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教育の場が営業に侵されてしまうとこうなる

(私は専門外だけれど)学校教育はルールが非常に厳しいので、現場の先生方が生徒のためにと思っても、そう簡単に新しいことができない環境下にある。3年前から【どこでもドア®】という実写メタバース空間を提供してきて、何度も先生からの問合せがあり、お話を聞いてきて、ムダな法律の壁を感じてきた。そんな中で下記のニュースは、失望感しか無かった。

NTTと並んで、国内の(自称)メタバース大手のDNPさんが東京都の教育現場にメタバースを導入したニュース。おそらくは、弊社に相談していた先生方(都内が約半数)は唖然としているだろうし、弊社のマーケティングの弱さに残念と感じているでしょう。。。残念ながら現場の先生方、つまり、なかなか学校に通うことができない生徒の実態・リアルな声を感じている先生方には残念な結果でしか無いことを先に言ってしまおう。先生方が抱えている悩みの解決には残念ながら繋がらない。ちょっと話はズレてしまうけれど、多くの大手企業が参入して大コケしてしまったハコバースと同じ取り組みだからだ。もう少し言うと、メタバースの良さを何も活用しないまま、単なる「なんちゃって」で営業されてしまった東京都、という現状。

残念

上の記事にもう少し詳しく書かれているが、不登校などの児童がこれによって劇的な改善が図られることは無さそうだ。なぜなら、単に教室からデジタルのハコに場所を変えただけでやってることは何も変わってないから。決まった時間に決まった場所に行く、決まった人がいて、決まった授業もどきが行われる。それができないから、イヤだから不登校になるのではないんでしたっけ?

インターネット上の仮想空間を活用

https://panora.tokyo/archives/84895

何度も言いますが、これは「空間」を提供していることにはならないんです。画面上のコンテンツ、WEBページを提供しているレベル。“メタバースを提供します”というならば、メタバースを利用する環境も合わせて提供する必要があるので、生徒にHMD(VRゴーグル)とWiFi環境をセットで提供しているなら百歩譲ってCG空間でも良いのですが、そもそもPC画面上で利用する前提のように読み取れます。これで「空間を提供した」と言うのはムリがあり過ぎなんです。これが1つ目の、根本的な絶望。

「3D仮想空間」と書くのは自由だけど…

2つ目、3つ目と書こうと思ったけれど、省略します。最も根深いのは、この提案を東京都が受けてしまってる、採択してしまってること。残念なことに上記の通り、生徒にとってはメタバース(3D仮想空間)ですら無いし、提供した事業者にとっての「メタバースだよ!」でしか無い。そして、不登校などの生徒児童の悩みの解決策と合致してない、単なるソリューションを買ってしまっていること。少なくとも私が直接、現場の先生方から聞いてきた不登校に対する悩み、それに対する【どこでもドア®】ならばできる解決策などが判断材料として考慮された上で行われた採択でないことは明らかだと思う。なので、冒頭に書いたように、先生方は残念だろうし、失望だろうなと。

具体的に教育での活用については、この動画では述べてませんが、簡単にポイントだけ挙げると、以下のようになります(冒頭に書いたルール上、生徒に先生が同行してないと授業とは認めない、という話があることは知ってますが、それはさて置きです)。

  1. 通常行われている授業の1席に360度カメラを置いてライブ配信することで、生徒は自宅などの別の場所で、まるで教室のその席に座って授業を受けているような体験が可能

  2. 生徒には、Quest2などのHMD(VRゴーグル)とWiFi環境を貸与するだけ。ムダにアクセスを管理したりするよりも、現状のPC画面では全く提供できてない「空間」を提供することを優先すべし。

  3. 周りを見れば、いつもの教室だし、クラスメイトだし、先生。でも、生徒と話すこともないし、同じ空間にいるけど交流しないことを選択できる。(つまり交流することを選択することもできる)

  4. 【どこでもドア®】の提供するメタバース空間は、AI自動音声翻訳機能が搭載されているので、先生が話した言葉が自動的に多言語に翻訳されてリアルタイムで字幕表示されるため、日本語がまだ得意ではない生徒も苦なく授業に参加できる。

  5. 通常の授業と全く同じ内容をリアルタイムで受講できるので、教育を受ける側にとって損失が全く無い。遠隔地に住む児童にとっても最適だし、児童数減少で校舎を減らさざるを得ない過疎地域にとっても有効な対策となる。

これは保育園ですけどね・・・

上記の通り、今後、少子化が進んでしまう日本においては、校舎を維持し、そこに通学させる従来型の教育スタイルから、大きな変革に向けた第一歩を踏み出す時期に来ているのではないでしょうか。全く論外だと文科省が思っているならそれはそれで諦めるのですが、なんちゃってなハコバースで東京の30自治体に導入するのであれば、物事の本質を改めて理解していただいた上で、教育の新しいあり方として考えても良い時期なのではないかと、失望の中で感じた次第です。

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