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「RRR」インド映画の底力的なものを堪能できる3時間

3時間ある映画なので、時間が合わないのと、体調も合わせなくてはいけないと思い、やっと観ることができた。インド映画史上最高の製作費7200万ドル(約97億円)をかけたというキャッチ。インド映画のお金に関する感覚はよくわからないが、プロレスとサーカスとミュージカルを一緒に見たような満腹感は流石のインド映画であった。そして、バックグランドにイギリス支配下からの解放の話もあるわけで、国威高揚的なものも強く感じさせる映画だ。

舞台は1920年。この間見た「アムステルダム」と似た時期のインドが舞台。イギリスの植民地であり、現地の人間は生活を抑圧され、その格差的なものが分かりやくす描かれているが、抑圧された人間の方から描いたらこうなるのだろう。

最初から、ある村から娘が連れ去られるというシーン。親の目の前で拉致された状況はなかなか見ていてきつい。そして兄のビーム(NTRJr.)が連れ去られた妹を取り返しにいくという話。そして、連れ去られたデリーで、彼を追っているラーマ(ラーム・チャラン)と一緒に列車事故で少年を助け、友人になる。2人が友人になるが、ビームが妹の奪還作戦を行い、それとラーマは戦い、ビームが囚われの身になる。ここまでが前半。

インドではここでインターバルの休憩があるようだが、日本はその文字だけ出て連続上映。ある意味、3時間の映画は途中休みは入れて欲しい。最近集中力が続かない。インターバルの後、時代も場所も全く違う場面から始まるわけで、映画としてもそうするように作られているのを無視する日本の興行方針はよくわからない。

後半はラーマの子供時代から始まる。ここで字幕などの説明が入らないので、正直出てくる少年がラーマかどうかよくわからない。インド人の顔の見分けがなかなかつかないのもあったりする。ただ、ずーっと見ていくとここにこのシークエンスを入れるのはそんなにおかしくはない気はした。話は、ラーマがビームを拷問するが、ビームは何も喋らず死刑になることに。ただ、それをラーマが逃がそうと企む。ビームは女を連れて逃げ、今度は、ラーマが監獄に。

そして、ビームは逃げる途中でラーマの許嫁に出会い、ラーマが祖国解放のために武器を得ようと警察に入った話を聞き、助けに行く。最後は、ビームとラーマがイギリスと闘い、故郷に帰るという大団円。

知らない俳優たちの演技、そして顔の違いがわかりにくいインド人たちの演技ということで、結構辛いかと思ったが、話の展開の速さで見せてしまうとことはすごい。CGもそれなりに迫力を持って迫る構図で迫ってくるし、音楽の入れ方はすごく上手いと思う。その音楽と演技の速度的なものをうまく合わせることによって、アクションが激しく見える感じはすごく勉強になる。あと、火と水でエンターテインメントを盛り上げる感じは紋切型ではあるが、ここまで使いこなせば圧巻と言えるだろう。

結局、見ていると、インド解放に加担している自分がいるわけで、なかなかわかりやすい映画であった。そして、インド映画らしいミュージカルシーンもかなり堪能できたし、他の国の映画では味わえないエンタメのあり方を再確認させていただいた。しかし、この映画イギリスでは公開されているのだろうか?イギリスのトップのサディスティックな役柄は、ここまでやっていいのかと思わせるものだが、まあ、それくらいインド人には忘れてはいけない過去ということなのだろう。

日本でこれを作れとは言わないが、映像制作者にはすごい勉強になる映画であると思ったりはした。そして、もう公開して1ヶ月近くが経つのだが、箱は小さいまでも、平日の昼間にお客さん満席。口コミが効いているのだろうか?興行的なところは気になった次第。



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