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<第16回>答えが見えないからこそ書く〜正解発見の旅は『書く』ことから〜【文章の書き方入門講座】

1.答えが見えない時代に生きる私たち

こんにちは。
戦略マスター頼朝です。

突然ですが、私たちは今、答えの見えない時代を生きていると思いませんか?

「定年まで働き続けても、十分な年金額がもらえるかどうか分からない」

「そもそも、今の会社で定年まで働き続けられるかどうか、先行きが見通せない」

「世界を見ると戦争が起こっているし、物価や税金・社会保険料などが上がり続ける割に給料は上がらないし。」

「市場が成熟化したため、類似商品やサービスで溢れかえっており、どうやって自社の商品やサービスを売っていけばいいのかが分からない」

「経済環境が変わるスピードが速すぎて、これまでのビジネスモデルでは通用しない気がする」

「ネットを見ても、情報が溢れすぎていて、どれが正解なのかが分からない」

などなど。

私も以上のようなことを考えつつ、毎日試行錯誤を繰り返しながら生きている一人です。

教師生活は通算25年になりますが(そのうち教室長経験は10年以上)、過去に成功したパターンがこれからも通用するとは思えません。

子供の数が大幅に減っていることに加えて、近隣では学習塾や予備校が林立しています。

「どうやったら、生徒さんをたくさん集めることができるか?」

「地域で信頼度ナンバーワンの塾にするには、どうしていったらいいか?」

これまでの自分の経験が活きる場面もあれば、インターネットやSNSの発達、そして、子供の家庭・学校環境の変化などに合わせて、やり方を変えていかなければならないことも多いです。

そういえば、ちょっと面白いなぁと思ったのは、前職のブランディング会社に勤務していた時のこと。

私は会社のブログやSNSの記事を執筆するライターとして、かつ、経営企画職として働いていました。

社長を初め、同僚の人たちは皆良い人たちばかりでした。
また、マーケティングやブランディングの世界に携わって10年以上のベテランばかりでもありました。

ただ、そんなベテランのマーケターやブランドデザイナーでも、「どうやったら商品やサービスが売れるのか?」について、誰も正解を持っていませんでした。

もちろん、過去の成功事例をパターン化した知見や、実際にヒット商品を作った経験は皆持っていました。

それでも、クライアント様から新たに依頼された商品やサービスを売り出すのに、長時間の会議でも答えが出ない場面が多くあったことが印象深いです。

マーケティングやブランディングの世界は、過去の成功事例から抽出した成功パターンを法則化して、それを類似の事例に活かす手法をとっていることが多いです。

ただ、会社自身や商品・サービスを取り巻く市場環境の違い、会社そのものの組織風土の独自性など、様々な変数が異なるため、過去の成功パターンがそのまま当てはまるわけではありません。

そのため、絶対的な唯一の正解がない世界で、皆戦っていました。

ヒットメーカーと言われるマーケターやブランドデザイナーの人でも、百発百中で商品やサービスが売れる仕組み作りをできているわけではないと思います。

これは業種や業態を問わず、どこの業界でも同じでしょう。

環境変化がどんどん速くなる現代において、答えがない中を暗中模索しながら、それぞれの仕事を頑張っている人が大半なのではないでしょうか。

2.ちょっと立ち止まって考える時間を

絶対的な唯一の正解が見えない世界に生きているからこそ、数ある選択肢の中で正解になる確率が最も高いものを選び出し、その後は自分が選んだ選択肢を正解にしていく努力が大事なのではないかなと思います。

そして、そのためには「考える時間」を作り出すことが出発点になる気がします。

日々、仕事や家事に追われる中で忙殺されてしまいますと、未来のための仕込みを作る時間や気力がなくなってしまいます。

その上、左から右に仕事をこなしていくだけの毎日ですと、自分自身がどんどんすり減っていってしまう感覚にも襲われます。

「考える時間なんて取れないよ!」と思われる方も多いでしょう。

私も、冬期講習期間中なんかは、転職した直後ということもあり、授業や事務作業に忙殺されてしまい、考えるどころではありませんでした。

それこそ、家には寝に帰るだけといった毎日でした。

それでも、少しでも改善や改良をしていかなければ、来年も同じ苦しさが待っているだけです。

「このままではいけない!」とひたすら思う日々が続きました。

そこで、1日の時間を徹底的に洗い出して、15分から30分ほどの余白時間を作り出しました。

時間がないならば、優先順位や緊急度が低いものを削るしかありません。

ただ、削ったものも、その後は永遠にやらないのではなく、一旦脇に置いておく感覚です。
「余裕ができるようになった時にまた取り組めばいいや」くらいの気持ちで削りました。

また、悪しき完璧主義も捨てました。
それがかえって自分の足を引っ張ってしまっていることに気づいたからです。

「要点さえ外さなければ、7割から8割くらいの、ほどほどの出来で良い。
できなかった分は、後日の時間が空いた時にでもやれば良い」

くらいの気持ちに切り替えたことで、時間のやりくりがずいぶん楽になりました。

このようにして、忙しい中でも何とか考える時間を作ることで、物事が良い方向に進み始めたように思います。

3.考えたことを文章にして記録していこう

考える時間を何とか作り出したものの、頭の中だけで考えているだけでは良いアイディアは浮かびませんし、せっかく良いアイディアが浮かんだとしても、人間ですから、すぐに忘れてしまいます。

特に、私のようなマルチタスクが苦手なタイプの人は、思い浮かんだ気持ちや考えを何かしらの形で記録に残しておかないと、もったいないことになると思います。

そこで、思い浮かんだことを手帳やノート、ポストイットなどに必ず記録しておくことをお勧めします。

もっと言えば、せっかく作った15分から30分の余白時間に、テーマを決めて「ジャーナリング」していくことです。

ジャーナリングとは、まっさらなノートや手帳に、その時に思い悩んでいるテーマを1つだけ書いて、それについて思い浮かぶ気持ちや考えをどんどん書き込んでいく手法です。

(※テーマを決めずに、自由に思いや気持ちを書き出していくのがジャーナリングの代表的な手法ではありますが。)

これをやり続けていると、自分の悩みの根本原因がクリアになっていきますし、改めて自分自身の気持ちや考えがどのようなものなのかに気づくことが多いです。

他の人に見せるわけではない日記のようなものですから、その時に思い浮かんだ気持ちや考えを無造作にどんどん書いていくと良いでしょう。

そして、このジャーナリングの手法は1日やっただけではあまり効果がありませんので、3日から1週間以上は続けてみると良いでしょう。

さらには、ジャーナリングが楽しくなって習慣化してきたら、1週間ごとに自分が書いてきたものを振り返って読んでみるのがお勧めです。

そうすることで、自分自身がこれから向き合うべき課題や、そこにかけられる時間や労力などの経営資源、そして、未来への大きな方向性といったものが見えてきます。

こんがらがった糸を無理矢理引っ張っても余計こんがらがるだけであるように、思いや考えを頭の中でぐるぐる巡らせているだけでは、なかなか前進することはできません。

手帳やノートに書き出してみる時間を取ることで、頭の中がスッキリしますし、これまでずっと思い悩んできたことが整理整頓されて、解決の糸口が見えてきます。

また、手帳やノートといった外部記憶装置に考え中のことを記録しておくことで、目の前の仕事や家事に集中することもできます。

以前の私は、仕事を円滑に進めるために手帳を書いていましたが、やるべき業務の内容やスケジュールを書くだけにとどまっていました。

転職を機に、「自分自身と向き合うためのツール」というように手帳やノートを捉え直すことで、転職先の仕事が少しずつ上手く回りだすとともに、ストレス解消にもなっていきました。

したがって、私と同じように悩んでいる方には、手帳やノートを活用したジャーナリングをお勧めしたいです。

なお、個人的な経験上、ジャーナリングは手書きで書くのが良いと思います。

パソコンやスマホで自分の気持ちや思いを書いていくのも良いとは思いますが、手で字を書くという行為を毎日続けること自体が頭脳を活性化させてくれている気がするからです。

指先は頭脳に直結する神経が最も発達していると言われますので、そのためかもしれませんね。

騙されたと思って、ぜひ手書きでジャーナリングをやってみてください。



4.信頼できる人に壁打ち相手になってもらう

ジャーナリングは自分自身と対話して、自分に向き合うのに有効な手法だと思います。

ただ、人は自分自身の良さや強みについてはよく分からないことが多い生き物です。

私自身もそうですが、

「自分の良さや強みってなんだろう?」

と悩んでいる人を多く見かけます。

特に経営者さんは、部下に相談できないことも多くあるでしょう。
部下のことを信頼していても、余計な心配をかけたくないために、言えないこともあるはずです。
そういう意味で、経営者さんは孤独な存在だと思います。

ただ、そうだからといって、自分で自分自身に向き合うジャーナリングをするだけでは、自分の良さや強みを発見するのに時間がかかってしまうこともあります。

そこでお勧めなのが、信頼できる人に壁打ち相手になってもらうことです。
経営者さんでしたら、信頼できる先輩経営者さんに壁打ち相手になってもらうのが良いでしょう。

壁打ち相手とは、自分が思っている気持ちや考えを聞いてもらって、それに対する何かしらの回答を返してきてくれる人のことです。

自分では自分の良さや強みに気づけなくても、壁打ち相手に自分の気持ちや考えを聞いてもらうことで、客観的な視点から自分自身を見直すことができるようになります。

愚痴をただ述べ合うだけの関係性ではしょうがありませんが、壁打ち相手がコーチング技術に長けた人であると、その効果はより一層大きいでしょう。

手前味噌で恐縮ですが、私も経営者さんのインタビュー記事を書いたことが何度かあり、インタビュー後に

「私の話を深掘りして聞いてくれたお陰で、自分自身が悩んでいたことや、やりたかったことがクリアになったよ!ありがとう!!」

と言っていただけたことがしばしばありました。

自分の気持ちや考えを瞬時に言語化するのが得意な経営者さんもいらっしゃいますが、私が出会ってきた経営者さんの中ではかなり少数派です。

むしろ、自分が取り組んできた業務への専門知識・技術・経験が豊かで、業界事情や社内、取引先などのことはよく見えていても、自分自身の気持ちや考えのことになると、上手く言語化できないで悩んでいる経営者さんが多かったように思います。

今でもよくしてくださっている塗装会社の社長さんは、
「塗装職人としての技術も経験も自信があるし、塗装でお客様のお住まいを守る気持ちは誰にも負けないけれど、経営理念とかそういうのを言葉にして人に伝えるのはすごく苦手なんだよね。
頼朝さんが僕の思いを文章にしてくれて良かった!」
と言っていただいたこともありました。

ちなみにこの社長さんは、私が広報部長をしていた時よりも売上を3倍ほどに伸ばし、今でも急成長中の会社を引っ張り続けていらっしゃいます。

このように、やり手の経営者さんであっても、自分の気持ちや思いを上手く言語化することには苦心していらっしゃるのです。

正解が見えない世界に生きているからこそ、時には信頼できる人に壁打ち相手になってもらって、自分の頭の中のモヤモヤした気持ちや考えを言語化していくことをお勧めしたいです。

そして、壁打ち相手との対話の要点を手帳やノートに文章で記録しておきましょう。

言語化された気持ちや考えの記録が貯まってくると、それ自体が自分自身の資産となって、未来を切り開くことに大いに役立つからです。

ジャーナリングだけでは悩みが解決できない時は、ぜひ壁打ちをやってみましょう。



5.SNS発信を活用して考えや思いを言語化していく

正解が見えない世界に生きざるを得ない現代において、日々思い悩んでいる人に最後にお勧めしたいのが、noteやTwitter(X)などのSNSを発信し続けていくことです。

個人的には、朝もしくは夜の15分から30分のジャーナリングと、このSNS発信を併用することで、日々の自分の気持ちや考えを整理整頓し、クリアにしていくことができると思っています。

noteもTwitter(X)も、スマホさえあれば、いつでもどこでも発信できる手軽さがあります。

また、Twitterは140文字の制限があるために長文の投稿はできませんが、逆にそのこと自体が気持ちや考えを上手く要約して言語化する練習になります。

日々の心が動く出来事があるたびに、その時の気持ちや考えを理由とともに発信し続けていくことで、オンライン上の「人に見られても良い日記」になります。

人に見られるものですから、乱暴なことは書かないといった自制心が自然と働くようになるのも、手帳やノートにジャーナリングするだけでは得られないメリットだと思います。

さらには、発信し続けていくと何かしらの反応を示してくださる方が現れますし、他者の発信内容を見ることで、自分自身の気づきや学びにつながることも多いです。

TwitterなどのSNSの発信を通して、同じようなことを考えている人たちと繋がりが生まれることもあります。

正解が見えない時代に生きているからこそ、その時々の自分の気持ちや考えを言語化して発信し続け、他者と交わることで、自分自身にとっての正解を見つけやすくなると思います。


以上、答えが見えないからこそ、文章を書き続けていった方が良い旨を書いてみました。

このnoteの記事自体が、これまでの私の気持ちや考えを言語化してまとめる役割を果たしてくれています。

「思い悩んで、ずっとモヤモヤしているくらいなら、それを文章に書いてみよう!」

というのが、個人的な体験から行き着いた私なりの結論です。

この趣旨に共感してくださる方は、スキやコメントをしていただけますと大変励みになります。

「人生をより良くするための文章術によるブランディング」について、これからも記事を書いていきたいと思いますので、応援していただけますとありがたいです。

それでは今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。


戦略マスター頼朝

※毎日Twitterでつぶやいていますので(☝️)、こちらの方もどうぞよろしくお願いします。

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