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ランチタイム・メモリー

昔、派遣社員として日本橋の証券会社に通っていたことがある。
世はバブルの真っ只中。周りはエリート証券マン。
当然のように、ランチタイムは毎日、外食だった。オフィス内でお弁当を食べる、という習慣がなかったのだ。
昼時になれば外に出て、1000円前後のランチを食べ、ついでにお茶してオフィスに戻るのが常だった。
もう30年も前のことだから、今はどうかわからないけれど、日本橋はランチ処が選び放題だった。
中でもランチ営業の居酒屋さんがたくさんあって、その日の気分であちこち通っていた。
最近、魚食べてないなーと思ったら焼魚定食とか、二日酔いの日はジャンボ豚汁定食とかね。

イメージです。こんなに豪華じゃない(^^;)

これより前に、短期間、中野に勤めていたことがある。この街も、ランチ選びには事欠かなかった。
特に、今もある炉端焼きの居酒屋さん「陸蒸気(おかじょうき)」には、週3回は通っていた。
店に入ってまず食券を買う。レジの上に魚の名前が書かれた札がぶら下がっているので、店員さんに食べたい魚を伝える。人気の魚からなくなっていくので、遅い時間になると、鯖とあこう鯛しか残っていなかった。
逆に開店時間を狙って行くと、マグロのカマやカブトといった大物を食べることができた。
この頃はバンドブームでもあった。
デビュー間もない人間椅子のねずみ男(鈴木研一さん)がここでバイトしていて、大きな囲炉裏を囲むテーブルカウンターの中で、せわしなく働いていた。
やがて噂を聞きつけたファンが食べにくるようになり、音楽活動が忙しくなったのか、ほどなく彼の姿も見かけなくなった。

リモートワークの今、わざわざ外に食べに行く必要はない。買い物等の用事がある時だけ、ドトールに寄り簡単なランチを済ませるくらい。
これも気楽でいいけれど、同僚たちとお喋りしながら食べるお昼ご飯は美味しかったし、ストレス解消にもなるし、就業中のオアシスのような時間だった。
だったらリモートやめて出勤しろ、と言われると、それはそれで嫌だ。

うら若きOL時代のランチタイムは、青春の1ページとして胸の中にしまっておこう(大袈裟)。

どこかで食べたハンバーグランチ。
昔は食事を写真に撮る、という習慣もなかったなあ。

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