船ルシタニア号が、ドイツの潜水艦によって撃沈された。Uボートから無警告で魚雷が発射され、ルシタニア号は20分足らずで沈没、乗員乗客1198名が死亡した。このうち128名がアメリカ合衆国の民間人であったことから、国内で一気に反ドイツ感情が高まる。ところが、同国は依然として中立を維持、その後、ドイツが再び無制限潜水艦作戦を開始したため、1917年、ついにアメリカは第一次世界大戦への参戦を決意した。 Agatha Chr

      • <ロダンの庭で> USBメモリと私

        人の出会いとは、不思議なものである。 おそらく多くの人にとって、相性の良い美容師と歯医者は見つけるのは難しい。 私は虫歯がないので、歯医者とはとんと縁がないが、美容師の方は長いことノマドだった。 ところが、偶然入った店でようやくお気に入りの美容師と出会った。途中何回か担当者が変わったが、かれこれもう二十年以上通っている。 ある日のこと、フランスでの短期研修から戻ってきた担当の美容師さんが、水を得た魚のように生き生きしていた。実をいえば、ここ数ヶ月どこか塞いでいるように

        • 語学の散歩道#20 四月の魚

          日本さかな検定というものがあるらしい。 元来、暗記も肩書きも苦手な私は、出世魚の区別すらできない。 先だって、仕事の付き合いで訪れた料亭で美味しい刺身をいただいた。 「これはブリですか?」 と尋ねたら、 「いえ、ヒラマサです」 と返ってきた。 さようで。 ブリもヒラマサもカンパチも、私の目にはまったく同じものにしか見えないのだが、世の中には思いもよらぬ強者たちがたくさんいるものである。 そんな強者の一人が、太刀魚ユウキさん。現在、1級合格を目指して勉強中で、この日

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        旅のはじめに

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        • 原書のすゝめ
          28本
        • 語学の散歩道
          26本
        • Le jardin de l’écriture
          19本
        • <ロダンの庭で>
          5本
        • 創作の小沼
          15本
        • The Traveler’s Time vol.3
          24本
          ¥300

        記事

          Le jardin de l’écriture :#9 四季の香り

          母国語でない言語で文章を綴る。 これは、とんでもなく難しいことである。 ところが、言語の壁をもろともせず文章を操ることができる人々がいる。 それは、作家である。 言葉に対する鋭敏な感覚は、ときに言語の壁を越えることができる。もちろん、母国語と同じレベルで読み書きができる人というのは多くはないかもしれない。 しかし、谷川俊太郎や村上春樹のように、作家でありながら翻訳もできる人々は存在する。明治の文豪、夏目漱石や森鷗外も、やはり外国語が理解できる人たちであった。 なにも外

          Le jardin de l’écriture :#9 四季の香り

          <ロダンの庭で> それでも花は咲く

          海棠の木が倒れたらしい。 母の話である。 裏庭に回ると、たしかに海棠が行き倒れたように横たわっていた。 実は、数年前にも一度倒れたことがある。 その年は大雪が降った年で、雪の重みに耐えきれず、根本から薙ぎ倒されてしまったのだった。 雪が融けると、父が滑車とロープを使って海棠を立て直した。 もうダメだろうと思っていると、その春、海棠は見事な花をつけた。 今回はどうやら春先の長雨で土砂が流れ、地盤が緩んだために根元から倒れたものと思われる。 枝先に膨らんだ蕾が、ようやく

          <ロダンの庭で> それでも花は咲く

          原書のすゝめ:#23 The Suicide Club

          子供の頃に読み忘れた作品の一つ、『宝島』。 大人になってから読んだ気もするが、むしろ覚えているのは『ジキル博士とハイド氏』の方だ。 どちらもロバート・ルイス・スティーヴンソンの作品である。 スティーヴンソンは、スコットランドのエディンバラに生まれた。 父トマスが灯台建築技師であったためか、エディバラ大学ではエンジニアリングを専攻した。その後専攻を法律へ変更し、弁護士資格を取得する。のちに、以前養生のために訪れたことのあるフランスへ渡り、そこで十歳年上のアメリカ人の既婚女性

          原書のすゝめ:#23 The Suicide Club

          語学の散歩道#19 AI vs BI 【前編】

          ドラえもんの道具で欲しいものが二つある。 それは… どこでもドアと暗記パン 子供の頃から丸暗記というものが苦手である。 語学だと、単語を一つ覚える間に三つは忘れている。しかも日を追うごとに記憶曲線のベクトルの降下角度はますます大きくなっている。 しかし、暗記パンを手に入れることはできない。 では、一体どうすればよいのか。 答えは簡単だ。 何度も繰り返して覚えること そして、いまではそれが私の性癖になったようで、同じ映画やドラマを何度も繰り返し見る癖がついてしまった

          語学の散歩道#19 AI vs BI 【前編】

          Le jardin de l’écriture :#8 エデンの園

          Maryse Condé マリーズ・コンデは1937年、カリブ海のフランス領グアダループに生まれ、16歳の時にパリへ移住した。ソルボンヌ大学で英文学を学んだ後、1959年にギニア人の俳優ママドゥ・コンデと結婚し、ギニアで四人の子供とともに暮らしたが、のちに離婚。 1973年に再びパリへ戻り、その3年後、初の小説となる『Heremakhonon』を発表する。1981年に二度目の夫となるRichard Philcoxと結婚後、大学で教鞭をとりながら小説家としてのキャリアを積んだ

          Le jardin de l’écriture :#8 エデンの園

          原書のすゝめ:#22 Kvinden i buret

          昨年の暮れのこと。 興奮のあまり、つぶやきにしてはなかなか大きな声で叫んでしまった。 なんと楽天koboでは、この最新刊が電子書籍で試し読みができるらしい。 もちろん言語は、デンマーク語である。 文法はおろか、単語ですらほぼ未知の言語だ。 ……。 読みたい……。 デンマーク語だろうがなんだろうが、最新刊が読みたい。となると、方法はただ一つ、ここはシャンポリオン法*しかない。 いつのまにかスマホにデンマーク語の英語辞書アプリがダウンロードしてある。ついでに、特捜部

          原書のすゝめ:#22 Kvinden i buret

          <ロダンの庭で> あゝ無常

           ゆく河の流れは絶えずして  しかももとの水にあらず 年の初めに、今年の目標を二つ定めた。  一、積読を減らすこと  一、断捨離をすること ここ数年、毎年目標に掲げているが、年々読みたい本が読み終える本の数を上回り、近づこうとすればするほど蜃気楼のように遠ざかっていく。 このままいくと、永遠に読まれない本がビックバン級に増えてしまう。そこで、今年こそは目標達成を心に誓い、まずは現状分析のために視覚化してみることにした。 はじめに現在未読になっている本を数えてみる。

          <ロダンの庭で> あゝ無常

          今日は広島にこれを買いにきました。 目的を達成し、感無量です。 え? 文学フリマ広島…?

          今日は広島にこれを買いにきました。 目的を達成し、感無量です。 え? 文学フリマ広島…?

          Le jardin de l’écriture :#7 自由意志についての教理問答

          2月22日は猫の日だそうで。 1987年に猫の日実行委員会が制定した日から遅れること三日。 今回の課題は、Joann Sfar ジョアン・スファールの『Le Chat du Rabbin』(邦訳:『長老の猫』)というBD。 ある日、ラビ(ユダヤ教の長老のこと)の飼い猫は、おしゃべりなオウムを食べてしまったことから言葉が話せるようになる。オウムはどこへ行ったのかとラビに尋ねられた猫は、「急用で買い物に出かけた」と答えるのだが、口の周りにはオウムの羽がいっぱい。この猫、頭は

          Le jardin de l’écriture :#7 自由意志についての教理問答

          語学の散歩道#18 言の葉を淹れる

          行間を読む極意。 そんな術があるとしたら、ぜひ手に入れたい。 私の上司の指示や報告はとても短くて簡潔だ。 外出先から戻ってきて静かに机に向かっていると思いきや、突然、 「やったおいた」 と、ひと言。 私は「ありがとうございます」と答えながら、一体何を「やっておいた」のだろう、と考える。 そして、きっとアレだなと思いつく。その後で、上司の言葉は右から左へ流れて、やがて滝つぼへと落ちていく。 あるときは、同音異義語のような表現もある。 オフィスへ入ってくるなり、 「うえ

          語学の散歩道#18 言の葉を淹れる

          手に入れました!この絵に見覚えのある方は、一度は「創作の小沼」へ落ちたことのある方々とお見受けいたします… 《ゴンチャロフ 甘味画廊》和菓子ショコラ合わせ『歌川国芳 金魚づくし さらいとんび』 (和菓子ではなく全てチョコレートです。) https://note.com/ryettes/m/m4481ac57504b

          手に入れました!この絵に見覚えのある方は、一度は「創作の小沼」へ落ちたことのある方々とお見受けいたします… 《ゴンチャロフ 甘味画廊》和菓子ショコラ合わせ『歌川国芳 金魚づくし さらいとんび』 (和菓子ではなく全てチョコレートです。) https://note.com/ryettes/m/m4481ac57504b

          【ウミネコ文庫挿絵】創作秘話:転天狐舞

          “二度あることは三度ある” はたしてこの格言は正しいのでしょうか? 昨年、ウミネコ文庫さんへ童話を一本、挿絵を二本寄稿し、2023年はもう何も思い残すことはない、「行く年来る年」の除夜の鐘がいくたび鳴ろうとも私の魂には一鱗の煩悩もない、そう信じて年の瀬を迎えました。 そして、年が明け、今年は読み溜めていた手元の本を読み、新たに物を買い足すこともなく、煩悩とは無縁でいよう、そう誓った2024年の初日。 ところが… まだその舌の根も乾かぬうちに、金剛石よりも固かったはず

          【ウミネコ文庫挿絵】創作秘話:転天狐舞