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フィルムに刻まれた思い出

フィルムカメラの時代に撮影したポジ・フィルムや、モノクロームのフィルムがたくさん残っている。
 以前にも何本かの重要だと思われるフィルムを、“フィルムスキャナー”という道具を使って、デジタル画像化をしたことがあったが、今回は有り余る時間ができたので、もう一台高性能だと思われるスキャナーを手に入れて、徹底的にフィルム画像をデジタル画像化しようと思いたったのだった。
 それもこれも100年に一度という疫病蔓延のせいで、毎年出かけていたスイスへの時計取材や、アメリカの家族との休暇などが出来なくなったせいだ。

 フィルムも時間がたつと劣化していくし、今が最後のチャンスとばかり、昨年の夏から膨大なフィルムと向き合い、残しておきたい画像を選んで、SDカードに移し替え、それをまたパソコンを通じてハードディスクに入れていく。
 そのうちの何枚かの写真をフェイスブックで公開したら、案外多くの人が反応してくれ、嗚呼みんな少し昔の時代が懐かしいんだなあと思うようになった。

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地下鉄ヴィルレ駅のホームのベンチで、飲みすぎた酔っ払いが眠りこけているのを、ポスターの中のイヴ・モンタンが笑っているように見えたのでパチリ!

 中には自分でも驚くようなショットもあり、ああ、そういえばあの時ここへ行ったのだったと、思い出に浸ることもしばしば。
 街角で見つけた、なんでもない風景や、心を動かされてカメラを向けた人物などに、その当時の自分の視線を再発見するのも楽しいこととなった。

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14区の南のほうで見つけた、昔の風情を残す平屋のカフェ。
これは1970年代の写真だから、さすがにもう残ってはいまい。

 70年代の半ばからよく使ったのは、ドイツのライツ社と、日本のミノルタ社が共同開発した、ライツ・ミノルタCLという小さなライカと呼ばれたカメラだ。
 そのカメラの標準レンズはよく使ったものだった、ロッコール40ミリというよく映るレンズで、それのほかにロッコール28ミリという広角レンズもよく使ったが、エジプトへの旅で酷使してしまい、結果レンズに曇りが出てしまったものだった。
 またCLの発展形として電子化を充実して作られた、CLEというカメラも旅の友として活躍してくれたのだった。
 そしてそれらの写真に詩のような短い文章を添え『路上の宝石』や『木の夢石の夢』『蘇格蘭物語』という写真文集を、青英社という出版社によって世に送り出したものだった。

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モンパルナス通リとラスパイユ通りの角にある有名なカフェ・ロトンド。
ベルエポックの時代には多くの芸術家がここの常連だったそうだ。
向かいのホテル・ラスパイユの部屋からのスナップだが。
バスや車のスタイルがやはり時代を帯びているね。

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