古典100選(29)古今著聞集
生活が苦しい上に、自分の親を養うとなると、いつの時代も「老後は安泰」とは決して言えないだろう。
平安時代末期に白河天皇が院政を行ったことは有名であるが、その白河院の時代のお話が、『古今著聞集』(ここんちょもんじゅう)に掲載されている。
では、原文を読んでみよう。
白河院の御時、天下殺生(せっしょう)禁断せられければ、国土に魚鳥のたぐひ絶えにけり。
そのころ、貧しかりける僧の、年老いたる母を持ちたる、ありけり。
その母、魚(うお)なければ物を食はざりけり。たまたま求め得