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『きのこ会議』

『きのこ会議』
夢野久作著


一言で言うと、きのこたちが集まって、会議を開いていた。松茸が、成長する前に人に狩られてしまうという悩みを打ち明けていると、毒キノコたちが、やってきて、毒を持てば、

ひとに狩られたりしないと豪語する。きのこの収穫の時期に、食用のきのこは大事にされて、毒きのこは、根こそぎ破壊されてしまうと言う話。

どうして「きのこ」なのだろうか?(きのこには、どんな意味があるか?)
1. 再生と変化: きのこはしばしば再生と変化の象徴とされる。きのこは死んだ物質から育つため、死から新たな命が生まれるという循環の象徴ともされる。

2. インターコネクティビティと共生: きのこの菌糸は地中に広がり、他の生物との間で物質を交換する。これはすべての生命が相互接続していて、互いに依存しているという考え方を示す。

3. 知識と啓示: 一部の文化では、きのこは知識と啓示の象徴として扱われる。

4. 神秘性と非現実: きのこは神秘的な存在とされ、非現実的な体験やスピリチュアルな旅を象徴する。

5. 無限性:きのこは非常に早く、広範囲に広がることができる。これは生命の持続性、無限性を示すものとして解釈される。

こうやって、きのこの意味するところを見てみると、人間社会を表しているように思った。

本書では、いろいろな種類のきのこがでてきたので、それぞれのきのこにどんな意味があるのか探ってみた。

①一般(食用)のきのこの意味すること
1. 初茸(はつたけ): 新たな始まり、季節の変化、新鮮さ。
2. 松茸(まつたけ): 贅沢、豊かさ、秋の訪れ。
3. 椎茸(しいたけ): 健康、栄養、長寿、幸福。
4. 木くらげ(きくらげ): 固定性、頑強さ、柔軟性。
5. 白茸(しろたけ): 純潔、清潔、清純。
6. 鴈茸(がんこたけ): 頑固さ、強さ、忍耐力。
7. ぬめり茸(ぬめりたけ): 滑りやすさ、つかみどころのなさ、不透明さ。
8. 霜降り茸(しもふりたけ): 冷静さ、冷たさ、シンプルさ。
9. 獅子茸(ししたけ): 威厳、力強さ、王者の象徴。
10. 鼠茸(ねずたけ): 細かさ、控えめさ、地味さ。
11. 皮剝ぎ茸(かわむきたけ): 外見と内面のギャップ、本質の見極めの難しさ。
12. 米松露(こめまつろ): 高級さ、希少性、贅沢さ。
13. 麦松露(むぎまつろ): 自然の恵み、地の豊かさ、控えめな喜び。

②毒キノコの意味すること
1. 蠅取り茸(はえとりたけ): このキノコはその名前から、誘引や罠を象徴する。

2. 紅茸(べにたけ): 「紅」は赤色を意味し、情熱、愛、または危険を象徴する。

3. 草鞋茸(わらじたけ): 草鞋は素朴さや旅を象徴する。

4. 馬糞茸(ばふんだけ):自然のサイクルやリサイクル、堆肥化の象徴。

5. 狐の火ともし(きつねびともし):幻惑、欺瞞、または神秘を象徴する。

6. 狐の茶袋(きつねのちゃぶくろ): 欺瞞や欺きを象徴する。


食用のきのこも、毒キノコも、人間の表面や裏面を象徴しているように思った。

本書のテーマは何か?
善と悪とが、混在した中で、人は、生きていると言うことなのだと理解した。






毒キノコ

1. 危険とリスク: 毒キノコは自然の危険性とリスクを象徴します。見た目ではその危険性を判断できないことから、外見だけで判断しないことや、知識や理解の重要性を示すメタファーともなります。

2. 死と再生: 毒キノコは死のメタファーとしても使われます。しかし、キノコ自体が死んだ物質から生じるため、再生や新たな生命の象徴とも関連付けられます。

3. 欺瞞と偽り: 毒キノコは見た目が美しいことが多く、それが安全な食物であるかのように見せかけることがあります。これは外観による欺瞞や偽り、隠された危険を象徴することがあります。

4. 知識と敬意: 毒キノコを避けるためには、それらを識別する知識と、その力を尊重する必要があります。これは自然や他者に対する敬意と知識の重要性を象徴しています。

幾田りら

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