やまちゃん | 司書

某私立大学で司書をしています。 固いことや、ゆるいことなど、硬軟おりまぜて投稿します。…

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某私立大学で司書をしています。 固いことや、ゆるいことなど、硬軟おりまぜて投稿します。 よろしくお願いします。

最近の記事

映画『オッペンハイマー』

映画『オッペンハイマー』 (2023年/アメリカ) 原題:『Oppenheimer』 監督:クリストファー・ノーラン 脚本:クリストファー・ノーラン 製作:エマ・トーマス、チャールズ・ローヴェン、クリストファー・ノーラン 出演者 :キリアン・マーフィー 原爆を作った男の栄光と悲劇を描いた伝記映画。 うーん、少し作り込み過ぎている映画かなと思った。戦争中に原爆を作成する過程と、戦後にソ連とのスパイ容疑をかけられ公聴会で追及される場面が交差して描かれているが、公聴会が分かりにく

    • 映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』

      映画『ボブ・マーリー:ONE LOVE』 (2024年/アメリカ) 原題:『Bob Marley: One Love』 監督:レイナルド・マーカス・グリーン 脚本: テレンス・ウィンター、フランク・E・フラワーズ、ザック・ベイリン、レイナルド・マーカス・グリーン 製作: ロバート・テイテル、デデ・ガードナー、ジェレミー・クライナー、リタ・マーリー、ジギー・マーリー、セデラ・マーリー 製作総指揮: ブラッド・ピット 出演者:キングズリー・ベン=アディル、ラシャーナ・リンチ ジ

      • 本『ハンバーガーとは何か?歴史、調理技法、ビジネスから読み解くハンバーガーの“本当の姿”』/白根智彦

        本『ハンバーガーとは何か?歴史、調理技法、ビジネスから読み解くハンバーガーの“本当の姿”』/白根智彦、読了。 とても面白かった。ハンバーガーの定義から始まり、その歴史、日本ならではのハンバーガーの進化、調理方法、ハンバーガーにまつわるビジネスなど、ハンバーガーに関することがテンコ盛りの一冊である。 ハンバーガーの歴史においてチンギス・ハーンが出てくるのも驚いたし、グルメバーガーと呼ばれるハンバーガーがあることも知らなかった。 本書の肝はハンバーガーの調理方法であろう。ビルド

        • 映画『シンドラーのリスト』

          映画『シンドラーのリスト』 (1993年/アメリカ) 監督:スティーヴン・スピルバーグ 脚本:スティーヴン・ザイリアン 原作;トーマス・キニーリー 出演者:リーアム・ニーソン、ベン・キングズレー、レイフ・ファインズ スピルバーグが描く、ホロコーストの映画。 名作と呼ばれることはある。全編モノクロで撮影された本作品は、静かに胸を打つ、 ユダヤ人があまりにも簡単に殺されていく当時のドイツ。その中で命がけでユダヤ人を救っていくシンドラー。最初は金儲けのためにユダヤを雇っていたが、

        映画『オッペンハイマー』

          本『夜と霧』/ ヴィクトール・E・フランクル

          本『夜と霧』/ ヴィクトール・E・フランクル、読了。 第二次世界大戦中、アウシュヴィッツの強制収容所に送られ、奇跡的な生還をはたした精神科医である著者が、強制収容所での生活を記した著書。 強制収容所の中という絶望的な中でも生きる喜びを語るくだりは、色々な示唆を与えてくれる。生きる環境に人間は振り回されるが、それでも生きることの意味を教えてくれる本である。恩師に薦められて読んだが、大いに感動した。 人を生きさせるのは、他人への愛、仕事への献身といったことを通して人の役に立つ

          本『夜と霧』/ ヴィクトール・E・フランクル

          映画『エル・スール』

          映画『エル・スール』 (1983年/スペイン) 監督:ビクトル・エリセ 脚本:ビクトル・エリセ 原作:アデライダ・ガルシア・モラレス 出演者:オメロ・アントヌッティ、ソンソレス・アラングーレン、イシアル・ボリャン 15歳の娘が、いなくなった父を回想し、自身もエル・スース(南)に旅立つまでを描いた映画。 この映画もまた、光と影の使い訳が抜群に上手く、絵画のような映画である。そして少女の真っ直ぐな瞳。ビクトル・エリセはどうしたらこんな瞳を撮ることが出来たのだろうと思ってしま

          映画『エル・スール』

          映画『ミツバチのささやき』

          映画『ミツバチのささやき』 (1973年/スペイン) 監督:ビクトル・エリセ 脚本:ビクトル・エリセ、アンヘル・フェルナンデス・サントス 出演者:アナ・トレント、イザベル・テリェリア、フェルナンド・フェルナン・ゴメス 巨匠ビクトル・エリセ監督の新作『瞳をとじて』の上映記念でリバイバル上映された本作。ビデオでは観たが、スクリーンでは初鑑賞。 美しい映像詩。ほのかに感じる独裁政権への抵抗。 そしてアナの真っ直ぐな瞳。 カメラワークにしても、陰影にしても、独特であり、よくこの画

          映画『ミツバチのささやき』

          「図書館の図書館展」

          写真は都内の区市町村図書館の図書カードの一覧。 バーコードがついているものがほとんどだが、一部にICタグのカードもある。 これを見るだけでも行く価値はあった。

          「図書館の図書館展」

          映画『夜明けのすべて』

          映画『夜明けのすべて』 (2024年/日本) 監督:三宅唱 脚本:和田清人、三宅唱 原作:瀬尾まいこ 出演者 松村北斗、上白石萌音 「何でエンディングを原作と変えたのだろう?」 この映画を観終わった時に最初に思ったのは、このことだった。 映画そのものは、とても良かったです。パニック障害持ちの自分としては、主人公の山添君(松村北斗)が電車に乗れない時の絶望感が伝わってきて、こちらも胸が痛くなった。 また藤沢さん(上白石萌音)のPMSの症状もよく伝わってきた。この二人の、決し

          映画『夜明けのすべて』

          映画『瞳をとじて』

          映画『瞳をとじて』 (2023年/スペイン) 原題:Cerrar los ojos 脚本・監督:ビクトル・エリセ 出演者:マノロ・ソロ、ホセ・コロナド、アナ・トレント 22年前に失踪した友人を探してゆくと。。。という物語。 素晴らしい作品だった。169分の映画だが、長さを感じさせない。無駄なカットが一コマもなく、音楽も映像に寄り添っている。映像はどのシーンも美しく、最後、結末は「観客がイメージして下さい」と投げかけるような終り方も良い。 印象的だったのは、出演者たちの座

          映画『瞳をとじて』

          映画『ストップ・メイキング・センス 4K レストア』

          映画『ストップ・メイキング・センス 4K レストア』 (1985年/アメリカ) 監督: ジョナサン・デミ 音楽: デヴィッド・バーン、 トーキング・ヘッズ、 ティナ・ウェイマス、 ジェリー・ハリスン、 クリス・フランツ 出演者:トーキング・ヘッズ アメリカのロックバンド、トーキング・ヘッズのライブ・ドキュメント映画。 キャリア絶頂期にいたトーキングヘッズが1983年12月にハリウッドのパンテージ・シアターで敢行したライブの模様を収録。 とにかく躍動感が凄い。デビット・

          映画『ストップ・メイキング・センス 4K レストア』

          映画『ゴールデンカムイ』

          映画『ゴールデンカムイ』 (2024年 / 日本) 原作: 野田サトル『ゴールデンカムイ』 脚本: 黒岩勉 監督: 久保茂昭 出演者:山﨑賢人、山田杏奈 アイヌのことを取り上げた漫画があると知ったのは、随分前のことだ。興味を持ち、読んでみた。とても面白かった。何より、アイヌ文化を丹念に調べてあることが良い作品だと思った。 その作品の実写化が本作である。 原作にかなり忠実に作ってあった。もちろん原作にはない、映画ならではの部分もあるが、うまく原作のエッセンスを映像化していた

          映画『ゴールデンカムイ』

          映画『哀れなるものたち』

          映画『哀れなるものたち』 (2023年 /アメリカ・イギリス・アイルランド) 原題:Poor Things 原作:アラスター・グレイ『哀れなるものたち』 脚本:トニー・マクナマラ 監督:ヨルゴス・ランティモス 出演者:エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー シュールなSFラブコメ映画。 不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。「世界を自分の目で見たい」という強い欲望

          映画『哀れなるものたち』

          映画『サン・セバスチャンへ、ようこそ』

          映画『サン・セバスチャンへ、ようこそ』 (2022年 / アメリカ・スペイン・イタリア) 脚本・監督:ウディ・アレン 出演者:ウォーレス・ショーン、エレナ・アナヤ サン・セバスチャンで開催される映画祭を舞台にした、ロマンテッィク・コメディ。 年配の夫婦におきるすれ違いと、新たなロマンスを軸に描いた、コメディ映画。この作品の特徴として昔のヨーロッパの映画へのオマージュがある。そこの部分が分かるとこの映画は楽しく鑑賞できると思う。 ウディ・アレンのコメディ映画は自虐的な笑

          映画『サン・セバスチャンへ、ようこそ』

          映画『枯れ葉』

          映画『枯れ葉』 (2023年/フィンランド・ドイツ) 脚本・監督:アキ・カウリスマキ 出演者:アルマ・ポウスティ、ユッシ・ヴァタネン すれ違う中年の男女の物語。 主人公達はいわゆるエッセンシャル・ワーカー、勝ち組の人々ではない。 そんな男女が出会うが、そこで一気に恋が燃え上がるのではなく、徐々に距離を縮めたり、すれ違ったりする。 この年になって思うが、年齢を重ねた後の恋は不器用であり、勇気が必要だと思う。この主人公達も社会的には負け犬の部類に入るかもしれないが、でも生きて

          本『夜明けのすべて』/瀬尾まいこ

          本『夜明けのすべて』 / 瀬尾まいこ、読了。 パニック障害の男子とPMSの女子の物語。 パニック障害持ちの自分としては、小説に出てくる主人公のパニック障害の症状と自分の症状の感じ方は少し違うかな、とは思った。私の場合、パニック障害の症状がでると、心臓がとにかくバクバクして耐えられない、という感じなので。 ただ、そういった些細な事はどうでもよいくらい、小説は素晴らしかった。 瀬尾まいこさんの書く主人公は何かいつも困難を抱えているが、必ず結末には救いがある。読んでいて勇気づ

          本『夜明けのすべて』/瀬尾まいこ