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ワンス•アポン•ア•タイム•イン•チェリーコート

2024年1月1日に発生した能登半島大地震で被災された方にはお見舞いを申し上げるばかりでなく、私の軽率さが今回の件においてご迷惑をおかけする事態の発端を担う形となって現れたことに関して重い責任を受け止め、謝罪いたします。此度の震災において亡くなられた方にはご冥福をお祈りするばかりです。

2024年1月31日

本名「ササキハヤト」という男の情報を求めています。是非最後まで記事に目を通していただき、拡散もよろしくお願いします。

第一章 サイレンス•オブ•住所公開浪

1月1日

16時10分、マグニチュード7.6の震災発生。あと約2万5千文字続くこの拙い文言の中で一番大きなイベントをここで消費。僕はそんな時間に警報の音で目が覚めたのだが、断っておきたいことがある。この書き手に、決して、「趣味?寝ること。」などとほざく誘い待ち無気力オカマ__時代に逆行していると思われるかもしれないが...そんな無味無臭をアピールしながらドス黒いプライドを隠せていないような奴らと同じレッテルを貼らないことだ。僕には立派な趣味がある、心と時間の隙間に散らす宝石箱が。映画や音楽、漫画だって、早慶と地方旧帝国大学の徹底比較も、鍵引用、本番強要、冷笑、そして個人情報大公開も。かなり脱線してしまったがなんとか本筋に戻ってこれたみたいだ。18時頃あった夕食のシーンにお繋ぎ致します。
 祖母、叔父、叔母、父、僕で夕食。親戚一同の議題は地震より受験。正直弟の受験には父以上に興味がなかった。インターネットのお友達、どこかにいるであろう手厳しい誰かから指摘される前に自嘲に走る防衛機制を発揮、ともかくその友人たちとの話のネタになるかもとしか。
そして食後はみんなでテレビを...テレビ!
バラエティ、年末年始、例のタレント、スキャンダル、この記事で言及する中で二番目に社会に影響を与えた出来事か?いや、一体いつから売女と所詮“御伽衆”の小競り合いにほとんどの人間が知的活動のリソースを割くような国になってしまったのか。寝不足の時、目に映る、脳裏によぎる、全てのヒトモノコトに対して悪口を考える癖がある。それで今日のノルマが終わったところでLINEをチェック。数ヶ月前諸事情によりツイッターが凍結されても通知を気にする癖は抜けず、普段は全く来ないLINEのわずかな通知を、少ないおかずで米一合を平らげるように味わうのがここ数ヶ月の過ごし方だ。

 インターネットのお友達数人から送られてきたスクリーンショットにはかなり面食らったものの、本当にマズイ時のあの、頭の中の「ぷつっ」から出た「じんわり」が首筋まで広がって、その直後一気に「ぞわぞわ」に変わる感覚は無かった。何も珍しい苗字って訳でもない、同姓同名がいたって別に...
「俺は無事ですよ、こいつは関係ないです。」そう返しただけじゃなんだか気が収まらなかった。えーと、「拡散よろしくお願いします🙏」
先に言っておこうと思うが、この後の展開の大半は、僕がスマホの文字を睨んで文字を打ったり、歩いたり、人にこうやってお願いをして断られたり聞いてもらえたり、それだけの展開しかない。

元フォロワー提供 20時頃?

 風呂から上がると、事態はかなり最悪だった。ロールシャッハをアイコンにしたからには映画の劇場公開版ぐらいは履修しているの?クソ野郎。フォローしている3人も僕のお友達軍団メンバー、いいね欄も言ってみればその、「チェリーコート」関連、これは自分から全世界に向けて公開した僕のアパートの名前だ。僕はただ“インターネットの人気者”になりたくてなりたくてそれだけだったのに。端的に、簡潔に、大変分かりやすく、噛み砕きつつ、一口で言うと、デマが確定。特に気になるのはPayPayでの寄付を募るツイート。こいつは身内か?同じリビングの斜め前の座椅子でAndroidを弄ってるパパの横顔を思わず確認。約1秒のロス。この時点で最いいね獲得ツイートは確か3万前後に到達していた。

1月2日

2時に目が覚めて眠れない。例のアカウントの例のツイートが5万いいねを突破。まともな人間なら、悪ふざけが全国規模にまで広がってしまったら、間違いなく雲隠れするはずなのに。「趣味:人間観察」、いや違う!僕は、冒頭でも言ったが、今まで冷笑を向けていた奴らの、あるようで積み重ねが毛ほども無い趣味なんて!それでも自分の人生がかかっているとしたら?プロファイリングが止まらない。
 祖父母の家の、寝床として布団を敷いている部屋に窓は引き戸のサッシしかないが夕方以降シャッターを降ろすことになっている。それと弟が中学生になった時期から就寝時は“ちっちゃい電気”も消すことにしているせいで光は全くない。目に入る情報はスマホの画面とかろうじて見える隣の布団の父の寝顔だけ。僕は父を口先だけの義務感なんぞ抜きに心の内では尊敬しているが、彼の癖...説教や団欒の席で手垢がついたような説話集を何度も披露することには多少辟易していた。「デマ」、といえば「東郷平八郎が作らせたシチューが肉じゃがになった」話?いや今は全く関係ない。「賢い怠け者は司令官向き、馬鹿な働き者は兵士向き...」、これも多分今必要な話じゃない。「飢えている人には魚を与えるより釣りの仕方を...」これもハズレ?
「人の器量を一番反映するのは」...!「その人物が成し遂げた犯罪行為、だ」これだ!!
 アメリカの刑務者カーストの底辺が性犯罪者なのは有名な話だが、一方でトップに立てるのはマフィアの幹部、そしてプロの銀行強盗らしい。反権力の象徴という追い風もあるが所謂「心技体」に頭脳が加わったカリスマだからこそリスペクトを得られるんだと。自分の焦りの正体が、その実ほとんどが犯人個人への苛立ちだとようやく気づけたんだと思う。“あいつ”のツイートは、地震を予知でもしていない限り突発的な行動だったんだろう。それで数万のいいねと数百万の耳目を集めたのは?多くのデマが拡散されやすい土壌があったとはいえ確実に狙って出来ることじゃない、悪い偶然だ。“あいつ”は身内に向けたいたずらがたまたま全国に拡散されたのをより承認欲求を満たすチャンス、そう捉えた上で金銭を募りだしている。始めから金目当てではないのだ。確実に僕を認知しているとしたら、こいつは「浪人界隈」に表のアカウントがあるんだろう。浪人界隈にアカウントを持っているということは、浪人界隈ということです。デキる文系は十分性の確認も忘れない。ああ、“あいつ”はきっと、界隈によくいる“アレ”でPayPayでの寄付もきっと金が目的じゃない、「過激なやり方で金を集めた」というトロフィーが目的なのだ。動悸のギアをセコンドまで落とせたはずがまたサードにチェンジ、「厨二病詐欺師の出来損ないが俺の名前を?」、(当初詐欺罪について詳しくはなかったが) “あいつ”のその器量とやらを人並み以上に見積もることは出来なかった。それが不愉快だったのだ。
 “情報公開(グラスノスチ)”以来、ある程度のことは覚悟ができているつもりだ。しかし“あいつ”、あんな程度の奴と僕を誰かに、誤解からか捻くれた推理からか、どちらにせよ同一視されることには耐えられそうにない!またツイッターを始めて何か行動をおこすべきか!?それでも退くことを考えざる負えない。あいつが界隈によくいる“アレ”だったとして、侮蔑や呆れの概念を解さず注目を集める自分をアテにした酔いどれ蛇行運転にエクスタシーを感じる予想通りの障...人物だとしたら__“あいつ”は僕を釣り上げようと思っているのでは?怒り心頭の僕があのアカウントのリプライや引用リツイートに乗り込んで...レスバ...か。所謂レスバトルというデジタル口喧嘩の貶し合いは必要以上に注目を集め、そしてよくいる“アレ”共はレスバトルという言葉そのものに過剰な憧れや箔を感じる下世話な“いきもの”なのだ。
 とにかく世界で一番軽蔑している個人の手のひらに行儀良くちょこんと正座しにいく気は毛頭なかった、たとえこれまでの想定が僕の被害妄想による決めつけだったとしても。攻めの理由と守りの理由、後者は名前以外の人質がいることだった。考えられる最悪のシナリオのうちの一つにかなりの注目度を持つようになった“あいつ”が、当然知っているであろう、僕の住所や顔写真を誤解を生む形で拡散するケースがある。いや、むしろ”あいつ”はソレをカマすタイミングを待っているのでは?直接奴に絡みに行けば“あいつ”の大好物の「レスバトル」に発展することは__無論、道理は10割こちら側にあるので意見のぶつけ合いというより僕の糾弾を“あいつ”が屁理屈や口先だけの嘘でかわす、コミュニケーションの奇形とも言えるようなやり取りになると予想はつくが__目に見えている、かもしれない。そうなれば身内は味方についてくれると甘く考えることは出来ても、何も知らないオーディエンスはどこまで事情を理解できるのか?“あいつ”のオナサポに付き合って神経を浪費した挙句、展開が熱を帯びたところで残りの個人情報を最悪の形で拡散されたら...その幕引きだけは絶対に避けなければならない。じゃあ今出来る事って“あいつ”が急に変な気を起こさぬよう祈る事だけ?10年に一度の最悪の気分に間違いなかった。こんな事は去年、いや一昨年滝沢ガレソなるインフルエンサーに、いやアレは俺が悪かったな...今は違う!どうしてツイッターはもう数ヶ月触っていないのに、いいねが欲しくて名前と住所を公開して注目を集めていい気分に浸っていたという過去が今になって僕の自律神経を犯す権利を持っているのか。
 こんな時明るい話題を連想しようとすると、どうしても前日もらったお年玉がチラついてしまう。年齢については聞くな...!少子高齢化の影は我が一族の先細る未来に着実に手を伸ばしていた。だがそこからこの「note」を連想して開けた一筋の活路!noteでの記事なら文字制限で途切れる事なく自分の事情を間接的に、要は“あいつ”と“盛り上がる”ようなやり取りを避けて伝える事ができる。とにかく何か行動を起こしたかった。当の記事を書き上げたのは30分足らずだったように思う。サムネイルにユーモアを忘れずに。目を引いて欲しかったのがひとつ、そして追い込まれた輩が語尾に「草」を生やすような効いていないアピールの発露でもあったのかも。「記事を書きました、拡散よろしくお願いします🙏」
時刻は3時30分、周りの反応も全く無い時間帯ということを、自分に今は焦らなくていいという言い訳に昇華。

 諸事情により父と別れて1人で両親の家へ。のぞみ一号に乗り込むまで極力例のアカウントやその周りを見ないようにしていた。(もしかしたら“あいつ”は既に謝罪してツイートを消しているのかもしれない)、いてもたってもいられずツイッターのアカウントを新設。やはり“あいつ”は健在。さっき述べたように、奴とのやり取りなんて考えていないが監視のために...
 数時間前に書いたnoteが予想以上に多くの人に読まれ、自分を信じてくれる人がいたことに落ち着きを取り戻す事ができた束の間、電光掲示板から容赦ない一行の文字列が網膜に叩きつけられた。
「岸田総理『悪質な虚偽情報の流布は許されない』」
もはや一刻に猶予もないように思える。第一優先は“あいつ”の正体や謝罪などではなく、アカウントの削除。一方で“あいつ”はこの声明を知っているのだろうか?すぐに考えるのは無駄だと肌で分かった。21年間の人生で“ああいうの”もとい“ああいう行動を起こしそうな輩”が素直に謝る瞬間に立ち会えた事は一度も無い。“あいつ”が事の重大さを知ったとて自ら引く事、すなわちこの場合、おとなしくアカウントやツイートを削除する事など統計学上心理学上人間科学上全くあり得ないと断言できる。だいたい異性の親が甘く同性の親が厳しいとああいうのが育つのだ、大抵は一人っ子か末っ子で...失礼しました、話がそれましたね。
 例のアカウント周りを監視していたが、それ以上出来る事はなかったし、それならしない方が最善だったとも思えた。これを見た瞬間、右心房だか左心室だかの弁が自律神経の巻き込み事故を起こしてエラーの鳴る音が聞こえたのだ。決して比喩なんかじゃない。

※後々出てきます

 このへずまりゅうというインフルエンサーの男は“あいつ”の敵だが、僕の事情を汲んでくれるのだろうか?そもそもコンタクトが取れるのか?さらに言えばそもそもコミュニケーションは取れるのか?心労に次ぐ心労が想像力を縛り上げる。
 睡眠不足が怒りにプリペイドチャージされ、結合部分のトイレで用を足している時にノックされた時でさえ憎しみをドアの向こうの顔も知らない他人に向けるようになっていた。お前たちは震災の被害も受ける事なく時刻表通りの新幹線に乗っているんだろう?数十センチ先にいるこの俺こそ、この全車両で唯一の“被災者”なんだぞ。
 家に着いたのは13時頃、流石にそろそろ“あいつ”は俺のnoteに目を通して「俺が知っていること」を知っている頃合いだろうか。母がリビングで被害を伝えるニュースを見ていたが気が気でなかった、緊急速報のテロップと共に自分の名前が流れたら...馬鹿げたパラノイアかもしれないが、それぐらい気が参っていた。
 18時、羽田空港で航空機事故が発生。これこそこの記事で言及する中で二番目の規模のインシデントだろう。亡くなられた海上保安庁の5名には大変申し訳ないが、僕には“あいつ”の動向が何よりも最優先だった。深夜に書いた声明もより多くの人の目に留まり、身内からは志同じくして“あいつ”を非難する声、僕の事情を知らぬ人達からも詐欺罪に抵触しうる可能性について言及する意見もあった。だがまだ例のアカウントは?全く動きがなかったように思う。
 18時22分、ついにあのアカウントから謝罪文が投稿される。

 うなじの部分に、プロファイリングが見事的中した少しの喜びそして、今までの人生で経験したことのないような怒りが溶け合った。な?“あいつ”というやつはまともに謝ることも出来ないだろ?そして、よくいる“アレ”特有の界隈というモノへの異常な帰属意識、口頭だけ(文面ではあるが)の金銭は寄付したという申告で責任を免れようとする態度、というより逃げ切れると思い込んでそうな知能全てが心臓の弁をブチ剥がすには充分すぎた。第一章はもう終盤、土壇場でこそ冷静に、いやこの場合咎人は“あいつ”、介錯人は僕だ!だが直接刺激すると、ツイッターのアカウントで絡みに行くと、今より多くの目に留まる展開になると、少しでも奴の承認欲求を満たしてしまう。
「お前の誠意なんて必要ない。ただ今すぐにふざけたアカウントを消せ。だが最後の最後までお前の欲しがっているような展開にはしない、周りから見ても味気なく消えてもらうからな」
ありったけの怨念を込めて第二の記事に取り掛かる。説得なんていう言葉では押せないことは知っている。「レスバトル」や「不謹慎」といった“ああいうの”を惹きつける語彙の対となる単語、奴を退けられそうな言葉があった。開示請求。僕には情報科目が分からぬ。ただ開示請求には人一倍敏感であった。大体不公平極まりない、「人の個人情報を晒していいのは自分の個人情報を晒せる覚悟のあるやつだけだ。」
奴は何か失うでもなく金までせびっているではないか。だがいくら気持ちを昂らせても具体的な方針は降っても湧いてもこない。かつて自身の陰口をおしなべて開示請求すると宣った女がおわしたことを思い出した。親が金持ちだからと惜しげもなく言っていたっけ、僕も脅されて該当の投稿を消さざる負えなかったっんだっけ。けれど心底本気で開示請求を恐れていたわけじゃない。
「開示請求します」
のたった一言、あいつがそれで食い下がりそうな輩ならここまで苦労はしない。リサーチによれば開示請求は一個で50万円以上掛かるらしい。諦めかけたがなんとしても“あいつ”を先に折らねばならなかった。さっきも述べたが苦し紛れの「開示請求します」の一言では動かないだろう、だがこちらの手札や戦略をさも現実的かのように信じ込ませることが出来たら?リサーチを続ける。Safariでそれらしい文を作るためのそれらしい言葉を調べる作業のことだが。
「IPアドレス 開示」
なるほど、これだけなら数万円で依頼できるのか!
「弁護士費用 分割」
今時の事務所は12回払いまで対応?これも使えそうだ。
 この第二の記事を書いている間、本気で開示請求の依頼に心が傾き始めたのを感じていた。ひたすら筆、もとい指を走らせる。

 今回ばかりはサムネイルも無し。何度目かのLINEで「拡散よろしくお願いします🙏」
 この件では多くの元フォロワーさんたちに頼りっぱなしで、重ね重ね申し訳なさと感謝を感じています。その中の1人に、知っている方も多いと思うが、「やまだろー」さんがいた。彼とのこのやりとりは__もっと後の展開まで覚えていて欲しいが...
とにかく彼はダイレクトメッセージで“あいつ”とのコンタクトに成功したようだ。

1月2日
「医き恥」さんには申し訳ない、一応名前は聞いた事はあったと思います。

 多分、第二の記事も“あいつ”は目を通してくれたようだ。「言わないでくださいね」「厳しいです」の一分後に報告してくれたやまだろー、本当にありがとうございました(浪)。なんとか削除への展望が開けそうな時でさえ、また「趣味:人間観察」のくだらない詮索が身体のどこかの細そうな血管を絞ってしまう。当然あるであろう表のアカウントの名前を尋ねられ、他人をあげるのはどういう意図だろう?これも熟練した統計学心理学社会学人間科学脳科学を駆使すれば今までの“あいつ”の性格上簡単に結論を出せる。奴はこの後に及んで「探偵ごっこ」がしたいのだ。それも異常な帰属意識を持っている界隈とやらの内輪の中のお遊びで!他人を振り回せる機会なんて、部活や教室や友人同士のグループのリーダーになんてなれない人種には一生に数えられる程しかないんだろう、無駄にはしたくないはずだ。あ、これは自嘲でもありますよ。とにかくノってはいけない。この時点で既に「マズイ」を避けるというよりも“あいつ”の思い通りにはさせたくない気持ちがもはや優勢だったのだが、奴の往生際の悪さにひたすら苦しめられた。第二の記事は強い語気と意思表示をギャップで際立たせるため、そして最優先のアカウント削除のためにはある程度の譲歩は必要だと思ったため、表面上は丁寧に「私のおふざけが発端なので謝罪はいらないですよ、責任は私にも半分あるのであなたもアカウントを消して、両者痛み分けにしましょう」という旨を伝えていた。もしかして“あいつ”はそれを本気で、自分のしでかしたことの責任の半分は僕にあるわけで俺は悪くない!彼も怒ってないっぽいでしょ?とでも思っているのだろうか。十分ありえそうだが...

20時頃?

 これが僕が最後に確認した“あいつ”のツイートだった。後で知ったのだが👼という絵文字は別の浪人生のアカウントをさしているらしい。あ、やっぱり君は内輪の探偵ごっこがしたいんだね。
「今すぐに消せ」「24時まで待ってくれませんか」謝る事が出来ない人種なのは分かっていた。こちらが指定した時間「今すぐ」から出来るだけ引き伸ばせば引き伸ばすほどプライドを守れるのだろう。“あいつ”とコンタクトを取れているやまだろーに、「『今すぐに消せ』と伝えてくれますか?」と震える指で要請、「中身なんて興味ない」と。

 ようやく、死亡...確認...
「開示請求•訴訟」という言葉が効いたのかもしれない。聞くところによれば、奴はスペース(ツイッター上での集団で参加できる通話)による“討論”も画策していた様子らしい。無論、何度も述べている理由から参加するわけないが。ところでこれは一件落着と言えるのか?あいつは消えても僕の名前は?

第二章 ノーカントリー•フォー•顔曲がり

1月9日

 時刻は確か19時過ぎ、僕は警察署に向けて歩いている。荷物はノート、筆記用具、ファイル、そして「ありがとうございました浪」(以下、あり浪)のツイートの印刷だ。
 あの日から1週間が経って僕の周りの友人たちの、例の件に関する熱が冷めてしまっているのを感じた。共通テスト前という時期に差し掛かったというのが一番の理由だと言い聞かせていたけれど、周りからすれば他人事のゴタゴタに過ぎないことを本当は自覚していたはずなのに。正直、終わった話として飲み込みたかった。が、第一章での“あいつ”の人格分析は、数少ない成功体験のうちの一つになったおかげで忘れ難いものになってしまったのだった。
 ところでこの時直近の思い出は、最寄りのセブンイレブンであいつのツイートを印刷した時の、コピー用紙切れと処理してくれた外国人の店員と無意識と見せかけてかなり意識的に印刷物を裏返し隠すようにした自分。そんな気の弱さで警察に“これ”を突きつけられるのか数分間悩んだ。ここからのルートは頭に入った、大通りに沿って直進。それだけ。正直言って、“あいつ”の行為が罪に問えるのかさえ分かっていない。ああこの辺の街灯ってこんな色してたんだ。2、3時間後に展開が好転するにしろ悪化するにしろどちらでもないにしろ、15分後恥をかかなければいけないのは分かっている。顛末を大人にどこからどうやって説明する?大前提のその、本名が使われた理由は?一つ一つ考えなくては、いや、今は歩いていかなくては、考え事をしなくて済むように何気ない通りの夜景に感動しなくては。ブロックを通り過ぎるたびもう少し先に見えている建物の影が目的地ではないことを祈った。
 11時の方角に警察署を確認。距離およそ100m。でも待って、入り口の傘立てなんかがある二つの自動ドアの間のスペースで背筋を伸ばして入館、そして受付口で僕はこう言う「すみません、ご相談したい事がありまして」それでそれからは?考えていなかった。そもそも警察署の受付はどうなっている?説明のための説明はどこの誰にどんなふうにどこまですればいい?そもそも俺はどうして心をまた傷つけに行くために、体をこんな冷たい向かい風の中運んでいるんだろう。
 9日から数日前、あいつのしそうなことに思いを巡らせる。「浪人界隈観察スレ」、読んで字の如し、浪人界隈について書き込むスレッドだが、ここに書き込んでいる人間というのは界隈の中でもかなり..その...。だが予想は的中していたのではないか?

>>208>>210、ありがとう。本当にありがとう

 また当たり。頭の悪さを往生際の悪さで補うタイプの敵と戦うのは初めてではない。自称外銀勤めで韓ドルの顔批判厨の変なおばさんと言い争った時も__またしても話が逸れましたね。わざわざこんな場所に書き込むとは、せっかくお望みのトロフィーを手に入れたのにツイッターの表のアカウントではとても話せないことに気づいたからか。だが本当に“あいつ”本人か確証はないのでは。なりすましのなりすまし、偽偽俺?だがこれを見て欲しい↓

第一章にも出てきたあのやり取りはやまだろーに秘密にするよう頼んだので誰も知らない。
“あいつ”がやまだろーに自分が医き恥だと伝えたことは、“あいつ”、やまだろー、そして僕の3人しか知らない。だがやまだろーがそれを誰にも広めていないと思いこんでいる1人と言えば?“あいつ”は観察スレに書き込んでいるタイプの人間なのだ。一枚目の自称“あいつ”も当の本人である可能性が85%から95%に上昇。苛立ちのメーターも急上昇。だが、こうして寒い中歩幅をチマチマ、まっすぐ行くだけの道で頭の中がぐるぐる、こんなことになる道を選んだ決め手は“あいつ”本人の書き込みがどうこうではなかった。

 第一章でも述べさせていただいたが、自分から見せた名前だ。我が身に多少悪いものを引き寄せてしまう事ぐらいは覚悟している。だが一つだけ到底許せないことが。それは名探偵さんに自分を、あの“散々イケてる浪人界隈のオレ”に酔った色んななにかが欠けているであろう輩だと誤解される事だった。でもそれを晴らすにはどうしよう。開示請求という選択肢は今後もついて回る事になるが、一つで50万。また削除されたツイッターのアカウントのログは一ヶ月間だけしか残らないのだが、弁護士を通じた運営とのやり取りには数週間かかるらしい。不可能に近い。それでも僕が開示請求とやらを先送りにすればするほどこういった名探偵は不信感だのを募らせて確信なんかに踏み切ってしまうのではないか。とにかく客観的なアレが必要なのは分かった。“あいつ”のリプライであった指摘、詐欺行為どうこうの線に縋る。
 1月9日の場面に戻ろう。緊張で頭が真っ白に、いやこの時はなぜか真っ黒になったと記憶している。歩みを緩め入り口に向かって左折するコマンドを出すのを忘れてしまっていた。忘れたのではなくわざと通り過ぎようとしていたのかもしれない。捻れ切った性格の社会性に乏しく無口な青年の内面なんて誰も分からない。たとえ自分であっても。でもそうか、僕は音楽を聞いていた。Aメロは始まったばかり、あと3分30秒の猶予ぐらいはあってもいいんじゃないだろうか、この哀れな“被災者”に。受付口で僕はこう言う「すみません、ご相談したい事がございまして」、この続きを考えねばならなかった。まず表情は笑顔か真顔か、こんな時に人を動かす場合後者で訴える方が賢い選択であることぐらいは分かる。でも今からお話しするのはおそらく、中年壮年の警察官だか刑事の方々からしてみれば、おとぎ話の世界である事をお忘れなきように。SNS、多分この単語までは通じ
る...PayPay、これも伝わるだろう...「ありがとうございました浪という名のアカウントが」「前まで浪ルシャッハという名前で」、最低。可決された折衷案は「真顔、からの苦笑」。曲が二番に入って方向転換。警察署へ引き返そう。よし、次に話さなければいけないのは自分の名前が使われる事になった経緯、自分から言いふらしたと言ってしまえば具体的な経緯は思いつかなくともマイナスに作用するのは分かった。手紙やスクリーンショットに映り込んだ個人情報を気づかずにアップロードしてしまったと言ってしまおう。警察に嘘の申告、でもこれって大丈夫なのか?この辺りでCメロ。警察署の区画まで30m、入り口までの距離は50m程か。ペースを落として、教習所のロータリーでの停車を思い出したあたりでラスサビ。もう少しだけ、ゆっくり歩いてアウトロに合わせよう...10...9...入り口は目の前、3...2...1...。
 イヤホンをしまって背筋を伸ばし入館、完璧だ。だが受付の窓口らしきものはあっても、人はいなかった。カウンターから10mは向こうにいるスーツとジャージの男たちはまだ僕に気がついていない。このまま帰ってしまおうかと思ったが、さっきの出費はどうする。ここまできた労力と10枚のカラー印刷代、そしてコンビニで何も買わない罪悪感から買った野菜ジュース一つの代金は?多少プロットが変更されてもやらないわけにはいかない。最善の展開を、すなわちお巡りさんが「よく相談してくれたね。よしよし、このなりすましの詐欺師は明日にでも逮捕するからね」とこちらの身の上に大粒の涙を流しながらそう答えてくれるとひたすら信じて声を上げた。
「すみませーん!」一斉に振り向く。
「ご相談したい事があってぇ」言い終わる前に若い男がカウンターを挟んで目の前に迫った。外でずっと考えていた脚本を再現しなくては...
「SNS上での詐欺に巻き込まれてしまって」
「詐欺に遭ったのですか?」
「いや、実はですね」苦笑、いやまだ早い。このミスで手痛い失点。それに口角もあげすぎだ、向けたのは普通の笑顔。どうしてこの後のセリフを考えてこなかったのか。
「詐欺をしている人物が僕の本名を使っていて」
「あ、たまたま名前が一緒だったとかではなくてですね!いや、僕も初めはそう思ってたんですけどアイコンとか!あ、あツイッターの話です!」
「ちょっと待ってくださいね」またカウンターの向こう側へ帰っていく。完全にやらかしたと思った。スコアは100点満点中15点。
 さっきの若い男が帰ってくるなり窓口の内側にある一つの部屋に案内される。

「まずお名前を聞いてもいいですか」
「*****です」
「はい分かりました」
「...あの、身分証とか確認しないんですか?」僕がここまできた理由、それは“あいつ“に痛い目を見せると同時に奴は僕の自演ではないと証明してみせるため。それで逮捕だか特定だかを頼みにきているのだ。嘘や虚偽だのに人一番過敏な心が枝を張っていた。
「じゃあ一応(見せてください)」
運転免許証かマイナンバーカードのどちらを出すか迷いながら思考はまた別の心配事に不時着する。かなり前に見た映画で、冷戦時代の秘密警察の主人公がこんなことを言っていた。
「容疑者がクロかシロかは尋問に耐えきれなくなった時、泣くのか怒るのかで簡単に分かるものだ」
なるほど、万々々が一ここでもマッチポンプを疑われないためにも、冤罪の方の反応を見せれば良いわけだ。どちらの身分証を見せたのか忘れたがその時、どちらの反応が正しかったのか忘れている事に気がついた。怒るべきか泣くべきか?自分の今の気持ちは怒りだ。それを突き通してみるしかない。
「はい、ありがとうございます。刑事○課のTです」
 とにかくTさんには端折りつつも分かりやすく、カウンターで見せたような醜態を時たま繰り返しつつ説明できたはず。例のコピーも提示する。
「なぜ本名が流出したと言ったのですか?」
「そのツイッター上で、えー、複数の友人にだけ伝えるつもりがどこからか漏れてしまい予想以上に拡散されてたみたいです」嘘を言ったつもりはない。
「ツイッターっていうのは、繋がってない人にも投稿が見られるの?」
「はい」
「ふーん」
 5分おきにジャージ(?)姿の壮年の刑事が、開き切った扉のすぐ横から鳩時計のように身を乗り出しては目が合うと引っ込むのを繰り返す。背丈は僕より少し高い180cmはあっただろうか。
「なるほどね、確かに僕もこいつは99%嘘つきだと思うけど、このコピーだけの内容だと明確に被災したのは嘘って言質は取れないし難しいかなあ」
...!大事な一つを印刷し忘れていた。第一章にも第二の記事にも載せていたが、“あいつ”が僕のハンドルネームを「浪ールシャッハ」と打ち損じていたあの、舐め切った謝罪文を。浪人界隈の繁栄どうこうで“アレ”を確信させた名文。
「彼が嘘だと認めたツイート、確か印刷し忘れていました。今見せますね」
スマホを開いて9秒経過、お目当てのスクリーンショットだがすぐには見つけられなかった。印刷した分の“あいつ”のツイートは勿論、関連しうる全てのツイート、この件に関するLINEのやり取りまで全て保存したせいで1月2日の画像は莫大な量にのぼっていた。15秒経過、第2のnoteの記事から直接紹介する事に決めた。19秒経過、スマホの向きを変える。
「これです」
お互い身を乗り出す体制。
「確かに、ええと、この浪人界隈っていうのは?何かの集まり?」
「はいまあ、勉強界隈と言いますか」
“あいつ”が僕の立場ならきっとここで拳を突き上げ、いかに自分がいや自分達とやらがナウでイケてるサグなアウトロー集団であるのかと言った事を早口で語り出すのだろう。僕は正反対の気持ちだが。メモに殴り書きが追加、「浪ルシャッハ」、「本当にありがとうございました浪」「勉強界隈」。
「他にはない?こういうの」
不意打ちスクロール。こういうことしちゃうタイプなんだ。だが少し遠慮していただきたい。左上の矢印を押して記事一覧に戻ったら、見えるのは第一の記事と風俗レポ。特に17歳の部分はこっちに違法性はなくとも心象的にかなりちょっと非常にまずい。出会って45分程度だが僕はおとなしいイマドキの大学生で可哀想な被害者として今後の付き合いを考えている。
「いえもうないです。画像」
相手は中学生男子でもあるまいにスマホの側面を持つ指に力が入っていた。
 Tさんはおそらく相談のため席を外し5分強ほど、たった一人で残される事になった。その時不意に働いた悪知恵で部屋の画像を撮影。たとえ警察が動いてくれなかったとしても、警察は動いてくれていたが“あいつ”が数年間山に篭って捜査の目を掻い潜り見事逃げおおせたとしても、僕はわざわざ警察署まで来ている。警察に頼るぐらい“あいつ”を追い込もうとしているんだぞ、というための証拠。このおそらく良い悪いでいうなら悪よりに違いない自分のプライドを守るための布石の数分後にTさんが再入室。
「だいたい分かりました、でもね、やっぱりこういったケースで警察が動くには実際にPayPayを送ってしまった人が被害届を出さない限り不可能なんです。今の日本の法律ではなりすましっていうのは民事の方じゃないと」
名誉毀損の疑いもあったらしいが、少なくともあり浪のアカウントで明確な僕への誹謗中傷はない。つまり僕の立場は被害者でさえないのだ。
「けれどPayPayを送った人は他にいるようなので、もしかしたら別の署に被害届を出した人がいて、もう捜査は始まっていたりするかもしれません」
「もしそうなったら本名の知れているあなたに別の署から連絡が来るかもしれませんし、疑われることもあり得ます。そうなった時は○○署の刑事○課で自分からこの件についてお話ししたと伝えてください」
もしかしてもう終わり?パイプ椅子をゆっくり引いて帰りの身支度は牛歩戦術。印刷したプリントをゆっくり揃えてトントンしながら揃えていたところ、
「じゃあ一応その印刷したのも貰っておきます」
この日はそれだけの収穫。

第三章 G.O.D.コンフィデンシャル

1月12日

 「PayPayで寄付してしまった人が被害届を出さない限り警察は動けない。」
この前提はどうしても変えられないようだ。法テラスまで赴いて得た収穫は、40手前ほどの先生の「気持ちは分かるよ」の激しい応酬だけだったのを思い出す。
 弁護士会館に着いた時、地下一階にあるという法テラス窓口の場所が分からなかった。ロビーからガラス張りのエレベーターで短い間乗り合わせたのは、伝わるだろうか、見てくれの顔立ちは大阪人の人相に相違ないが目や皺には哀川翔系統の顔には似つかわしくない優しさと知性を湛えて、ピッシリしたスーツに身を包んだ紳士だった。
2人で地下一階に降りてすぐ、廊下で30代半ばほどの男性と縞のスーツを着た中年女性が談笑していた。小汚いジャージにダウンという出で立ちでおほけなく道を尋ねようとした時
「あっ〇〇先生!お久しぶりです!」
彼との立ち話に興じている2人の様子は全く、大人気予備校講師の授業終わりに出待ちして質問を受け付けてもらえた時の女生徒そのもの。乗り合わせた紳士はどうやら、きっと、多分、恐らく、蓋し、この職種では高名な方だったのだろう。だが同じフロアで僕が向かっている先は?
 黒を基調とした内装と間接照明だけの通路の中、勘を頼りにようやく(4分程度)窓口に辿り着いた。人はまばらだったと記憶しているが、客層の空気は市役所、平日の病院と同じに思える。窓口で渡された記入用紙は半分以上が金銭トラブルについて掘り下げようとする質問で埋められていた。法テラスというのは無料で弁護士に相談できるサービスだ、制限時間はたった30分。5分もしないうちに順番が巡った。
 狭い個室で待っていたのは弁護士の先生と研修生の女性。またしても印刷してきた例のアレを机上に乗せて、先日の反省を活かし、滞りなく事情を説明できたように思う。先方が何度かSNSでのトラブルを取り扱った経験のあった事が大きな理由に違いないが。残り20分。
「警察の方とも相談したのですが刑事では厳しいらしくて」
「うんうん、私も許せない気持ちは分かりますよ!」
「それで、なにか他の罪に問えないですかね?例えば名誉毀損」
 ここでの答えは示し合わせたかのように警察署でのやり取りと一致していた。
「民事で開示請求もできない事はないんですがね、50万60万はかかりますし、こういうのって慰謝料も少ないから費用倒れになるケースが殆どなんですよね。それに裁判だって9か月以上かかります」
 残り7分。時間目いっぱいまで話すつもりが早めに退室していた。ずっと沈黙を貫いていた研修生の女の最後のコメント、あれはなんだ?
「えーと私は、アカウントを通報してみるのが最優先だと思います」
見たところ院生ぐらいだろう、なぜほぼ変わらない世代なのにツイッターってやつを知らないんだ。もはやたった一つのやり方以外残されていない。“あいつ”に一円でも送ってしまった人に被害届を出すよう要請すること。
 実は警察署の後その方針で全く動かなかったわけではない。第一章のアレを思い出して欲しい。

 しかし結論から言うと彼はこの後、そしてこれからも恐らく、僕のメッセージに返信することは無いだろう。当時彼は単身ボランティアと称して被災地に乗り込み賛否巻き起こしていた。恐らく今後の展開の布石だかとして白々しく送っていた1000円、一万いいねも獲得できなかったトピックなどもはや興味ないのだろう。いや、捨て垢からのDMを無視していただけでそれは考えすぎか...

1月21日

行き詰まっていたその時、ツイッターの監視用アカウントで接触した元フォロワーの友人、彼からある人物を紹介される事となり、彼が今後の対局の争点になるのだった。

「バンギラス」、彼はあり浪にPayPayで3万円を寄付した結果ネカフェ暮らしもままならずホームレスになったと称し、自身もまたPayPayで寄付を募る男。“あいつ”に体の内側を常に引っ掻かれている気分を2週間以上味わい続け文字通り脳が溶けていたかも知れない。証拠となりえる画像もなく滅茶苦茶なプロットを主張し“あいつ”と同じ手口で金をせがむ彼をなぜ信じてしまったのだろうか。だが“あいつ”を追い込む切り札が目の前をひらひら落ちていったら?躍起になって追いかけるしかなかった。ちなみにポケモンは21年間プレイしたことは無い。

上部のリプライは確か1月21日?

「しゃっは」は第一章から言及している僕の監視用アカウント、それでコンタクトを取ろうとしているのだが何度メッセージを送っても数日間は反応がなかった。それで痺れを切らして送ったのが「金をやる」という言質。刑事と民事、開示請求と警察への通報を比較してみたい。開示請求は9ヶ月から1年、費用は50万。警察の捜査はタダ、PayPayのログが残っているなら電話番号も簡単に紐付けられて9ヶ月はかからないように思える。他人を後者の方法のために動いてもらうなら多少の金ぐらいは惜しくはない。だがなぜここまで彼にのめり込んだのか、PayPayを使っている社会人という属性に対する偏見がそうさせたといっても過言ではない。僕は今の大学に入って5月に初めてクレジットカードを作った。ただの自分語りでこの閑話は終わらない。社会人になったら、嫌でもクレカを一枚は持たなくてはいけないのだ。住宅ローン、ETCカード、全てに「クレジット」が必要だ。私の母は高速の一般レーンの車を見るたび
「前科でもあるんかいな...」
とよくこぼしていた。いや、この話はいらなかったかも。とにかくキャッシュレス派と現金派、未だ日本では割れているが、クレジットカード決済を利用しないキャッシュレス派とは?PayPayなんて学生向けのサービスを使っている謎の男がバカな詐欺の被害に遭って困窮することは受け入れ難い事象ではなかった。

初めて送ったメッセージ

藁に縋る思いでメッセージを送っていた。こいつさえ動かせればこの件はもう終わり。“あいつ”の家に近い日の朝警察が訪ねてきて、僕は〇〇署からの電話を受けてほくそ笑むエンドはあと一手なのか?

 初めてのメッセージから10日後、やっと僕に反応を見せてくれた。これでようやく...

 私の友人から事情も全て聞いていたようで既に動いていたらしい。ここまでnoteを読んでくれた皆さん本当にありがとうございました。また何か進展があれば報告したいと思います。ではまた。

 しかし、この日のバンギラスのツイートで少し気にかかる文言があったのを覚えている。確か
「弁護士の無料相談を利用して開示請求も進めています」
少し待ってくれ、無料“相談”で開示請求までしてくれる弁護士がいるなら僕が過ごしたわざわざ法テラスの30分、もとい23分はなんだったのか。 詳しくはないが弁護士事務所の無料相談というのは新規の初めに問題事を整理するためのものでは?手続きを進めるとは考えられるものじゃない。
 酔いが覚めてようやく真っ当な思考回路が戻ってきた。こいつを紹介してくれた友人とバンギラスとのやり取りがこれだ

友人は“あいつ”の振りをしてバンギラス(Ba)に一円を送る謎の悪戯をカマしていた

「出しました」
絞り出したように送られたこれがどうしても「被害届」「立件」というワードに恐れ慄いて現状被害者という立場から火消しをしようと苦し紛れに出てきた5文字に見えてしまう。そもそも僕に返してきたメッセージの二言目には「被害届」だ。疑念はより強くとぐろを巻き始めた。

「そのうち逮捕はされると思います」
僕に対してこの件で警察にはもう働きかけなくても大丈夫!と必死に主張しているようにしか見えないのは疑いすぎだろうか。いや、身元調査だの開示請求だの無料相談だの、リサーチもしない素人がそれらしき言葉で主張を組み立てている様子に違いないのでは。それに返金があれば被害届を取り下げるだと?きっとこいつが“あいつ”だとして、逮捕直前に返金があったので被害届は取り下げましたとなあなあで終わらそうとする布石に違いなかった。そして、金をやるという言質に食いかかってきたな。

PayPayを使えなくなってしまったのは本当

あっさり本名を教えてきた。もしかしたらバンギラスは“あいつ”なんかじゃなくただの、それこそPayPayをメイン決済で使っているような底寄りのバカな...哀れな被害者なのか?そうとさえ思えた。

1月22日

「ササキハヤト」
これが彼の名前。
「個人情報を晒していいのは自分のを晒せる覚悟のある奴だけだ」
それで...何か問題が?
実際に5000円送ってしまってどうするのか、計画は簡単だった。この第三章の冒頭の前提を当てはめるのだ。

本当に警察に動いて貰っている証拠、それさえ確認出来れば僕はもういいのだ。だがそれを提示できなかった時、僕が詐欺の被害者と称するバンギラスに支援するつもりで送った5000円と、被災者を偽る“あいつ”に誰かが送ったPayPay、どちらも同じではないだろうか。僕が直接被害届を出せる立場になれるはず、だ。

被害届の証拠を提示できれば一万円という破格のオファーを断るこいつはなんだ。疑念は確信へ。

 “あいつ”があっさり本名を漏らした理由を考えていた。なりすましている張本人、それで警察に動いてもらおうと敵意剥き出しで駆けずり回っている僕に教えた理由は?お互い本名を掴んだフェアな立場同士争おうというノブレスオブリージュの精神は見受けられない。まさか僕が最後までバンギラスの事を可哀想な被害者だと信じ込み、金銭を送り続けそうな奴だと思っているのか?なりすました挙句本人からも金騙し取ってやったぜ、と例のトロフィーをプラチナにアップグレードするのを狙っているんだな!僕の自演を疑っている捻くれた誰かのみならず、当の本人からもかなり“下”に見積もられていた怒りで、最後は強い語気をぶちまけてしまった。返金に乗り出そうとしている向こうも恐らく、5000円を送られた意味を理解し始めたのか。

「私は逆にあなたの友人の中に詐欺をした人がいると思っています」
第一章で見せた“あいつ”の終盤の目的を思い出して欲しい。内輪での探偵ごっこだ。僕の中では99%の疑いが100%に達した瞬間でもある。

ここまでのらりくらり逃げられると苛立ちは関心へと変わっていた。僕もかなり見苦しい部分を見せてはいるが...
口座を教えてしまえば返金、それだけでブロックなりしてこいつとのおしゃべりは終わってしまう。ササキハヤトの名前以外の情報や、あり浪と同一人物であると明確に分かる言質を取りたかったので引き伸ばそうと考えたのだが...

口調が変わり本性を見せたところでタイムアップ!お互いかなり歪みあっているが、もうこいつ、いや“あいつ”とのやり取りは一秒で一時間寿命が縮むほど脳と心臓に悪いと確信し、我慢の限界だった。24日に5000円は返せる。確かそう言っていたが。

これ以降バンギラスから目立った返信は無い。

1月23日


反応は乏しかったが僕はこの容疑者に向けて壁打ちを続けていた。
「お前があり浪なんだろ?」
第二章冒頭の観察スレのくだりを思い出して欲しい。僕はそれをぶちまける。その理由は醜いものだったが正直に話そう。
お前の頭の中の浪人界隈とやらはイケてるつもりのお前を持ち上げ、秘密も守ってくれていたと勘違いしているようだが、いいか?
ここで観察スレの画像を添付
「やまだろーは信用していいやつ」
そしてやまだろーとのLINEの画面も添付、
「シャッハさんにはバラしていいですか?」
「厳しいです」
の一分後に送られてきたやり取りだ
言いたい事は決まっていた。
彼は初めからお前なんぞの秘密なんて守るつもりはなかったんだ、厨二病の軽犯罪者風情め、いい気になって掲示板に書き込んでいたようだがお前の味方なんざ1人も...!
スクリーンショットはし忘れていたがこんな内容だったように思う。でも協力してくれていた友達を、自分のブランドだかランクに結びつけてマウントを取る行為なんて。少しの自己嫌悪。言い争いの末送られてきたのは

ブロックと一件のメッセージ。ええと、これは何?こいつと連絡が取れないのならもう、こんなアカウントは要らないな...削除して10日、パスワードは忘れてしまった。ここで一つの疑念が残る。あり浪アカウントにPayPayを送った人物というのは本当に存在するのだろうか。そもそも本当に騙された様子も動く気も無さそうなへずまりゅうはイレギュラーで除外するとして。1月2日の時点で詐欺を指摘する投稿は数多あったものの、実際送金したという報告はバンギラス以外に確認出来ないのだ。
「PayPayで寄付してしまった人が被害届を出さない限り警察は動けない。」
この前提を使おうにもそうやって動ける人間が存在しなかったとしたら?
事態の好転を期待するたび狭まる可能性に絶望していた。運が味方するのは被害者にもなれない僕ではなく、ササキハヤト、傲慢で知性に欠ける加害者であることに憤りまで感じた。

第四章 チェリーコート大捜査線

1月24日

 11時過ぎ頃、僕はまた警察署へ向かっていた。2週間前とは違う、早歩きで。あいつは24日に5000円は返すと言っていたがまだ入金は確認できない。僕は今被害者の立場なのだ。被害届を出して、ササキハヤトを引きずりだしていただく。本名も口座も押さえているのだ。このやり取りを印刷した紙に。そしてようやく、ネットのお友達全員に自分の潔白を、そして“あいつ”の醜態を見せてやることができるかもしれない。帰ったら早速noteを書いてやろう、面白おかしく“あいつ”を揶揄するような。詐欺は返金があったとしても金をくすねた事自体が重視されているので立件できなくもないということを調べて知っていたのだが、5000円という金額はただでさえ犯罪と糾弾するには少なすぎ、返金があれば警察側もなかなか動かないことは肌感覚で伝わっていた。
 入り口でまた、背筋を伸ばして入館。またしても人はほとんどいなかったが...
「すみません」
普通のボリュームで良かった。受付の中年女性に声をかける。この前はこんな人いなかったのに。
「以前こちらで詐欺に関して刑事〇課の方とお話しさせて頂いたのですが!」
「こちら側でまたご報告したいことがございまして、よろしいでしょうか?!」
カウンター近くにいた男性が気づいてくれた。この人も以前はいなかったような。
「とにかく聞きましょう」
以前来た時案内された個室に行くものだと思っていた、が今回はカウンターの前の長椅子。それに、相談する相手はまたしても初対面の人間だ。
「ええと、以前ご相談させていただいた時に...」
3回目、落ち着いてゆっくり話す。始めから。
「それでこの前バンギラスという人と連絡がついたのですが」
毎度人のハンドルネームをこうして説明するたび、過剰な笑みを浮かべてしまう。もはや照れ隠しの苦笑というよりヤケになった時の笑顔に近い。リュックからファイルを、ファイルからコピーを取り出す。
「とにかく僕は協力してくれる被害者の方だと思って5000円を送ったのですが」
「この態度も見てください」
「支援しようと思ったのに嘘くさくて、まだ返金もされていないんですよ」
だが相手の反応はそっけないものだった。
「それで?どういう意味?」
もう一度説明した。震災が起こってからのことを。スペクタクルが再度バンギラスの物語に突入するかしないかのあたり、白髪の別の警官が以前訪れた時のやり取りを記録したファイルを差し入れに来た。
2人の警官に、この前話したやつのことをもう一度話す。送金したこと、自分が被害者であるという証拠を見せられなかったことを。白髪の警官はマスクをしていたが二人とも目を細めながら、笑っていたのだろうか、聞いていたがそのうち白髪の方はどこかへ消えた。もう一人の方、かすかに口臭のする__Uさんにはとにかく全ての顛末を2回にわたり伝えきったはずだが。
「5000円送ったんですか?それで詐欺罪?」
「ええそういう事です。被害届の証拠も出せないなんて」
「でもね、5000円はあなたが支援の意思で送ったんでしょ?」
「買い物で金を払っても物が来ないとか、そういうんだったら成立するんだけどねぇ」
何かが切れる感覚がした。思わず声に怒気が籠る。
「ああそうですか!けどね、以前こちらでお話しさせていただいた方も弁護士の方もね、自分を被災者と偽っている“あいつ”への寄付で詐欺罪が成り立つと言ってましたよ!」
「それとこれ!自分を被害者だと訴えて支援を要求しているこいつと送ってしまった僕、どう違うんですか?」
「私達としてもね〜、あなたにこれ以上騙されて被害に遭って欲しく無いんですよ」
話を逸らされた。それにこのセリフは日本語に訳すと「めんどくさいからもう黙ってて?」そういうことだろう。
「えーと、この詐欺団にもうあなたは狙われているってことですから」
「ツイッターのアカウントをもう消して、金輪際関わらないこと、これがあなたの身を守るために...」
ここだけの話、Uの名前は書いている途中まで明記していた。当然署の名前も。
「個人情報を晒していいのは自分のを晒せる覚悟のある奴だけだ」
しかし強い立場にあるものは自分を抑える強さも持たねばならない。それが掟だからだ。
 だがまず詐欺団というここで初めて拝聴する単語、全く意味がわからなかった。中年男性にこの馬鹿げたSNSの界隈事情まで詳しくなれと要求するつもりはない。だがある程度文脈を読み解く能力さえあれば、このあり浪もバンギラスも、ありがちな一人のアスペ気質なアッパーミドル-プチジョアジュブナイルによる、変人•サグしぐさの行き過ぎた一幕に過ぎないことは単純明快にご理解いただけるはずだ。次に、アカウントを消せという指示。これは心底理解できなかった。たとえ文脈を読み取ることが難しくとも、文頭でツイッターは数ヶ月前に引退していると申し付けている。
「はい?どういうことですか?」
母のかなり嫌いだった癖は笑った表情のまま怒る所だ。しかしこの時自分にも遺伝していた事を知る。
「えーとね、この詐欺の人にね、もう関わらないように!ね?アカウントを消してこれ以上被害に遭わないようにするんです」
「意味分かってます?匿名の話じゃない、俺の本名が使われてるんですよ!アカウント消す消さないは今関係ないでしょ!」
「...だからこれ以上あなたに被害に遭ってほしく無い一心で言ってるんですよ〜」
僕がササキハヤトに5000円送った話を本気で騙されての行動のように思っているらしかった。あれだけわざとらしいイントネーションと身振り手振りを加えて話していたのに?でもあえて詐欺に遭ったと明言してしまったらどうなる?構うものか
「5000円送ったのも、はっきり言いますね、怪しいと思って送りました!」
「バンギラスが本当の被害者で警察も本当に動いているなら別に一万円ぐらいくれても良かった。俺は自分がこんなくだらん犯罪者だと誤解されるのが嫌で、証明したくて、警察に動いて欲しかったんですよ!」
実際はここまで流暢に話せたか忘れたが...
「もう一度聞きますが、初めのアカウントの被害者が被害届を出せば警察は動けるんですよね」
「まあそうかもね」
「じゃあなんでこいつに5000円送った僕は被害届を出せないんですか?」
「いやだからさ、買い物で...」
こんな話を3回は繰り返したように思う。Uはニタニタを崩さなかったし僕はずっと口角が上がったまま不機嫌になっていた。
「じゃあもういいです、考え直します。」
「うん、とりあえずまずアカウントをね、消...」
コピーしたプリントを両手で持ってゆっくり揃えるしぐさを見せてもUは引き取ろうとする様子もなかった。ササキハヤトの名前が警察署のファイルの中に保存されている、それだけの事実があれば多少気は晴れたのかもしれないのだが。
数時間後、ササキハヤトからの入金を確認。やはり天はあの知恵遅...あの純粋な心を持ってそうなやつの側についているのだろうか。

1月27日

ササキハヤトと絶交しておおよそ4日後、お友達軍団メンバー「㊙︎仮面」へあり浪からコンタクトがあったらしい。

「ガチで詐欺れてない」「5000円以上が一件だけ」
とはどういうことだろう。へずまりゅうとやらが1000円以上送金したのは確定事項のはずだ。
ともかく、㊙︎仮面は表のアカウントをしつこく詮索しているが
「表のアカウントは誰だ!?キチキチ!名探偵選手権!!」
はササキハヤトがほくそ笑む事になりそうなのでやめておこう。それに共犯がなんとかと宣っていたがこんな奴に協力する人間はどこにいるというのか。
 ところでこの最後の
「本当に可哀想」
という捨て台詞にどこか懐かしいものを感じないだろうか。そして、もう一つのメッセージがそれを結論づけていた。

「やまだろーさんが僕の名前を彼に伝えてくれてると思います」
ここで読者の皆様方各位に第一章から第三章にかけて登場した「やまだろーのLINE問題」を今一度思い出していただきたい。
 まずは
情報①「あり浪がやまだろーに、『自分は医き恥です』と伝える」
これを知っているのは、あり浪、やまだろー、僕。
そして
情報②「やまだろーが僕に情報①を漏らす」
これを知っているのは当然、やまだろー、僕、そしてバンギラス。
 そう、第三章の終盤に僕はササキハヤトに②を当てつけで伝えているのだ。部外者ではバンギラスしか知り得ないことをあり浪は知っている。

「ありがとうございました浪=バンギラス=ササキハヤト」

99%の疑念がようやく100%に成った。それに様子を見るにササキハヤトは今、怯え切っているではないか!手詰まりに思えた活路が再構築されていく。あり浪アカウントでのPayPayによる詐欺行為を刑事告発、これはさっき言った通り望み薄だ。あり浪の開示請求、これはもっと不可能に近い。ツイッターの削除されたアカウントのログというのは一カ月しか保存されない上弁護士を通じた開示はやり取りだけで2週間はかかる。だったらこのアカウントはどうだ?50万という金額は一ヶ月という時間をかけても飲み込めるほど小さくはなかった。僕が目指せる勝利というのは、ササキハヤトに全てを認めさせ、浪人界隈の表のアカウントで謝罪させる。それしかない。

作戦① ササキハヤトを焦らせ今のアカウントで僕とコンタクトを取ろうとするように仕向ける。

作戦② 上記の「やまだろーのLINE」論法を突きつけバンギラスと同一人物だと自分から認めさせる。

作戦③ ②の上で5000円送金した件が返金の有無に関わらず、被害届を出せば詐欺罪になりうることを伝え、表のアカウントで謝罪するように促す。

情けない話だが、これがその時に考えられる最大限の作戦と結末だった。だが②は僕が直接するより人伝に進めた方がいいのではないか?それより①を考えなくては。
 「へずまりゅうの1000円」はどうしてもササキハヤトも認めざる負えないのではないだろう。しかし、そう考えた矢先、ずっと気になっていた奴の「ガチで詐欺れてない」「5000円以上が一件だけ」というメッセージの霧も晴れた。奴は間違いなく現実逃避で他人にもそして自分にも嘘をつくタイプの“おしまいさん”なのだ。「返還した」という5000円のモデルはきっと、僕のだ。
とにかく「へずまりゅうの1000円」を利用しない手はなかった。彼にはメッセージを送っても2週間以上無視され続けているが...
メールアドレスを二つ、続けてツイッターのアカウントをさらに二つ作った。そして、どうだろう

へずまりゅうに事情を説明するメッセージを送っている画面もあったが割愛

二つの捨てアカウントでやり取り。認証バッジは切り抜きのレイヤーだ。彼からの返信もかなり“っぽい”リアリティ溢れる名文を画面に刻むことができたのではないだろうか。二月中旬というのは交渉のリミットとして設定した。さぁへずまなんとかがお前を追って動き出すぞ、そう伝えるためにササキハヤトにこの画面を送ってやらなければならない。彼は焦ってへずまりゅうにDMを送るかもしれない。だが結果は目に見えている、無視だろう。そこで㊙︎仮面が、別の人間になるかもしれないが、こう誘導する。
「シャッハ本人に頼んで彼の方からへずまりゅうに被害届の話をなかった事にするよう頼み込んで貰えば?」
と。これが理想。そしてそのためには真っ先に僕にタレ込んだ㊙︎仮面が現状より中立の立場でいてくれていると佐々木君に錯覚してもらう必要があった。ここから彼と僕の共同作業が始まる。

脚本書いてそれを彼に再現してもらう。こうして“見せる”用のスクリーンショットを作るのだ。脚本の中にはさっきのへずまとの偽やり取りの画面を盛り込み、「僕はまだササキハヤトの現アカウントを知らない」というプロットを立てた。
約10分ほどかけてスクショが完成。「送信お願いします🙏」
結果は?

㊙︎仮面が特定のユーザーを“あいつ”だと決めつけてその名推理を何度も何度も擦って煽ること、そしてササキハヤトがIQ100に憧れているようなのは仕方がないとして、奴の病的な楽観加減で早速作戦①が頓挫しそうな事に動揺を隠せなかった。詐欺の後に返金があったとしても罪はどうのこうのなのは拾い読みした法律相談サイトの示す通り。とにかく、返金さえすれば詐欺は成り立たたないと独自の理論を展開する佐々木君の尻に火がついていることを教えてあげなければならない。実際は警察署で門前払いを食らったことは置いておいて。背に腹は変えられないので仕方なく...次のスクショは下の画像を盛り込むため、「僕がササキハヤトの現アカウントを伝えられる」流れにしなければいけなかった。

「別件」というワードでバンギラスの件を匂わせようとしている

そして反応は

顔文字一個?そして一言。別件の内容を知っているかのような口ぶりに歯痒さを隠せない。
 間髪入れず作戦②に繋ぐ事にした。②にさえ繋げれば、㊙︎仮面を通じて無理矢理奴にコンタクトだって取れる。今度の脚本は「やまだろーのLINE問題」を自然な会話で、そうまさに共通テスト数学の太郎と花子のように再現する必要があり、IQ80の男でも認めざる負えないような分かりやすさも求められる。さぁ、僕が彼のメッセージの違和感を感じるところから...

かなりの枚数になったので割愛

上記の「やまだろー」論法以外にも、㊙︎仮面にバンギラスのことを説明するくだり、現ササキハヤトのアカウントとバンギラスとあり浪の三つは全てローソンの懸賞垢でどれも震災の直後に動き出した事、㊙︎仮面にコンタクトをとったのがちょうどバンギラスと絶交してからのタイミングである事、バンギラスから本当に3万円が送られていたのなら5000円の返還うんぬんのメッセージで触れられていなければおかしい事...
全てを語ったせいで絶大な長さになってしまった。これも日を跨いで㊙︎仮面と再現...

メイキングの裏側
送る直前

力作をいざ公開。劇場の観客はたった二人いや、舞台に一人、席に一人か。

どうやら配慮が足らなかったらしい。僕が1時間かけて練った脚本は彼にとって助長で読む気の失せるものだった。おそらく「やまだろー」の「や」の字も目に通していないのではないか。独自の方法でバンギラスの容疑を晴らすと㊙︎仮面に持ちかける。

もはやなんと言えばいいか...憎さ余って可愛さ100倍にはならないが...。彼を表しているかのような、傾いた画面にバカらしさ全開のピンクのスタンプを乱雑に貼り付けた、まさに彼のエッセンスを凝縮しているかのような一枚で無罪を証明しようとする勇気に拍手を。だがまだ突っつける部分は残されている、「やまだろー」問題を認めさせるため㊙︎仮面を通じてせっつくのだ。

神はここにおわしたということだ。これを言われればもはや責める余地も無かった。彼の主張はまだまだ続く。

理解するのに5秒もかからなかったはずだが体感では10年間は宇宙の真理に触れ続けていたような気分だ。彼の主張をまとめるとこういうことらしい。
「1月2日、俺はありがとうございました浪に悲痛なリプライを送っていたバンギラスに対して、詐欺を嗜めるリプライを送っていましたよ!こんな猫の画像を添えてね!どうです?本当に同一人物ならそんなことしますか??」
奴にも㊙︎仮面にも自分にもかける言葉が出てこなかった。

すぐ拗ねるところにバンギラスの面影を見て、ノスタルジアを感じる暇も無く僕自身追い詰められている事に気がついた。直接こいつと話すぐらいしか道は残っていない、のか?

これで終わり。本当に終わり。奴のこのアカウントはこの直後削除されてしまったし、数日間この件に関して誰からもコンタクトも無かったのだが...数日前へずまりゅうのメッセージを作るためのアカウントで彼と最後コンタクトを取ろうとした。

 どうやら僕は許されないらしい。
 最後の”あいつ”の誤字、必死さ、そして
「気まずい」
はきっと僕への恐れを誤魔化すため咄嗟にでた言葉だ、油断させて本名を誘い出した後一気に“あいつ”を暴いてやった俺のことをビビってるんだ...
ここ数日そんな風にプラスの自己暗示にかかることでほくそ笑んでいる。このnoteを書いたのもそうだ。「ササキハヤト」、この名前を容赦なく広めてやりたい。そして文字からでも伝わるあの醜態も!だが最大の懸念、「全て僕の自演だと思われている」ことは?まだ解決していない。きっと読者の9割9分は僕を信じてくれていること、を信じている。けれど客観的に見て警察や弁護士は?相槌こそ打てど何も動かなかった。バンギラスだのとのやりとりも所詮画面の中の話にすぎない。どこかにいるであろう手厳しい誰かからそのことを追求されても返すことはできない。思えば馬鹿が力を、いいね数を大層な言葉で言い換えただけのような気がするが、手にした時点で誰も幸せにはならないのは決まっていたとも言える。俺もササキハヤトも一ヶ月間心はきっと休まらなかった。無論同情もしないが。終わり(未完?)

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