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理屈じゃない、理屈じゃないんです...

今日の昼もオンラインで家庭教師の授業がありました。
生徒さんは、一番最初の記事に書かせて頂いた、ゲーム得意の不登校の中学3年生です。

今回は、そのオンライン授業を通じて学習コンサルタントとしてぼくが反省したことや感じたことなど、日記みたいになるは本当は嫌なんですが...
投稿させて頂きたいと思います。
最後までお付き合い頂けたら幸いです。

寝たふりから始まる家庭教師の授業

今回もZoomで部屋を用意して、生徒さんの合流を待っていました。
今日も最初に対応してくださったのはお母さんで、そこに生徒さんの姿はありませんでした。

そして、お母さんから「寝たふりをしていてます...」と伝えられました。
実は、先週の授業予定日にもお母さんからLINEがあり、
「寝たふりをしていて、起きようとしないんです。やる気がないんです。」
という連絡を受けて、その日の授業を今日に延期していました。

ぼくは心の中で、『連続かぁ...今週も一筋縄ではいかなそうだなぁ』と覚悟しつつ、
ちからずくで起こそうとするお母さんをそれとなく止めながら、
とりあえずZoomのつながったiPadを生徒さんの近くに置いて頂きました。

画面内の生徒さんは相変わらず寝たふりをしていました。
何を言っても返答はありまんせん。
その状態を見かねたのか、お母さん再登場。
生徒さんの体を強めにゆすりながら、起こそうとします。
ぼくは、『それをやめてほしいんだけどなぁ...』と思いつつ、お母さんに「ぼくに任せてほしいです」と伝えました。
お母さんにゆすられている生徒さんの目は、少し涙がかっていました。
その様子から、生徒さんには何か言いたいことが、伝えたいことがあるのだと、そう感じました。

どうしようかと困り果てて、ぼくが取った行動は...
「とりあえずYesかNoで答えられる質問をするから、Yesなら首を縦に振ってくれるか?」と提案してみることでした。
おそらく話ができる状態ではないだろう...ということは見てわかったので、何とか返答をもらえるようにするための工夫でした。
生徒さんは、ぼくの提案に対して、寝たふりのまま首を縦に振ってくれました。

今になって考えると、
寝たふりをしているのに、首を縦に振ってくれるという行為は、「どうしていいかわからない、でも何とかして欲しい...」という生徒さんの素直な気持ちが出てきたものではないかと、そう思いました。

ぼ  く:勉強嫌いか?やりたくないか?
生徒さん:(首を横に振る)
ぼ  く:そうか。この家庭教師の授業は嫌か?
生徒さん:(首を横に振る)
ぼ  く:そうか。ありがとうな。お母さんとまたケンカしたのか?
生徒さん:(首を横に振る)
ぼ  く:そうかぁ...(これも違うのか...)

予想していた見当が全て外れしまい、困っているときに、ぼくはあることを思い出しました。
そして、ぼくはこう続けました。

ぼ  く:もしかして、違ったらごめんやけど、自分を責めてるのか...?
生徒さん:(首をゆっくり縦に振る)
ぼ  く:そうか、そうゆうことだったのか...。

やらなくてはならない、でもできない

ぼくが思い出したことは、前回の授業のときに生徒さんにしたアドバイスのことでした。
その授業のときに、生徒さんからの「どうしても家庭教師の前になるとお母さんとケンカしてしまう。すんなりと授業に入れない...」
という相談に対して、
「なら準備とか自分で全部やったらいいんじゃね?家庭教師の開始時間はわかってるわけだし、それまでに他のこと終わらせて、数学の準備して、iPadでZoomと繋げたらいいんじゃね?」
と提案していました。
生徒さんはそのときは納得している様子でした。

今回も、そして延期にした先週も、おそらく準備を自分でやろうと思ってくれていたのだと思います。
でもできなかった...
だから、自分を責めてしまっていた。
そして、どうしていいかわからなくなってしまい、
寝たふりをしてしまったのだ、と気が付きました。

頭では「勉強を始めなければならない...」「学校に行かなければならない...」と分かっているんです。
でも、できないんです。
なぜできないかは、分からないんです。
みなさんには、この意味が分かりますでしょうか。
...そうなんです、理屈じゃないんです

おそらくみなさんにも同じようなご経験があるかもしれません。
「お風呂に入らなくてはならない、でもそのまま寝てしまう...」
「お酒は適度にしなくてはならない、でもついつい飲みすぎてしまう...」
頭ではわかってるのに、できない...。
ここに理屈や根拠はありません。そうゆうものなんです。

普通のアドバイスのリスク

ぼくは、今回の授業で、
「それは別に悪いことではない。そんなことで自分を責めちゃだめだよ。」
「大人にだって、他の同級生にだって同じ様なことはたくさんあるものだよ。だから、少しずつでいいから自分で自分自身をコントロールできるようになっていこうな。」
と伝えました。
生徒さんはうなずいてくれました。

今回のぼくの反省点は、
「お母さんと家庭教師の授業の準備でケンカしたくない」
という相談に、
「なら自分でやればええやん」
という、ある意味普通のアドバイスをしてしまったことでした。

おそらく、同じような相談に対して、ぼくと同じように答える人は多いかと思います。
でも、不登校の学習コンサルタントをする上では、それではダメなんです。
いわゆる普通のことができなくて困っている生徒さんに、そういったアドバイスをすることは、できなかったときの反動が大きいというリスクもあるのだと感じました。

今日は、なんとか勉強できる状態になるのを待って、数学の連立方程式の代入法の解説を10分ほどですができました。
『本当に帰ってきてくれてよかった』と、そう心から思いました。
寝たふりをしたまま終わってしまっていたらどうなっていたか、と考えると寒気がしてしまいます。
まだまだ、至らないところが多い学習コンサルタントですが、一歩ずつ生徒さんと前に向かって進めていけたら、という気持ちを持って、これからも家庭教師の授業ができたらいいなぁと、そう思いました。

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