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「95(第5話)」 渋谷が自分中心に動くという欲望とさなざまな喪失の間で

桜井ユキは安田顕の娘なのか?という疑問の中のラストで堕ちた松本穂香。この感覚は、二人とも初体験という流れなのでしょうか?この時代の若者は、タバコ、酒、SEXという流れの中で、結局は大人のハードルを越した気になっていたということはあるが、多分、全共闘世代みたいな人たちから見たら、それはガキがもがいているとしか見えていなかったろう。その中間世代の私から見たら、どっちもどっちなのだが。私は、どちらかといえば「しらけ世代」という位置にいたし、タバコや酒やSEXは一つの通過点で、だからなんだというところはあった。SEXに関しては、テレビでおっぱいがいっぱい見られる時代に育ったので、それなりに興味もあり、今のような草食系的な男子は少なかったですよね。

そんなことよりも、このドラマは、なんかアンバランスな1995年に、勉強しか知らなかった高橋海人がチームに入って人生の彩りが変わった。だが、そこでの閉塞感に悩んでいるというところ。リーダーの中川大志に対し、何を考えてるんだかわからない。私から見たら、彼は退屈な金持ちで、だからこそ、喧嘩をしてればうさは晴れるが、自分が何を求めてるのかわからない感じ。そういう輩が七光で議員になって行ったのが今の状況を作ったとも言える。

そう、彼らの喧嘩の向こうには何の生産性もない。バックに流れる安室奈美恵は、確かに一つのムーブメントを起こしたが、それが何だったのか?と問われると、いまだに答えがわからない。彼女は絶頂期で子供を産んで、それからさらにカリスマ性を伸ばすが突然引退。その生き方は今語られるものではないかもしれないが、「何だったのか?」、そして、そのバックグラウンドにいた小室哲哉にしても、歴史には残ったが、その時代の何だったかは答えが見つけにくい。そのくらい、この時代は語りにくい気がする。だからこそ、モヤモヤした高校生が喧嘩をして、渋谷の頂点に立ちたかった?立ったからって何があるわけではない。男にしてもいい女を抱いたからって、その先は見えない。そんなモヤモヤを映像として城定秀夫はうまく纏めているようには見えるが、この不定形さで何を言わんとするのか?というところだろう。

そんな時代に、不感症的に生きているのが松本穂香。こういう役をやらせたら彼女は上手い。高橋とのコンビが釣り合ってるとは思えないが、さあ、ここから彼女の心がどう動いていくのかは面白そう。

で、サマーフェスティバルをやろうと言われ、企画担当を任される高橋。そう、この頃はまだ夏は若者を解放に向かわせたギラギラする季節だった。昨今は、暑すぎて、ギラギラギラギラする世界の中でクーラーの効いた家にいるのが定番でフェスどころではない。そして、その季節に初体験をしないから童貞の高齢者が増えて行っているのだろう。まあ、そんな現代もよくわからない私ではある。

さあ、夏に向けて彼らは盛り上がっていくのでしょうか?

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