【2023年版】世界の学術系クラウドファンディングサイトの今と academist の振り返り

2023年12月31日 08:47

年末恒例の記事も9回目となりましたが、昨年にひきつづき学術系クラウドファンディングサイトでは Experiment 以外の大きな動きが見られませんでしたので、Experiment と academist に絞って振り返りをしていきます。

第1位：Experiment＠アメリカ（2,942プロジェクト：前年+338件）

今年のExperimentは、プロジェクトの増加率が昨年（+159件）に比べて2倍以上となり、流通総額も $1,000,000 近くの増加となりました。サポーター数は約1,500名の増加ですので、平均支援金額は約$666/名・PJ、平均サポーター数は4.4名/PJとなります。平均支援金額は大きい一方で、平均サポーター数は少ない結果となりました。

その背景としては、Experimentの運営するGrantプログラムの拡大です。たとえばこちらのプロジェクトでは、Schmidt FuturesがMetaScience（科学のあり方自体を対象とする研究と、その知見に基づく実践）に取り組む研究者に総額$50,000を配分します。関心のある研究者は、期日までにExperimentでクラウドファンディングのプロジェクトを立ち上げ、採択された場合に研究費（大体$4,000/名）を受け取ることができます。

過去のプロジェクト（合計92件！）を閲覧する限り、それぞれのGrantに70〜200名の研究者がチャレンジしていることがわかります。

研究者が個人サポーターを積極的に募集していない点において、クラウドファンディングの要素は薄くはなりましたが、これだけのプロジェクトを集められているところに次の飛躍のヒントがあるように感じます。ちょうど昨日ExperimentのFounderのCindyとDennyと会う機会があったため直接聞いたところ、現在アメリカの財団との連携を積極的に進めており、新しい展開に向けて準備をしているとのことでした。

第2位：academist＠日本（300プロジェクト：前年+41件）

academistでは2023年に36件のプロジェクト（スポット支援型：28件、月額支援型：13件）を公開しました。今年は日本生活学会 × アカデミストの協働や、academist Prize 第3期の「AI×◯◯学」プロジェクトがクラウドファンディング事業の柱になりました。

通常は、研究者個人とアカデミストスタッフでプロジェクトページ制作・宣伝活動を進めるのですが、上記の場合はチャレンジャーどうしが連携して目標金額達成を目指せたり、宣伝活動のノウハウを共有できたりすることが特徴です。来年も、研究者同士がチームになってクラウドファンディングにチャレンジできる方法を設計し、その効果の最大化を目指していきます。

現時点におけるExperimentとacademistの大きな違いは「プラットフォーム化」を志向する度合いです。前者ではサービス運営に極力人員を割かずに運営しており、Grantの仕掛けによりプロジェクト数は増えている一方で”Crowd”の要素は薄くなっています。後者では、研究者×伴走者で目標金額の達成を目指しており、伴走者がコンテンツ制作から宣伝戦略までのコンサルティング業務を担っています。その結果、”Crowd”の性質をある程度は保つことができるのですが、同時にプロジェクト数を一気に増やす難易度が上がります。これはどちらが良い悪いではなく会社の理念や価値観の問題であり、多様なプレイヤーが共存している状態が理想的であると思っています。

2024年はacadeimstでは「プラットフォーム化」の志向度合いは変えずに、長期的にプラットフォームを目指せる仕掛けを作っていきます。一緒にアカデミストの拡大を目指す仲間を募集中ですので、ご関心のある方はお気軽にご連絡ください！

それでは、良いお年をお迎えください🎍

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