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公務員ストレングスの祭典「キャリア×強み」レポート後半

前半はこちらです。

「自分らしい強みの育て方」

「強みとの出会い方」

キャリア形成の上では、強みは誰にでもあるものだと思います。ただし、この強みが厄介なのは、私にとって「できて当たり前」のことなので自分では気付きにくいところです。どういうことかと言うと、例えば、仕事をしていて、エクセルで大きなデータを集計するのが得意な人に、エクセルのデータの集計とその元となるアンケートの結果を渡しておくと、もう1日でも2日でも1週間でも、ずっとそのエクセルを楽しそうに叩いているんだと思うんですよね。その間没頭して、ずっとその人は楽しくやってくれたりするんですけど、本人にとってそれは当たり前なんですよね、何の苦もなく、「アンケートの結果をもらったら集計するのは当たり前でしょう」と。こうやってフラグ立てて、こうやってマクロ組んだりとか、当たり前にする。

でも、世の中にはそういったことができない人もたくさんいるわけなんですね。そう思うと、自分ができることというのは当たり前過ぎて、それが人と比べて自分のほうができるかできないかは、結構見えてなかったりします。強みと出会うには、強みは誰にでもあるということと、でもそれは見えにくかったりするということを知った上で、「他者の目」とか、「自分の経験の客観視」を使うことが、有効だったりします。

強みとどう出会う?

自分で振り返るとはどういうことか。キャリア支援の現場でこんな聞き方をすることがあります。「学生時代から今まで親友達、同僚、上司から褒められたり、感謝された場面をたくさん挙げてください。」そうお伝えしたりします。そうすると、さっきのエクセルの例みたいに、「『こんなところまで集計してくれてありがとう』と言われたことがすごく嬉しかった。」とか、「『文章書いて整理するのを、すごく緻密にやってくれてありがとう』と言われたんですが、私そういうの好きだから全然苦にならないんですよね。」なんて言う人がいます。「時間を忘れて没頭できてしまう作業とか、没頭した経験を挙げてください」という言い方をすることもあります。そうやって自分を振り返っていただく、それをキャリアコンサルタントとして支援することもできます。今日、たくさんのみなさんが愛を語っておられるストレングスファンダーというツールを活用するのももちろん強みとの出会いですし、それ以外の自分の特性とか、強み分析をするアセスメントツールがありますので、そういったものを使うのも一つの手かもしれません。

他流試合で強みを知る

あと私がよくおすすめするのは、越境です。公務員だったら、役所の外、地域でもなにかNPOでも良いと思うんですけど、そういったところに行って他流試合をすることで、「なんか島田さんって、そういったことすごいですね、そういったことできるんですね」と珍しがられると、これってもしかして、自分にとって強みなのかなと気づけたりします。そんなことも強みとの出会い方、見出し方だったりします。

見出した強みをどう育てていく?

それで見出した強みがあるとして、それをどうやって育てていくか。これには2つのポイントを意識しておくと良いと思うんです。一つは「磨く、実践する」ということ。これは素直に教材で学習するみたいなことでも良いかもしれないですし、資格を取って勉強することで磨けるっていう人もいるかも知れない。人によって、いろいろなやり方があっていいと思います。ただですね、大人の学び、社会人の学びは、ぜひ現場での実践をすごく大事にしていただくと、いいんじゃないかなと思います。ただ、磨く機会、実践する機会って、誰かに与えてもらうことを待っていても、なかなかやって来ないんですよね。さっきのアンケートのエクセルの件で言えば、その人がそういう得意なことを持っているって知られてなければ、当然他の人に任されちゃうこともあるかもしれません。そういう時に、「私がやります」と手を挙げられるかどうかは大きいですね。

狼煙を上げる

あとは、知ってもらうということで「狼煙を上げる。」私は、こういうことが好きなんですとか、得意なんですとか、前の職場でもこういったことをやってきてありがたがられたんですとかも伝えておく。狼煙を上げると他の人から任せてもらえる機会を創ることができて、実際に、それを実践し、磨いていく機会を得られるというふうになるかなと。リクルートという会社の、昔の社訓に「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」とありました。創業者の江副さんの言葉なんですけど、まさにそういうことですよね。自分が成長するために、強みを磨くために必要なら、その機会を自分で作るということだと思います。

キャリアコンサルタントが見る強み

そろそろまとめていきたいと思います。キャリアコンサルタントが見る強みを、ここで総括しておきます。強みというのは、ゲームのステータスとか特殊スキルとは、ちょっと違うんじゃないかなと私は思うんです。「強みとは」と話すときに、スキルとか知識を挙げるのは、会話のなかでよくあると思うんです。でも、強みというのは、もうちょっとだけ違う要素なんじゃないかなと私は思っています。ポータブルスキルも、専門性も、人脈も、性格も、スキルや知識も、その人の強みを構成する要素ではあるんですけど、でもそれがどれだけ卓越していても、どれだけ希少でも、世の中にニーズがあっても、ただそれだけでは強みとしてその人の中に存在するわけではないんじゃないかなと。

私もうまく言語化できていないんですけれど、極めて個別性の強いものであって、他者のそれと優劣をつけられるようなものではなくて、その人だけが備える例えば勝ちパターンの再現力みたいなものが、課題とか社会に向き合う総合力として、強みというものなんじゃないかなと私は思っています。それがストレングスファインダーで言えば、34の資質のうちの上位資質の組み合わせだけでも、ものすごく多くの組み合わせがあって、一人ひとりが違う組み合わせで、違う強みを発揮しているんじゃないかなって思うんですよね。そう思いながら、キャリアコンサルタントとして、皆さんのキャリアコンサルティングにあたっています。

小さくまとめ

後半の部分を小さくまとめます。強みというのは誰にでもあるんだよ、でも自分では気づきにくいので、他者の目などを使って客観視することで見つかりますよ、ということ。強みは自ら実践する機会を作り、その機会を活用して磨くことで育んでいきましょうということ。そして、強みというのは単なるスキルや知識ではなく、その人固有の勝ちパターンの再現力と言えるのではないか、ということをお伝えしたいと思います。

最後に、

公務員というのは、人事異動とか人材育成とか、個人のキャリアにとって重要な要素が、比較的、他律的になりがちだと思うんですよね、だからこそ自らの強みを知り、主体的にキャリアを作れる人材であれば、それだけで貴重な人材でもありますし、組織内の様々な場面で影響力を発揮できるポテンシャルがあるんじゃないかと思います。なので、ぜひ影響力を発揮していただけれたら良いなって思うんです。

それでもあえて一言添えるならば、まずは自分自身が主体的にキャリアのハンドルを握っていただいて幸せになること、その先に組織への影響力を発揮するということにも届けばとてもいい組織づくりができるんじゃないかなって思います。自分のハンドルはぜひ自分の手で握っていただいて、自分らしいキャリアを強みによって切り開いていただければと思います。

ありがとうございました。

お知らせ

島田さんの講義のほかにも、公務員ストレングスの祭典では、たくさんのセッションを行いました。

こちらのnoteから視聴できますので、ぜひ御覧ください。


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