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2024/5/11 僕にとって母の日は祖母の日だな

 今日は朝に起きた。恋人がお休みで、目を覚ましたときには隣にいてくれて安心する。けれど二度寝をしてしまった。そのせいで恋人は用事に出掛けてしまった。仕方ないので、ゆっくり起きてから連絡を入れ、恋人の用事を近くのショッピングモールで待った。今日こそ作業をと思っていたけど、上手くいかない。気晴らしにゲームショップを見て、文房具コーナーを見ていく。最近財布のカードを入れるところからカードが一気に無くなるということがあったので、カードを財布と別に収納するものが欲しかった。ちょうどいいものがあったので、それを買ってカードを移す。それからボーっとしていて、ハッと思い出したことがひとつ。
 母の日のプレゼントを忘れていた。先日恋人の母親にちょっとした物をプレゼントしたのだったが、そのさいに自分の家にあげないのはどうだろうと思っていたのだ。ネットなどで探してみたのだけどなかなか見つからない。というのも僕の家は少し特殊で、母親がいない。僕を育ててくれたのは父方の祖母なのだ。なので普通の母の日より悩む。
 家に花壇はあるが、犬が掘り起こしてしまうので花を植える場所はないし、お菓子は年齢的に食べてくれるだろうか。いまだに元気に農作業をしはするが、甘い物をたくさんあげても心配だ。湯呑みにでもしようかと思ったが、コップはいくらでも家にある。悩んだ結果父に相談したが、「その気持ちだけでいいんやないか」とのことだった。
 らちがあかないので最終手段。祖母に電話して直接聞くことにした。
「おばあちゃん、◯◯やけど」
 僕はいつも祖母に電話をするときはなるべく自分の名前を名乗るようにしている。オレオレ詐欺みたくならないようにだ。しかし祖母からは「お金ならないぞ」と返ってくるので心配なさそうだ。まぁ社会人生活が上手くいってなくて毎月のように借りていたからでもあるのだけど。
「違うよ、今日はね」
 と母の日のプレゼントについてを話した。
「そんなものいらん。これからお金もいるだろうし」
 とはいうものの嬉しそうなのが隠しきれてない声色。恋人のお母さんにはあげたんだけどとも言ってみるが、「いらんいらん。たまに電話してくれるだけでええよ」と上機嫌。
 かと思いきや
「そんなことより……」と声色が低くなる。何か怒られるだろうかと心が身構えるが「△△(兄)はどうしてる? 何も連絡してこん」と兄が全然実家に連絡をよこさないことに対する苦言だった。
 それを僕に言われても仕方がない。母の日ということもあってか、「あの子も⬜︎⬜︎(母)に似てきたね」と珍しく、生き別れた母のことを話す。前に恋人を連れて実家に連れて帰ったとき、叔母も同じようなことを言っていた。
 確かに兄は冷たく見えるところがある。僕は実家に恋人を連れて帰ってから、写真を見たり、生き別れた母のことをいろいろな人から聞いたりした。それから、父や祖母、実家というものが有限であること、僕が死ぬよりも早くいなくなってしまうことを強く実感した。だからか、父や祖母にはなるべく交流しておきたいと思ってしまうのだ
 僕も心変わりがなければ、地元を嫌い、家族を嫌い、ないがしろにしていただろう。だから兄の気持ちもわかるし、祖母が怒るのも分かる。そして双方が互いを理解する難しさも。
 失う悲しみ、痛み、失ったという事実だけが永遠に残り続け、それが繰り返し見せる悪夢。それらを知っているからこそ僕は、なるべくそれを回避しようとするだけだ。だから別に兄が冷たくて僕が優しいわけじゃない。いずれ兄はそれらにぶち当たるかもしれない。それをどう受け止めていくのかは気になる。まぁ僕がこうして誰かを少しでも嬉しくしているのであればそれは嬉しいけど。自分を苦しめる癖がこういうところで役に立つとは。多分兄がそういう局面にぶつかったとき必要なのは、僕が受けてきた諸々なのだろう。まぁ兄がどんな人生を過ごしたかは知らんけど。
 恋人と合流する。それから服を見たりゲームを見たり100円ショップに行ったりしてから帰った。
 帰路には恋人と手を繋いで帰った。こうしてられる当たり前の幸せをちゃんとじんわり喜べることがうれしい。
 明日は母の日だ。

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