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デトックス体験

割引あり

毒に侵されているかどうかを知るには、毒を絶ってから、年単位の時間が経過する必要があるようです。毒に侵された状態では、それが通常の状態であるがために、自分が毒に侵されていることに気づくことができません。だから、デトックスに成功した人が、どんなにその効用を説いても、馬鹿らしく思えてしまうことでしょう。やってもみないで否定することは、とても残念なことだと思います。

私が考える一番簡単なデトックス体験はテレビです。以前であれば、インターネットもなく、テレビが大きな娯楽でしたから難しかったでしょうが、今なら簡単でしょう。ただし、気をつけなくてはいけないのは、Youtubeにもテレビ局が作ったコンテンツが、公式のもの、違法なもの含め多数アップロードされていることです。また、テレビばかり見て、それに影響されたコンテンツをあげているチャンネルも多数あります。そうしたものも避けなくてはいけません。そうしたものを避けてしばらくすると、テレビに触れていた間は、身近な生活とは乖離して、不安をあおるような話題にばかり触れていたということに気づくかと思います。テレビ絶ちをする人が増えれば、テレビが次々と与えて来る問題に惑わされることなく、本当に大切な問題についてじっくり考える人も増えるだろうと思います。

避けるとよいものは、テレビに限りません。旅行や、食事、さまざまな商品を紹介するようなコンテンツも、できれば避けたいものです。そうしたコンテンツに触れると、いまあるものに不満を感じたり、見えをはりたくなったりしてしまいます。やはり、身近な草花や鳥などに目を向けていくことがよいだろうと思います。

カップヌードルやコンビニ弁当、コンビニデザートなども、一度絶ってみることをお勧めします。私も以前はよく食べていましたが、近年はほとんど食べなくなりました。ときに食べたりすると、味の不自然さを感じてしまって、以前と同じような感覚では食べることができまないことが多いのです。とくにデザートなどは、この化学的な味を以前はおいしいと思って食べていたのかとゾットするほどです。カップヌードルも同じです。以前もそれほど食べてはいなかったのですが、ほとんど食べなくなって10年以上たった今になってみると、これを食べ物と言ってもいいのかどうかわからないほどの感覚になっています。

のべつまくなしに考えることもある意味毒を浴び続けることになるかと思います。バートランド・ラッセルの幸福論にも通じるかと思いますが、自分自身に興味関心が向きすぎていると、ずっと考え続けることになります。この状態から抜けるためには、別のことに熱中して意図的に思考を休ませる必要があります。

デトックスを意識し、できるだけ長く続けることで、私たちは私たちの体や心が感じている違和感に気づけるようになると思います。いろいろな抽象概念がどれほど嘘くさく実際と乖離したものなのか。私たちが日々接する世界がどれほど作られたものなのか。そういえば、暮らしが生んだ言葉はどんどん消え去り、堅苦しい造語ばかりが幅を利かせる世界にもなってしまいました。

人びとが目を覚まさないよう、デトックスに向かわないよう、今日もたくさんの言葉や物が私たちに向かってきます。

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