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評価の書

検査の書では検査の必要性についてお話しさせていただきました。
続いて検査から評価についてのお話しをさせていただきます。


評価とは

医療場面での評価は、患者の状態や病態に関する情報を収集し、分析するプロセスを指します。医療評価は、医師や医療専門家が患者の健康状態を正確に理解し、適切な診断や治療計画を策定するために行われます。以下は、医療場面での評価の主な側面です。

  1. 患者の歴史の収集:

    • 医師は患者に対して適切な質問を行い、病歴や症状の詳細を把握します。これには過去の疾患、治療歴、薬物アレルギー、生活習慣などが含まれます。

  2. 身体検査:

    • 医師は患者の身体を検査して異常や病変を確認します。これには視覚的な検査、触診、聴診、打診などが含まれます。

  3. 検査結果の評価:

    • 血液検査、画像検査(X線、CT、MRIなど)、生理検査などの結果を詳細に解析し、異常や病態を把握します。

  4. 病理学的な検査:

    • 病理学的な検査は、組織や細胞の詳細な構造や変化を評価するために行われます。組織標本の顕微鏡検査や細胞診などが該当します。

  5. 心電図や生体計測:

    • 心電図、血圧測定、心拍数などの生体計測は、患者の生理学的な状態を評価するのに役立ちます。

  6. 心理的な評価:

    • 心理学的な面も考慮し、患者の精神的な健康状態を評価することがあります。これは精神科的な疾患やストレス関連の疾患に対するアプローチに重要です。

  7. 診断と治療計画の立案:

    • 上記の情報を基に、医師は診断を行い、適切な治療計画を立案します。これには薬物療法、手術、リハビリテーションなどが含まれます。

医療場面での評価は各職種によって異なりますが、各専門家による評価を統合し、患者様一人一人に合った評価をする必要性があります。

『リハビリの実習に来たから、リハビリの評価だけやれば良い』ではありません。
もちろん、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士にしかできない評価はたくさんありますが、他職種と連携し、評価をする必要性があります。
各職種から出た検査結果、リハビリの検査で得られた結果をもとに、今後の治療内容や、リスク管理の立案などをすることが評価に求められる重要性だと思われます。

例えば、医師がX線、CT、MRI、血液検査、心電図の評価を行う場合、各専門職へ指示がされます。ここで、看護師や臨床検査技師、放射線技師が医師の指示に従い検査をします。検査で得られた内容が評価となり、今後の治療スケジュールなどを立案していく訳です。
リハビリの処方箋が出た場合、リハビリの職種の方は身体機能面の評価を行うことになります。

評価の考え方

検査の書でもお話ししましたが、『検査=評価』ではありません。
検査結果から得られた内容で病態を解釈し、統合するところまでが評価だと思っております。もちろん、検査することで評価すると言うことは間違いではありませんが、検査はあくまで検査であって、そこから考えることが必要であると言いたいのです。

例として、肩の可動域を検査しました。屈曲は90度、外転は80度でした。
・・・うん。で?そこから何が考えられる???
ここまで考え評価することが大切なのです。
関節可動域は測定することができましたが、角度しか分からないんじゃ評価の内容としては不十分です。しかし、角度を測定できたので、その患者様の角度は分かりましたね。
では、もっと具体的に考えるとどういったことが挙げられるでしょうか?

・activeで関節運動を行なってもらった際、代償運動は出現していましたか?
→どの位の角度でどんな代償が出てました?
・肩甲骨の可動性はどうでした?
→関節運動前の肩甲骨のアライメントはどうでした?胸椎なども見ましたか?
・痛みはありましたか?
→安静時からありますか?end feelだけですか?収縮時痛やインピンジメントは?
・肩甲上腕リズムは破綻している?
→運動学的観点に着目してますか?

どうでしょうか?
単純に肩の関節可動域を測定するだけで、たくさんの情報が収集できます。そして、これが『評価』なのです。
これに追加し、さらに問題点を絞るために、整形外科的テストなどを用いて診断することも可能です。
診断は医師のみならず、理学療法でも障害部位の特定ができるため、大切なことですね。

一つの検査から多くの情報を収集できれば、治療にも役立ちますし、評価から患者様の問題点を多く抽出することが可能になります。
これだけでも臨床のレベルも大きく上がりますし、評価の効率性も上がります。
評価方法はボトムアップ・トップダウンとありますが、その評価方法に関してはまた次回にお話しできればと思います。


どうか臨床のヒントになれば幸いです。

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