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ほうれん草のソテー

冬の朝ごはんに、ほうれん草が欠かせない。
実家で採れたほうれん草を、固めにゆでてタッパーに保存して使っている。
ゆでるのは、ほうれん草に含まれるアクの成分であるシュウ酸を取りのぞくためと、カサを減らすため。ゆでると、ほうれん草2束がタッパー1つに収まるから、冷蔵庫の場所を取らない。大体5日程度もつ。

和食の朝ごはんなら、味噌汁の具にしたり、しょうゆとすだちをかけて、かつお節を載せておひたしに、パン食なら、フライパンにほうれん草を敷き詰めた上に、卵を1つ割り入れて、「巣ごもり風」、時間があるときは、油を塗ったココット皿にほうれん草とハムたまねぎ、チーズを乗せてオーブントースターで焼いてグラタン風。
中でも、何より好きなのは、ほうれん草のソテー。
レシピは至ってシンプル。バターで炒めて塩こしょう。バターがなければオリーブオイルやサラダ油でも大丈夫。
人生で初めてほうれん草のソテーを作ったのは小学校の調理実習だった。そしてそれが私の初めての料理だった。

フライパンにサラダ油をひく。火にかけたフライパンが温まったら、下ゆでしたほうれん草を入れ、焦げないように菜箸でかき混ぜる。

フライパンから青い香りが立ち上る。ほうれん草独特の香り。ほかの青菜を炒めてもこの香りは出てこない。

ほうれん草は、ゆでて火が通っているので、さっと油を絡めて温める程度で大丈夫。その間1分ほど。このスピード感も時間のない朝にはありがたい。
味付けはシンプルに塩こしょう。ハムやベーコンを一緒に炒めたときは塩気は少なめに、お酒に合わせたいときはちょっと濃いめで。

ほうれん草は、冬の霜にあたると甘くなる。もちろん旬は冬。
甘くなると同時に、ほうれん草特有のえぐみが少なくなるような気がする。だから、真冬のほうれん草は生のまま炒めても大丈夫かもしれないが、フライパンに溢れるほどに入れたほうれん草が、火を通すと手のひらサイズになってしまう。だから、最初からゆでておいたほうがたくさん食べられるので、やっぱりおすすめ。

ほうれん草の緑は、ほかの青菜よりずっと濃くて、エネルギーが詰まっている気がする。だからポパイもほうれん草を食べるのだ。知らんけど。

なんでこんなことを書いているかというと、冷蔵庫にストックしておいた下ゆでほうれん草が切れたから。ないと余計に食べたくなるので、文章にして気持ちをなだめている。

ベーコンをカリカリに炒めて、その出た油でほうれん草を炒めたい。ベーコンのカリカリと、そのベーコンの脂をまとった、くたくたのほうれん草をほうばって、トーストをかじりつきたい。
ほうれん草のある冬はこれからだ。楽しみである。

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