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読書記録2023.7~12


noteへの追記

二階堂奥歯『八本脚の蝶』
 著者が26歳になる間近に自殺するまでの日記。本に関する話を面白く読んだ。私も澁澤龍彦的なものに一応興味があるのです……。著者の尋常でない読書量の中で、自分も読んだ本が出てくる度「おっ」と思うし、この著書が良いと言う本は良い本なんだろうと思う。
 私が『バージェスの乙女たち』を知ったのは2022年刊の『エロマンガベスト100+』なのですが、手に入れるアテはないですね。著者(二階堂)はこの本が好きな理由として、狂気や倒錯よりも自主性を持たずに幸せになるというところに注目しているような感じでした。
 『八本脚の蝶』最後の方の日記に《ごしゅじんさまだいぼしゅう!》という半ばヤケクソのような文章がありますが、これも自主性の放棄ですが、共感できるというか。実は皆そう思っているのではないか。私はこれをマゾヒズムだとは思わないけど。
 反出生主義やフェミニズムについて、「そういう思想があって私もその考えに賛同する」というのでなくて、生きていて感じたこととして書いてるのもよかった。著者は哲学科出身だし本文に永井均についても書いてあるので、反出生主義みたいな概念を著者が無から考え出したわけではないんだけど、そう思わせるくらいの、なんというか文章の迫力があったように思う。
 『完全自殺マニュアル』はアテにならないのか……。

ジェイムズ・P・ホーガン『星を継ぐもの』
 私は特別SFに詳しいわけでもないので適当なことをほざいてると怒られそうだが、これこそ「サイエンス・フィクション」という感じがした。世界からアメリカに学者が集結し、各分野で限られた手掛かりから研究が進められる。ずっと「科学」をしている。実際に月面で発見があった際、こんな風に解明されていくのかも、という気になる。
 私、最初からダンチェッカーはやってくれると思ってたよ。学者として間違ったこと何も言ってなかったし。
 考えるヒントがそこら中に散らされていて、最後に探偵役が真相を明らかにするミステリ的構成でもあるので、自分でも読みながら「ミネルヴァはもともと地球の近所にあったのでは」などと推理したが、まぁ違いましたね。
 「星を継ぐ」という要素が最終的に3つくらいあったのがなんかすごかった。

新井素子『くますけと一緒に』
 ホラー。これも(多分)『八本脚の蝶』で言及されていた本。成美ちゃんはぬいぐるみが手放せず、幼稚園や小学校にも連れて行ったので周囲から「異常者」として扱われる。
 1,「真に悍ましいのは根拠なく他者を規定し、排除しようとする人間の愚かさである」。2,「この本に描かれている異常なものたちは全て、長い時間をかけて心に傷を負った成美の幻視である」。それか、3,「成美は信用できない語り手であり、ぬいぐるみは常人の目から見ると悍ましいものである」。など、読んでいる途中はこの内のどれかのような、何か特殊なホラーなんじゃないかという疑いを持っていた。何故かと言えば、ホラーにおける「ぬいぐるみ」に対して私が過剰に不穏なものを感じていたからだ。
 結果として、本書は超常のものも出るストレートなホラーだったが、それにしても成美の目を通した世界は怖く、面白い本だった。まぁ、悪霊に関してはどう解釈してもいいのだし。
 やはりどこか「ぬいぐるみホラー」に対して「後味が悪そう」「救いがなさそう」という偏見があり(なんでだろう)、私は読んでいて成美ちゃんのことを好きになっていたので、どうかこれ以降はひどいことにならないでくれと祈りながら気が気でない思いで読んだ。
 結果として、この本の結末は成美が居場所を手に入れるやさしいものだった。こんな風にネタバレを書いてしまうのは最悪殴られても仕方ない行いだが、あえてした理由は、この文章をたまたま見た本書未読の方に「この本はぬいぐるみのホラーらしいから、読後感が悪そうだし読まないでおこう」と思わせてしまうのだけは避けたいと思ったからです。どうか殴らないでください。

柴村仁『夜宵』
 異界風の夜市、細蟹の市を舞台にしたファンタジック・ホラーの連作。
 全員がお面をつけた夜市、正体不明な双子の童女など、和テイストの異界らしい雰囲気が良かった。
 シラ御前のシーンなどは特に映像的な描写に感じ、カッコイイと思った。
 ここからは一応配慮しつつ普通にネタバレするので注意しておいて欲しいのですが、この本の前半、細蟹の市によく分からず来てしまった人を市守りのサザが保護する、という形式の数話があります。私はこういうのが大好きなので、そうと分かるとすぐ、この数話の時系列はどうなっているか分からないぞ、と疑いを持ちました。各話の細蟹の市がいつの出来事なのか確証がなかったからです。そして、「ヒナちゃん」でちょっと出てきた黒いワンピースの女の人。この次の話で似た服装の女の子が出てきたのです。この二人が実際に同一人物だとは明らかになりませんが、ここでもう、この本の時系列は一直線ではありませんよ、という示唆だろうと思いました。
 もう一つ、この本、前半に叙述トリックが複数あったので、必然的に以降ずっと何か騙されているのではと疑いつつ読むことになります。途中、突然にカンナは男だ、と明記されるシーンがあり、すごい!こっちが疑いながら読んでいるのが見透かされている!と思いました。作者に疑うよう仕向けられていたんですね。すべて掌の上です。
 そうして色々疑う中、途中でこれは『キノの旅』とかのアレじゃないか?と思ったら、これは合っていました。
 本を読んでいると、読んでいる途中で作者のたくらんでいることに気付くことも稀にあります。私はミステリも多少は読むのですが、バカなので「アリバイをもとに犯行可能な人物は」とか「密室を無効にできる条件は」みたいなのは全然先読みできたことはほぼありません。記憶に残っているのは、京極夏彦の『陰摩羅鬼の瑕』です。私の大好きな「百鬼夜行」シリーズの中の一作です。これ、最近Twitter(X)で「そうはならんやろ」「これはあんま納得いってない」という意見を目にしたのですが、実は私、2/3くらいのところで「まさか」と思ったのがそのまま正解だったのです!かなり特異な真相だったからか、いつもよりヒントがたくさんあったような気がします。
 何が言いたいかというと、作者のたくらみが途中で分かってもそれはそれで、思った通りだった時嬉しくていいよねということです。『夜宵』、そういう点でもよかった。普通にファンタジック・ホラーとしてもめちゃくちゃいいけど。

米原万里『他諺の空似 ことわざ人類学』
 正直言って嫌いな本だった。思った内容と違ったからだ。「ことわざ人類学」と銘打っておいて、大昔の政治家等の悪口が延々と書かれている。
 一つ、面白い発見があった。品田遊の『キリンに雷が落ちてどうする』において、インターネット上の誹謗中傷について書いた文章で、「いきなり知らない人がズボンのポケットに手を突っ込んできて「ハンカチくらい持ち歩けよ」などと言ってくるようなものだ」と譬えていて、なるほど面白いなと思った。全く的外れな批判ではないけど、お前にそんなことを言われる筋合いはない、ということだ。
 で、ブルキナ・ファソには「余計なお世話」を表すことわざに、「自分の着ていないシャツのポケットに手を入れるな」というのがあるらしい。偶然の一致だろうか、知っていて書いたのだろうか。どちらにしろすごいと思う。

・京極夏彦『鵼の碑』
 「百鬼夜行」シリーズ、17年ぶりの新作とのこと。私がシリーズ既刊を読み終えたのは2020年のことなので、実際は全然待ったうちにはいらないのだが、17年くらい待ったような気で楽しみにしていた。
 ノベルズを買ったが、二段組800p超である。しかし途中で飽きることがないので、読み終えた感想として長かったとも思わないのがすごい。発売と一日違いでポケモンのDLCが出たりして、読むのに6日かかってはいますが。
 ヌエは様々な動物の部位を持った化物ですが、ヌエを題材にした能においては幽霊として出るらしい。今作、それぞれが追っていた別々の案件が一塊の真相に収斂するのは、成程部位ごとに違う姿を持つヌエであり、それは過去の終わった出来事なのだから、ヌエの幽霊である。
 序盤、視点人物が久住なので、関口がたまたま行き会った小説家の関口先生として出てくる。ので、かっこいいしなんだか頼りになる。が、後で中禅寺と合流すると関口君になってしまい、ボロクソ言われてしまう。
 もちろん真相を語るのは憑き物落としパートの中禅寺だが、本編中はレギュラーキャラでは木場が特に活躍していた印象。今作は木場回。本筋とは関係ないが、木場の「乗り物に乗って移動することを好まない」というの、私も一緒。「歩いて移動するのは構わない」というのも同じ。バスや電車が嫌いなんだよね。

・矢部嵩『[少女庭国]』
 デスゲームとは少し違うが、そんな雰囲気の、SFぽくもある話。「ドアの開けられた部屋の数をnとし死んだ卒業生の人数をmとする時、n-m=1とせよ」。不条理な舞台設定における悍ましい出来事が描かれるにもかかわらず、その文章はむしろ楽しげですらある。
 カバー裏のあらすじに書いてある「中3女子は無限に目覚め、中3女子は無限に増えてゆく」というの、ドアを開ける度に女子が一人物理的にも無限に増えていく設定であるほかに、目覚めた女子たちの行動パターンは無限に想定可能なのだという概念的な「無限」も感じた。ここから、不条理の正体が明かされない点や、少女たちの名前が雑(かといって適当につけられているという感じでもない)も合わせて、なにやら思考実験じみているとも感じた。
 奪われた自由の回復のためゲームのルールに抗ってつくったはずの社会において、社会の課すルールによって自由が疎外されているというのもかなり嫌な感じだ。全体的に考えるほど悪趣味なのだが、読んでいると何だか楽しそうで面白いのがなんだか物凄い。不条理なゲームが誰の手で何のために行われているのかは最後まで明記されない。あるいは黒幕は我々読者であり、その動機は見ていて面白いから、との示唆かと。まぁ、面白かったし……。

・梨木香歩『f植物園の巣穴』
 人類坂ユウリバーチャル文芸部長(https://note.com/humanslope27) のyoutubeで紹介された本。ほかに『アステロイド・ツリーの彼方へ』などもそうなんだけど、本のプレゼンが上手い。読みたくなるし、紹介された本は実際面白いので、すごい。自分の好きな本を人に読ませることに成功すると、自分の《領域》に引きずり込んだような気がして嬉しいので、羨ましい能力。
 夢の中のような不思議なことばかり起こり始める、幻想文学的な小説。私は意味の掴みにくい、本当に意味があるのか分からないような小説は読むのが苦手なのだが、前情報として意味はあるし最後には分かる、と教わっていたため、これはどういう意味があるのか、それはあれとつながっているのではないか、など考えながら面白く読めた。科学的一般常識が破綻した異界を彷徨うち、忘れていた記憶を一つひとつ思い出す。現れるものたちは自分の過去であり、この物語は自己との対話なのだ。
 バラバラだったものがつながって見えてからの面白さの盛り上がり、特に坊への名付けからラストまでは最高でした。幻想文学苦手勢としては、ラストでの異界に対する説明づけに納得できたのも大きいかもしれない。幻想文学、名作と言われるものもたくさんあるので読めるようになりたいとずっと思っていて、ここを足掛かりに面白さを知っていきたい。

・宮木あや子『官能と少女』
 視点人物はすべて女性で、そのうち少女なのは6篇中3篇。一冊を通して「少女」と「性」をテーマにしている、と思った。描写は十二分に官能的でありながら、不思議といかがわしさはあまり感じなかった。性行為はただ手段の一つであって、あくまで「愛」の話だから、だろうか。全部の話、美しいな~!と思いながら読んだ。
 「雪の水面」「モンタージュ」の少女は客観的に見て、大人から欲望をぶつけられた被害者だ。しかし当人が相手に抱く愛は歪んでいようが間違っていようが本物の愛、とか。倫理的にそんなわけにはいかないのだが、保護された少女の、いままで通りの生活を返してほしい、という想いが痛切だった。本人からしてみれば唯一の幸せを突然取り上げられて、信用ならない大人たちからこれまでを否定されていくのだから。
 全話よかったけど「ピンクのうさぎ」が好きかも。終わり方が好き。

Twitterの読書記録

特によかったなと思うものはかなり厳選した上で、今年下半期のベスト本(?)として「・」を「●」にしておきます

7月

7月に読んだ本 やはり『八本脚の蝶』の衝撃が強かった。日記〜!と思って『キリンに雷が落ちてどうする』を再読したいい本がたくさん読めた

6/30
『トーキングヘッズ叢書NO.43 秘密のスクールデイズ』
7/3
浅倉秋成『フラッガーの方程式』
 現実を改変して使用者を物語の主人公に仕立て上げる装置、「フラッガー     システム」のテストプレイヤーをする。設定が面白い。
「終わりに」という不穏な報告書ではじまり、大分ギャグテイスト(下ネタ含む)で展開していく。
怒涛の伏線回収が面白かった

7/5
久田樹生『「超」怖い話 怪神』
コーニイ『パラークシの記憶』
『ハローサマー、グッドバイ』の続編。舞台は遥未来で、「星夢」という 新要素も出てくる。
前作に引き続きSFであり恋愛小説、そしてミステリ的でもある。
惑星について分かったり、前作のラストが補完されている。面白かった

7/8
小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』
解説によると、私生活に取材しつつ巧妙にフィクションがある、とのこと。例えば「夕張の宿」は炭鉱の話だが、本当に夕張炭鉱で働いていたらしい 「聖アンデルセン」「朴歯の下駄」がよかった 「メフィスト」はギャグで面白かった。これが一番すき

7/10
星空めてお『Fate/Requiem2』
7/11
二階堂奥歯『八本脚の蝶』
自分もこういう日記を書きたかった。普段頭使って生きてないから無理か
読んだことのある本などが出てくると「おっ」と思う。『バージェスの乙女たち』は他の本での紹介で知って数年前から気になってる
著者と自分の相違点と相似点色々考えちゃったよね
私今24

7/12
『トーキングヘッズ叢書NO.60  制服イズム』
7/14
『『罪と罰』を読まない』
以外とギャグっぽいこと書いてあるらしい
ぼくも読んでないけど、多分ソーニャはかわいくていい子なんだろうという気がする
ドストエフスキー、何かしらは読んでるだろうと思ったけど『ロシア怪談集』で一短編読んだきりかも。トルストイか誰かと混ざっていた
氏田雄介『54字の物語 1』
7/15
松崎有理『シュレーディンガーの少女』
女性が活躍するディストピア短編集
「秋刀魚、苦いかしょっぱいか」は世界観が不穏なのにほのぼのしていてよかった
共通して出てくるモチーフがあるが、みんな同じ世界なのだろうか。これも多世界解釈なのかな

7/17
ホーガン『星を継ぐもの』
月で見つかった5万年前の死体の正体を、地球人類の学問を結集して解明する、正に「サイエンス・フィクション」
最後、皆に真相を話すシーンは探偵の如くで、SFでありミステリ的でもあるというのも納得
所々難しかったが、面白かった
タイトル、幾つ掛かってるんだ

7/19
久田樹生『「超」怖い話 怪團』
『メタバースでできる100のこと』
7/20
芦辺拓『奇譚を売る店』
古書を買ったことからはじまる連作短編集
ミステリ要素とホラー要素
いつの間にやらフィクションが現実を侵食して境目が曖昧になる

7/21
武田綾乃『青い春を数えて』
女子高生たちの連作
こっちに出てきた登場人物があっちでは視点人物になったりする、好きな形式のやつ
世界のしょうもなさに薄々気付きつつも見限ってはいないような感じがしたので、4章の泉さんが好き
百合かと思ってたけど安易に百合とか言えなそう

7/23
新井素子『くますけと一緒に』
特殊なホラーかもと思いきや、ストレートなホラーかも
読んでいて成美ちゃんのことを好きになったので、ぬいぐるみのホラーは後味がとても悪そうという偏見のもとに気が気でなかったが、(こんなこと書くとネタバレではあるのだが)ラストは優しくて良かった
7/24
『「超」怖い話 超ー1怪コレクション』
品田遊『キリンに雷が落ちてどうする』(再読)
7/27
木原武一『名作はなぜ生まれたか』
7/28
石川博品『ヴァンパイア・サマータイム』
人口の半分が吸血鬼(!)だが、昼間の人間とは学校などの活動時間が異なるのであまり関わらない。
夏休みの間の、昼夜逆転した男の子と吸血鬼の女の子の恋愛小説
エモい

8月

8月読んだ本 いろいろ読んだ。『夜宵』『妖姫のおとむらい』とか良かった 京極夏彦の新刊が楽しみなので復習しようかと思わないでもなかったが積読があったのでやめた大丈夫!キャラとかもちゃんと覚えてる!はず!8/2・ハインライン『月は無慈悲な夜の女王』地球の植民地となっていた月世界が革命を起こす話。月世界独特の文化などもあり、世界観が壮大だった。ラストでアレがそうなったのは、この人がアレだったということ?なんか、それも違う気がする(何を書いているんだ?私は)8/4・飯倉義之【監修】『江戸の怪異と魔界を探る』飯倉先生の著作ではなくあくまで監修した本だった。普通に気付きそうなもんですが、ネットで適当に買ったので……。加門七海っぽいなと思ったら参考文献に入っていて、やはりなとなった。

8/5
・小林泰三『人獣細工』
ホラー 表題作、ほか3篇 「本」は、郵送されてきた読むと気の狂う本の真相を探る話。怪異のルールがはっきりしているのでリアルな怖さがあった

8/7
・澁澤龍彦『少女コレクション序説』
人形愛、その他に関する論集
色々書いてあって面白い本。
人形はあんまり機能的でもダメで、奇抜な芸術品でもいけない。人形にはあくまで人格のあるものとして愛するのがよい。人形は少女の剥製の代替ともできる。
澁澤龍彦はペッパー君とか嫌いそう
・アンソロジー『放課後探偵団』
8/8
・アンソロジー『放課後探偵団2』
学園ミステリのアンソロ
読んだことのなかった作家、知らんシリーズの探偵も面白く読めた。
武田綾乃のやつとか良かった。
「願わくば海の底で」はミステリなのだろうかと思わなくもなかった

8/9
●柴村仁『夜宵』
不思議な夜市、細蟹の市を舞台にしたファンタジック・ホラーの連作
描写がなんとなく映像的な感じがしてカッコいい 。和の異界感というか、とにかく雰囲気がいい。
途中、『キノの旅』のアレっぽいなと思ったやつが本当にそうだったのもうれしかった

8/11
米原万里『他諺の空似 ことわざ人類学』
8/12
●希『妖姫のおとむらい』
異界に迷い込んでは謎の食べ物を味わう話
全然読み難くないのに言葉が綺麗だった 。
段々と妖姫の笠縫様も美味しそうに思えてくる。 「まさに凝脂という形容があてはまる、湯水を被ればころころと小さな珠にして弾こうという肌」 は流石に美味そう

8/14
・ボルヘス『伝奇集』(未読了)
半分で断念。
なにが起きているのか良く分からない、幻想文学が苦手であることを痛感した。幻想文学、有名な本もたくさんあるので面白く読めるようになりたい。

8/15
・カレル・チャベック『白い病』
致死性の伝染病が世界的に流行した。1人の町医者だけが特効薬を知っている。死になくないならまずは戦争をやめろ、という戯曲 。
世界平和は実現可能なのか?を思考するSFかも

8/18
・宮武外骨『明治奇聞』
明治時代の出来事や流行ったものなど色々書いてある、資料集みたいな本。
華厳の滝の藤村操、失恋の結果自殺したのであるという説ははじめて読んだな

8/19
シオドラ・ゴス『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』
小説の形式も、本文を登場人物が書き、途中で他の登場人物たちがコメントで茶々を入れるという珍しいもの。そういえば『吸血鬼ドラキュラ』等も、物語が文章に残っている口実に登場人物がタイプライターなど使っていた。
モロー博士、ラパチーニ教授は元ネタを知らなかった。解説に原典について書いてあったので、これも読まねば

8/21
・三方行成『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』
トランスヒューマン=超人類、ガンマ線バースト=宇宙災害をテーマにした、SF童話パロディ連作 。
「竹取戦記」が好きだったな 。「さてある日のこと、翁は竹を取りに行くことにしました。狩衣をアーマーモードに切り替えると、」 ってね

8/23
・波木銅『万事快調(オール・グリーンズ)』
高校の屋上で大麻を栽培する話 。
コメディ色のある会話の応酬が面白かった。危険に直面したハラハラする場面も
倫理観が終わっているのに青春小説っぽい雰囲気が出ているのがすごい

8/25
・窪徳忠『道教の神々』
8/27
・『怪奇小説傑作集1』
あらかじめ概要を知っていたのはジェイコブスの「猿の手」のみ。思いの外短くまとまった話で面白かった。
ブラックウッドの「秘書奇譚」、もしかして、絵画の裏に!というよくあるやつの元ネタだったりするのかしら

8/29
・池谷裕二、中村うさぎ『脳はみんな病んでいる』
人間の脳や神経についての対談
「恋愛もいわば自己願望の現れで、脳のバグ、あるいは脳の暴走」とナユタン星人みたいなこと書いてて面白かったが、また「家族の絆」は社会によるあとづけ、とも書いている。 恋愛は文化的あとづけではない?絆とは違うのだろうか

9月

9月に読んだ本 13冊 ポケモンやってた割には読めた 京極夏彦新作を予定通り読めてよかった 『怪奇小説傑作集』の続き、手に入るかな〜

9/1
・白川紺子『三日月邸花図鑑 花の城のアリス』
 植物が人の姿をとっている、竜宮城の陸ver.みたいな庭。主人公の探偵が歴史を紐解き、秘密がわかっていく。 カバーイラストでダークっぽいかなと思ったが、暖かくもあった。

9/3
・『怪奇小説傑作集2』
面白いのが多かったと思う。 マリヤットの「人狼」は妖怪変化系の女の怪異で、よくイメージするいわゆる狼男とは別のもの。 植物化に取り込まれてしまうという「みどりの想い」も中々変態的でよかった 。

9/5
・半田畔『マーディスト』上・下
大量殺人犯で死刑囚の風見多鶴に指名された主人公が、模倣犯の情報を引き出すため対話を重ねていく。 上下巻あっても読みやすいし面白かった 。風見多鶴のキャラクターがよかった。 オタクは上位存在じみた女が大好きなので…。

9/8
・春日武彦『屋根裏に誰かいるんですよ。』
 “幻の同居人妄想”の症状等について。
荒唐無稽な妄想のようでも、本人は一貫した論理をもとに信じている。 『新耳袋』の話も出ているが、実際この症状によって発生する怪異もありそうだと思った。侵入したのはギャングか幽霊か、どちらに思い至るか。

9/9
・古賀史健『さみしい夜にはペンを持て』
 思考の整理・自己との対話としての日記の効用を前半で解説し、後半では日記を続けるための文章の書き方をやさしく教えてくれる。寓話のような本。 私、日記をつけて6年目だけど、日々の記録感が強いかも。でも、読み返すのが楽しいのはかなり共感できる。

9/11
・潮谷験『スイッチ 悪意の実験』
ミステリ。
“純粋な悪”を観察するために実験が行われる。この実験もおもしろそうだが、実験そのものが小説の本題というわけではなく、ミステリの舞台装置として機能している。

9/13
・飲茶『哲学的な何か、あと科学とか』
9/19
●京極夏彦『鵼の碑』

 ヌエは様々な動物の部位を持つ化物ですが、能ではヌエの幽霊が出るらしい 今作、一塊の真相がそれぞれ別々の案件の様に見えているのは成程ヌエだし、それは過去の終わった出来事なのだから、これはヌエの幽霊である。 木場回だと思った。関口先生も途中まで頼もしかった。

9/21
・渡部正和『「超」怖い話 隠鬼』
・二宮敦人『ドールハウスの人々』

推理とかはあんまり無いタイプの、ホラー小説よりのミステリだった。 主人公も大概だぞ

9/25
・塩野七生『チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷』
 チェーザレ・ボルジアは法王の子で武将。
マキャベリ、ダ・ヴィンチも出てくる。
解説によると別書『ルネサンスの女たち』には妹のルクレツィアについて書いてあるらしく、そちらも気になる。『ローマ人の物語』は中々手が出せない

9/27
・春日武彦『恐怖の正体』
 色々な恐怖の種類、その理由 娯楽の恐怖には、怖そうでもないようなものも多々あるが、人によっては刺さったりする。各人には恐怖のツボがあるから。著者にとっては「知らぬ間に世界が変わり果てている」などがソレらしい。 自分にも何か特殊なツボが無いか考える

9/30
・荒俣宏『パラノイア創造史』
妄想幻視者の列伝 私には難解だったが、狂気ゆえの創造能力の話だった気がする。 この執筆当時、ニコラ・テスラがそんなに有名ではなかったっぽい?

10月

10月に読んだ本 12冊 今月も雑多に読んだね〜

10/1
・深緑野分『この本を盗む者は』
実家の蔵書にかけられた魔術をめぐるファンタジー ラストがよかったね。 祖母、とんでもないな

10/3
・藻野多摩夫『さいはての終末ガールズパッカー』
滅んだあとの世界を、人間とオートマタの二人の少女が旅するやつ。エモそう。 実際かわいくてエモかった。が、エグ描写もあった。 世界観が結構重めだった。過酷であればあるほど明るい性格の女の子が映えるってワケ

10/7
矢部嵩『〔少女庭国〕』
ちょっと違うけど、デスゲーム的な感じのもの。SFっぽくもある。 暗い部屋で目覚めた少女たちそれぞれの行動パターンを観察していく。不条理で悍ましいことが起こっているはずが、ずっと何か楽しそうな印象で読んでいた。 物凄さを感じる本。

10/12
谷崎潤一郎『細雪』
流石に長いので時間はかかったものの、文章は存外読みやすかった。 旧家の話なので、妹が姉より先に嫁ぐのは外聞が悪い、身分が違うから結婚相手に相応しくないなど古いことが書いてあるが、それも含めて優雅で美しく感じられる。 小説の枠を越えた、文化を読んでいた。

10/14
・レイン『好き? 好き? 大好き?』
詩の素養はないが、気になって買った。 出てくる彼/彼女はみんな恋人同士だろうと思って読んだら、訳者あとがきで「どうにもしかたがない」の彼は精神病医だとあって読み直したり。 それでも表題作には感じるものがあった。女の子がかわいいだけじゃなく何か

10/17
・渡辺正峰『脳の意識 機械の意識』
実験により脳の仕組み(ニューロンの動きなど)は結構分かっているが、意識がどこから来るのかは分からない。今後、脳と同じ機械ができればそれも意識を持つかも、とのこと。 意識が解明されれば生体も機械もない、意識だけネットに漂う電子存在になれるかな。

10/19
・ウェルズ『モロー博士の島』
短編集。うしろ半分くらいが表題作。 『メアリ・ジキル』から元ネタを辿って。だから表題作の概要は知っていたが、人間社会に疑問を呈するラストだったのは以外だった。

10/21
・荒俣宏編『知識人99人の死に方』
10/23
・麻耶雄嵩『隻眼の少女』

最近気になっている本が何冊もある、はじめて読む作者。 水干の少女探偵・みかげが魅力的で、カバーの「ここまで恐ろしいヒロイン〜」が気になったのもありどんどん読みすすめた。 特殊なようでまっとうで、しかし異色なミステリだった。

10/25
・渡辺浩弐『1999年のゲーム・キッズ』
当時の最新技術や流行っていたものをテーマに、それが未来で引き起こし得る弊害を描いた、皮肉なSFショート・ショート集。 リアルタイムなら当事者感があってより面白いかも。次、間の巻は一旦飛ばして、出たばっかの『2030年の〜』を読もうかしら。

10/27
・小林一星『シュレディンガーの猫探し』
10/31
ヴォネガット『タイタンの妖女』
ラムファードの本当の意図は最後の方まで明かされないのだが、なんだかずっと面白い本、だった。が、最終的には人生の意味について、といったところまで迫ってくる。 水星のハーモニウム、すごくいいなぁと思った。

ヴォネガットの『タイタンの妖女』
「ボクハココニイル、ココニイル、ココニイル」
「キミガソコニイテヨカッタ、ヨカッタ、ヨカッタ」
というの、ぼくがTwitterに求め続けていたやつでは。それでもって壁の模様の一部に。
なりたいのか?ハーモニウムに

11月

11月に読んだ本 16冊 岩波少年文庫の『アーサー王物語』もあったので読んだ。むか〜し岩波文庫の『中世騎士物語』は読んでて、文章量はそっちの方が多いが、悲運の騎士バリンとかはじめて見た気がする。忘れてただけか?あと、ボールス卿ってそんな強いんだ。

11/2
・矢島文夫訳『ギルガメシュ叙事詩』
 資料間の異動、意味解釈に諸説ある単語までちゃんと書いてあった。自分が大学でやっていた『古事記』の本文校訂のことをちょっと思い出す。 『叙事詩』自体は長くなく、後半では書版の発掘からはじまる研究史などが載っている。

11/4
・渡辺浩弐『2030年のゲーム・キッズ』
最初の巻から、一旦途中を飛ばして最新巻。デジタルツイン、NFT、昆虫食と最近よく聞く技術がテーマになっていて面白かった。恋人ロボットを扱った「恋人を殺す日」などがよかった

11/5
・渡辺浩二『マザー・ハッカー 1999年のゲーム・キッズⅡ』
11/8
『アステロイド・ツリーの彼方へ』
2015年の傑作選で、第九集にあたるらしい。 表題作、「なめらかな世界と、その敵」「言葉は要らない」など好みの話も多くあり、全体的に良かった。 森見登美彦も載ってるじゃん、ラッキー!と思ったら、これは『文藝別冊』で読んだことあった。

11/10
澁澤龍彦『快楽主義の哲学』
与えられたレジャーなんぞのために我慢して労働するのは最悪である。道徳なんてつまらない。社会の常識なんてものに縛られてはいけない。人間は遊んでいるべき。 と、教えている。 まぁ、私のように逆張りしているだけではいけないだろうが。行動しなくては。

11/11
・深沢七郎『楢山節考』
澁澤龍彦が代表的な快楽主義者として挙げている、深沢七郎。 表題作は姥捨の話。社会のルールでそう決まっていれば平気で残酷になれる人々、老いても歯が丈夫なのは人とは違うから自ら石で前歯を叩き折る老婆。その一方で母子の情も描かれているのが余計に恐ろしい。

11/13
・山田玲司『非属の才能』
世間への拒否反応・社会不適合は才能だ、というのは私にとっては救いになるはずだ。それに、大人の金儲けに乗せられてなんでも皆と一緒になりたがるのは愚かだ、という主張は先週読んだ澁澤龍彦と同じ。が、なんかあんまり刺さらなかった。

11/14
・六畳のえる『陰キャぼっちは決めつけたい』
11/15
・日ノ出しずむ『高校全部落ちたけど、エリートJKに勉強教えてもらえるなら問題ないよね!』
かれい先生じゃん。と思って表紙買いした。 アパートで一人暮らしはじめたら他の住人が美少女、というみんな大好きなやつで面白かった。 ゆるめのラノベを毎月1〜2冊くらい読もう。健康にいい気がする。

11/18
・服部真澄『龍の契り』
香港返還にまつわる〈文書〉を巡って、複数陣営入り乱れて、世界を股にかける諜報戦を行う。壮大で物凄く、面白かった。 現実に存在している問題も絡められ、それに対して架空の黒幕が用意されているのも爽快だった。 劉日月がかっこいいんだ

11/20
・入間人間『安達としまむらSS』
11/21
・入間人間『安達としまむら99.9』
11/22
・カミュ『シーシュポスの神話』(断念)
読了…できませんでした。
「不条理な論証」の終わりまでなんとか目を通したけど、文章が読みにくすぎてなんも分からん。頭が足らん。ゆるして。 生きるのは不条理だから、希望を見つけない限り自殺するしかなくて、でも自殺しても不条理で… 結局不条理でない人間とは?

11/24
・シドニィ・シェルダン『遺産 上』
11/25
・シドニィ・シェルダン『遺産 下』
遺産相続の話だがあまりドロドロせず、良い意味でエンタメ小説と言えるようなスッキリ楽しい本。 登場人物たちそれぞれに物語があり、ペギーが良いキャラをしていた。 母から「シェルダンは昔大体読んだ」と聞き「親って本読むんだ」という驚きがあったので読んだ。

11/26
・グリーン編『アーサー王物語』(岩波少年文庫)
11/29
梨木香歩『f植物園の巣穴』
不思議な出来事が最後には全部つながって意味が通ると予め教わっていたので、これはなんだ、それはあれか、など考えながら面白く読めた。眼前に現れる過去に触れながら、曖昧だった記憶を取り戻していく。ラストへ向かうじわじわした盛り上がりがすごい良かった。

12月

12月に読んだ本 12冊 ポケモンやったりしてて少なめだけど面白い本が多かったのでよかった

12/3
・シュテンプケ『鼻行類』
鼻を独自に進化させた、架空の新種哺乳類の生態報告書。しかし、解説「この本の正しい読み方」によれば、あくまでも空想だと読む前から決めつけてはいけない。嘘だと断言できる証拠は全部潰されているのだから。 ゴーゴリ然り芥川然り、もしかして「鼻」って面白いのか?

12/4
・小林泰三『玩具修理者』
なぜクトゥルフ神話の神名を叫ぶのか、何が「もう」なのか。玩具修理者は正体不明のままだが、解体のシーンが生々しかった短編。 「酔歩する男」は、菟原処女伝説、『万葉集』真間の手児奈の現代版ifみたいなもの。まさかあれがSFに なるとは。

12/6
・西条陽『少女事案』
異能力ミステリエロラノベ……? ヒロイン3人出てきますが、僕はやっぱ雪見ちゃんですね。 伏線があれこれ回収されていく中、ゴスロリだけは最後までマジで無意味だったの最高でしたね

12/8
・福岡伸一『生物と無生物のあいだ』
結局、生物と無生物の違いは何によって決まるのか?この問の答に、様々な研究結果や、科学研究史の暗部(?)に触れつつ、遠くからにじりよって行く。 生物は、機械と違ってちょっと不具合があっても正常に動く。結構大雑把にできているみたい。

12/10
 ・北山猛邦『つめたい転校生』
人と人外との恋愛を描く短編集。 かわいかったり切なかったりする。 ミステリ要素が一番強いのは表題作かしら。 「いとしいくねくね」好き。怖くはないけど、怪談って感じがした。

12/13
・グリッランディ『マタハリ』
パリに入ると途端にダンサーとして世界に名を轟かせ、第一次大戦に巻き込まれると今度はスパイとして活躍する。 天性の美貌と明晰な頭脳とで、どうなろうと成功を掴む能力があったよう。 本人はスパイ疑惑を一貫して否認していたが、戦時中の裁判だし、実際どうなんだろう?

12/17
・瀧本哲史『僕は君たちに武器を配りたい エッセンシャル版』
12/18
・フレミング『ぼくが死んだ日』
 少年少女たちの幽霊が、自分の死因となった怪異譚を語る。 はっきりそれと分かったのは「猿の手」だけだったが、ほかにもオマージュがありそう。 結末で主人公が必ず死ぬホラー短編集としても読めそう。 エヴリンとブランチが仲良さそうなのいいな… 読後感とてもよい

12/21
・青柳碧人『怪談青柳屋敷』
 実話怪談集。 筆者自身の話も結構ある。アンテナを張って生きていれば怪異っぽいのに遭うこともあるのかも。 島村抱月が芸術座につくらせた階段の話、『名探偵の生まれる夜』にも書いてたね。気に入っているのかしら。面白いし。

12/22
・高木敦史『僕は君に爆弾を仕掛けたい。』
 ギリ人死がない学園ミステリ・ラブコメ。悪意が実体化して見えたりもする。 ‘爆弾’で統一されてたの、いいな。 小手毬さん、かわい〜!

12/26
・水卜猩々『死』
12/29
●宮木あや子『官能と少女』
 性を描く短編集。 うつくしくて痛々しい。 なんと言えばいいのか、当人しか分からない複雑なものだけど愛、みたいな。 「ピンクのうさぎ」が好き。いやでも6篇全部良かったな。 今年最後(多分)に凄い本を読んだな。

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