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グローバル人材の現在と未来

私はバイリンガル人材の転職エージェント、人材紹介事業をシンガポール及び日本で行って5年目になります。日本語以外に、英語や中国語など多言語を操れるビジネスパーソン方々 (いわゆるグローバル人材)と3000名以上転職支援・キャリア面談してきました。今回は私の経験で見えたグローバル人材について共有したいと思います。


グローバル人材の定義

文部科学省による日本人のグローバル人材は下記のように定義づけられています。下記の要件をどれくらい満たしたらグローバル人材と言えるかは不明で、全部満たせる人はいるのかと疑問にすら思う曖昧な定義になっています。「日本人としてのアンデンティティー」という表現は私のような外国人は該当しませんが、国籍はどこであろうが、自らのアンデンティティーを自覚し、自信を持つことは欠かせないということでしょう。

「グローバル人材」の概念を整理すると、概ね、以下のような要素。
要素Ⅰ: 語学力・コミュニケーション能力
要素Ⅱ: 主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
要素Ⅲ: 異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー
このほか、幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能力、チームワークと(異質な者の集団をまとめる)リーダーシップ、公共性・倫理観、メディア・リテラシー等。

(出典)グローバル人材育成推進会議

採用市場におけるグローバル人材

現在、各企業の求人要件ではしばし、「要素Ⅰ: 語学力・コミュニケーション能力」が重視されています。日本人であれば英語どれくらい話せるか、外国人であれば日本語どれくらいであるかを重視して選考しています。ハードスキルとして語学スキルは一番評価されやすいポイントで、語学を活かした仕事がある企業で (日系グローバル企業や外資系企業など) 重宝される人材になります。

しかし、AIなどテクノロジーの発達により、情報の交換としての言語の壁は著しく低くなりました。今や、英語が不得意な方でも、簡単に精度の高い翻訳ツール (最近ならChatGPT) を使って、その言語のプロのように自分の意志を伝えることができるようになりました。よって、言語力そのものが大事ではなく、その言語を話すことで国境・文化を超えてより良好な人間関係を構築し、仕事できるかどうかがキーだと考えます。そのためには、「要素Ⅱ: 主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感」といった、ソフトスキルがより大切になります。簡単にまとめると、オープンマインドで、自ら主体性を持ってチャレンジし、異なる文化を持つ他者とうまく協働できるかどうかということです。私はグローバル人材やバイリンガル人材を採用したい企業様に、語学力・コミュニケーション能力以外に、ぜひこのグローバルマインドを評価項目にしていただくことをお勧めしたいです。

グローバル人材の評価ポイント

面接で語学やコミュニケーション能力以外に、特に下記の3点を見るのが大切です。
1. 主体性や積極性 : 能動的に働けるか
2. チャレンジ精神 : コンフォートゾーンを超え、成長する意欲があるか
3. 柔軟性 : 変化や不確実性に耐えられるか
*各ポジションの専門性はもちろんです。ここでは割愛します。

逆に、語学力があっても、下記のような方は要注意です。
自分の語学力・経験に自信を持ちすぎている
自分の生まれた環境や与えられた環境に不満を持つ
色眼鏡で物事を見る (〇〇人は△△というステレオタイプなど)
この先チャレンジしたい、学びたいことがない
こだわりが強すぎる

未来に求められるグローバル人材

語学が堪能で、国境を超えて活躍できるグローバル人材が求められる場面は確実に増えています。日本でも国境を超えたビジネスは当たり前になってきました。以前はグローバル人材が活躍する舞台は大きなグローバル企業でした。しかしながら、今ではスタートアップ企業でも、スモールビジネスでも、パソコン1つで世界中に商品やサービスを届けられるようになりました。

未来に求められるグローバル人材は下記のようなことが必要だと考えます。

1. 専門性

未来と言わず、今でも求められている人材は専門性を持つ方です。専門性xグローバルスキルによって人材市場で差別化を図ることができます。専門性は特定の業界そして職種で培えます。複数の国、業界、職種を跨いで活躍できる越境人材になれれば、なお良いです。

2. 多様な働き方と価値提供

外資系やグローバル大手企業だけでなく、グローバル人材が活躍できる場面が増えてきました。スタートアップ企業が創業初期 (創業メンバーや責任者レベル) に海外経験がある人材を確保することで、グローバルな視点で事業を推進できたり、正社員の仕事をしながら副業や起業をしたりすることで、より多様な視点を獲得しながら社会へ価値提供することができます。

私の願い

企業側には、育てるべきグローバル人材を見極め、適材適所に仕事をアサインすること。その人の強みや志向性と会社の事業の方向性が合致してはじめて事業が成功し、社会に価値を届けられると思います。
働く側には、自身の専門性や強みを育て、変化に適応し、積極的にリーダーシップを取れること。どこに行っても活躍できる方、多方向に価値提供できる方が増えることで、日本がより世界に近くなることを願っております。

最後に

グローバル人材(越境人材)の採用戦略、スタートアップの採用、人材戦略xグローバル戦略について随時、相談やブレーンストーミングを受け付けております。関心がある企業様がいたらお声がけください。

Be Global, Be Yourself. 
周 如意 / Ruyi Zhou
WeGlobal Inc.
HP: https://weglobal.co.jp/



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