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「アンチヒーロー(第3話)」明墨弁護士は裁判の演出をしている?そして彼にとっての正義とは?

長谷川博己演じる明墨弁護士の考えている司法のあり方とはなんなのか?というところがとてもわかりにくくできていることがこのドラマを硬質にしてるのだが、視聴者はついていっているのか?というところは気になる。

前回、明らかに人を殺してる被疑者を無罪にした。それは、検察に対して「仕事をしっかりしろ」と言いたいようにも思えたし、「その事件で悪いのは殺された方だ」と言いたいようにも見えた。とにかくにも彼は司法という場でできることをして、弁護士として被疑者を無罪にした。

そして、今回の事件は政治家の息子が暴力事件を起こしたという事案。前回のように、長谷川はその息子が暴力を起こしたという事実はないと検察を論破しようとする。だが、長谷川が真実を無視しても被疑者を無罪にしようとしていると思った北村は、独自に歩き、被疑者が実際にやったということがわかる監視カメラ映像にたどり着くが、それはもう長谷川が持っていってしまったという話。そして、ドラマの中では長谷川が被疑者の父親と酒を酌み交わしているシーンが出てくる。そこで長谷川が毒饅頭を食わされたかのように見せる演出。

そして、長谷川はそのビデオを北村に見せるが、それは北村の推理を明確にするものではなかった。そして、公判。そこで、検察側の木村文乃が提示したビデオは、北村がみせられたものとは違っていた。被疑者の有罪を明確にするものだったのだ。つまり、北村は加工されたビデオを見せられたということ。だが、こういうことがあると、もはや公判の中で扱われるビデオの真偽というものを証拠として出す前に検討しなくていいのかということになる。その辺は曖昧にされているのは私的には気持ち悪い。

そして、木村は、もう一つのビデオを提示してくる。それは被疑者の親の秘書が、ビデオの持ち主に賄賂を贈って、ビデオの露出を防ごうとするシーンのビデオだった。そう、長谷川が酒を酌み交わしながら、そう動くように誘導したのだ。結果的には、被疑者は有罪。ついでに親まで贈賄の罪で捕まるという流れ。

そう、この裁判は、長谷川が作ったストーリーのままに流れ、クズな政治家とその息子は一気に堕とされるという話。つまり、かなりの変化球を投げて裁判に負けても、彼の正義を貫いたということ。

ここで、北村はかなりの混乱を起こす。そして、長谷川という人間の狡猾さを知る。そして、北村がこの事務所に来たのは同じような政治家が絡んだ案件で自分の仕事が揉み消されたことがきっかけだった。そして、長谷川がもともと検事だったということもわかる。この3回目で、なんとなくこのドラマが描こうとすることが見えてきた。

社会の中で、いわゆる司法が、なんらかの力で正義というものをうまく翳しながらも、悪に加担しているような事案があり、その大掃除的なことがここで行われようとしている感じ?最初にも書いたが、そういう硬質なドラマは「日曜劇場」としては、少しハードルが高いようにも見え、なかなか冒険にも見える。だが、私的には長谷川の本意と、北村が長谷川にどう教育されていくのかというところはすごく楽しみである。面白くなってきましたよ!

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