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【032】リサーチ案件の本質は調べることじゃないから~

今週も仕事の方はそこそこの忙しさでした。

と書くと、いつもどれぐらいの業務量なのかわからないなと思ったので、ざっと月曜日から書いていくと…
月:終日研修講師をやりつつ、夜は採用等の人事関連業務
火:午前は提案依頼があり、その説明を受ける会議。夜は仕事の打ち上げ
水:夜は外部の研修講師として登壇、そのまま会食
木:午前中は翌日の出張に備えて、クライアントと会議、午後は来訪があったので会議、夜は歓送迎会
金:丸一日出張、仕事が終わったら出張に行ったメンバーと軽く飲んで終電近くの便で帰宅

ざっと仕事の大まかなスケジュールはこんな感じです。上記の合間にテトリスのような感じで社内外問わず相談事項や打合せなどが入っており、自分が自由に使えた時間は平日5日間合計で5-6時間といったところでしょうか。

そんなクソ忙しい中、ちょっと燃えそうになっていた仕事があったので、代打で仕事してました。やっぱりリサーチ案件って燃えやすい性質あるなぁと思ったので、今回はそのまとめです。


◆最近のリサーチ案件、難しいんですよ

最近のリサーチ案件(市場調査とか競合分析なども含む)って、結構要求水準高いものが多いかなと思っています。少なくとも個人ではなく、ファームへ依頼される内容は一昔前と性質がだいぶ変わってきているかなと。

その背景の一つとしては、ビザスクに代表されるようなサービスを使えば、外部の専門家の方と話をすることが出来るから。

国内最大級56万人超の実名登録アドバイザーに、1時間単位のインタビューやオンラインアンケート等を実施可能。
500カテゴリ以上のあらゆる業界・職域について、信頼できる「生の情報」を簡単に収集。
新規事業/研究開発/経営企画/マーケティングの市場調査・仮説検証に。

https://visasq.co.jp/

こういうサービスが出てきて10年弱、特定のファームが持っている専門的な知見や業界情報みたいなものの一部はお金を払えば比較的簡単に入手することが出来るようになったと思います。これが、リサーチという業務を外部へ丸ごと委託するハードルの一つになっているかなと思います。自分たちで調べ切れてしまう可能性があるので、委託するにしても細切れだったり、ピンポイントだったりすことが多くなってきている気がします。

また、蛇足ですが、ビジネスDDを専門にするブティックファームもここ数年で複数社出てきました。

何かを調べるという業務自体が一つのサービスとして確立されてきた結果、難易度を松竹梅で分けた時に梅は自分たちで、少なくとも竹、可能な限り松の難易度のものに対して外部に委託するような流れになったのではないかなと思います。

◆リサーチ案件で大事なのは"調べること"じゃない

私としては、リサーチ案件の本質とは、何を調べるかではなくて、どういうプロセスで情報の確からしさを検証してくのかである、と考えています。

もう少し踏み込んで書くと、希少性の高い情報を見つけ出してほしい、というのが依頼ではないと思っています。まれにそういうケースもありますが、それが結構無理筋だと思われる理由は後述します。

◇全部探すことが大事な瞬間もあるが、現実的には探せない

例えば、結婚指輪をなくしてしまったとき、その結婚指輪は絶対探さないといけないでしょう。その結婚指輪自体が非常に大切なものだから。

他方、我々が求められている希少性の高い情報は、必ずしもその存在が確認されているわけではなく、確かに存在するかもしれないが、共通の見解が形成されていない可能性があるものだったりします

そのため、クライアントの期待値を満たすためのアプローチ手法として、「何か特定の希少性を高い情報を見つけました」という結果に対するコミットメントを行うのは筋が悪すぎます。上述の通り、達成できない可能性をはらんでいるので。

もっといえば、当然クライアント自身が自分たちで探しきったうえで、外部に依頼をしている可能性が高いことを想像すべきでしょう。何に対して成果を出すべきかという点を見誤ると、プロジェクトの勝ち筋は自然消滅します。

◇脳みそに汗をかかせるのは、アプローチの美しさに対して

ともすれば、リサーチにおいてすべき事は何か。

リサーチにおいては、何を明らかにしたいのか、もさることながら、その調べ方・検証方法・プロセスの美しさに価値があると思っています。

見つかるのかも分からない情報を探しにいく、或いは、この情報が本当に妥当な情報なのかどうかを検証しにいく状況において、そのアプローチこそが非常に重要だと思っています。なので、この辺りをクライアントとしっかり合意することができれば必要最小限のリソースで結果を出すことができると思っています。逆にいえば、ここを握らずに闇雲にリサーチし始めると社内外で泥沼案件と化します。

当然クライアント自身が調べられる範囲の事はやりきった上でリサーチを依頼されている状況を推察すると、当然、普通の方法で(つまり公開情報などの情報に対する調べ方では)、委託を受けた方も必要な情報にアクセスできないことが想定されます。

そのため、答えそのものよりも、答えを出すためのアプローチをとことん拘って、クライアントの方と議論するのが大事なのかなと思っています。つまり、(私の中では)リサーチ案件の勝負は序盤に終わっている認識です。

◇無限リソース投入地獄の果てに、迷宮入りするクライアント

しかし、リサーチを闇雲にするプロジェクトマネジャーも世の中にはいるわけで、そんなスタイルだと、チームメンバーも疲弊するし、クライアント迷子になるしで地獄絵図と化します。

チームのメンバーにおいては、出口の見えない調査をひたすらやらされ続ける形になりますし、クライアントは出てきた情報に対して一喜一憂してしまったり、他にも情報はないのか?という風に網羅性に目がいってしまうことが想定されます。

そもそも、リサーチを依頼されるときは、何かしらの意思決定に資する情報を提供することが背景にある場合が多く、そんな状況下でかえってクライアントを路頭に迷わせてしまうのは本末転倒でしょう。

◆美しいアプローチの一歩目は、"問を立てる技術"

ちなみに、外部の専門家に対するインタビュー含め、アプローチの美しさを極めていくには、良い問いを立てる技術が非常に重要かなと思ってるんですが、それはまた別のnote。

今週は以上です。ありがとうございました。


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