百合子

物語を読むのが大好きです

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  • 『キリスト教圏の7人の勇士』

    リチャード・ジョンソンによる原作(16世紀)をW. H. G, キングストンが改訂(19世紀)した『キリスト教圏の7人の勇士』の翻訳です。英文タイトルはThe Seven Champions of Christendomです。7人の聖人騎士たちの冒険をお楽しみ下さい。

最近の記事

[西洋の古い物語]「山の民とおかみさん」

こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 今回は、自分の損得を優先して隣人に親切にしなかったおかみさんのお話です。 ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 ※ 画像は、お話とは関係ないのですが、カール・ライヒェルト作「ディナー・パーティ」です。パブリック・ドメインからお借りしました。みんなで仲良くミルクを分け合っているのが微笑ましいですね。リボンの子猫も今にも参加しそうです。手前の黒い猫の邪魔にならないよう、わんちゃんが左の前脚をちょっとふんばっているのも

    • [西洋の古い物語]「釘」

      こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 今回は、グリム童話より、馬の蹄鉄の手入れを怠った商人のお話です。 短いですが、ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 ※ ご近所のお庭のテッセンが、今、まさに盛りを迎えています。画像はフォトギャラリーからお借りしました。ありがとうございました。 「釘」 ある商人が市場で商いがうまくいきました。品物が売れて、鞄は金貨や銀貨でいっぱいになりました。そこですぐに家路につきました。夜までには自宅に帰りたいと願っていたか

      • [西洋の古い物語]「アラクネー」

        こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 今回は、愚かにも女神に挑戦したために蜘蛛に変えられた美しい乙女のお話です。 ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 ※ 画像はルネ・アントワーヌ・ウアス(1645-1710)作「ミネルヴァとアラクネー」(1706年、ヴェルサイユ宮殿所蔵)です。アテナ女神はローマ神話ではミネルヴァというそうです。女神が右手に握っているのは糸巻きの心棒のようです。アラクネーの足元に色とりどりの糸が入った籠が見えます。 「アラクネー」

        • [西洋の古い物語]「告げ口する彫像」

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 今回は、法律に違反した者を告げ口する魔法の彫像のお話です。 ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 ※ 画像は長岡天神の霧島ツツジです。燃え立つような赤が青空に映えています!ちょうどこの日、NHKの取材があったと後から聞きました。 「告げ口する彫像」 昔、一人の偉大な皇帝がいらっしゃいました。皇帝はご長男の誕生日に働いた者は何人によらず死刑に処す、という法律をお作りになりました。 この法律を国中に広く知らしめさ

        [西洋の古い物語]「山の民とおかみさん」

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        • 『キリスト教圏の7人の勇士』
          33本

        記事

          [西洋の古い物語]「小さな蝶の三兄弟」

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 今回は、蝶の三兄弟のお話です。 ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 ※画像は、ジビュレ・フォン・オルファース(1881-1916)の『ちょうちょのくに』の挿絵の1枚です。パブリックドメインからお借りしました。 「小さな蝶の三兄弟」 昔ある所に小さな蝶の三兄弟がおりました。一番目は白、二番目は赤、三番目は黄色の蝶々でした。三兄弟はお日様の光の中で遊んだり、お庭の花々の合間でダンスをしたりしました。彼らはとても幸

          [西洋の古い物語]「小さな蝶の三兄弟」

          [西洋の古い物語]「チューリップの妖精」

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 今回は、チューリップの妖精のお話です。 ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 「チューリップの妖精」 昔々、一人の気の良いおばあさんが小さな家に住んでおりました。おばあさんのお庭には美しいチューリップの花壇がありました。 ある夜のこと、おばあさんはきれいな歌声と赤ん坊が笑う声で目が覚めました。窓の外を見てみますと、その音はチューリップの花壇から聞こえてくるようなのです。でも、おばあさんには何も見えませんでした

          [西洋の古い物語]「チューリップの妖精」

          [西洋の古い物語]「水のしずく」

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 今回は、川を流れる水のしずくが身の上話を語るお話です。 ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 ※画像はフォトギャラリーからお借りしました。美しい青い花びらの真ん中で星がまたたいているようですね。ありがとうございました。 「水のしずく」 一人の子どもが小さな小屋に住んでおりました。小屋の中には小さなベッドと姿見が一つあるきりでした。でも、最初の日光が開き窓からそっと滑り込んできてこの子の可愛らしい瞼に口づけし、紅

          [西洋の古い物語]「水のしずく」

          [西洋の古い物語]「スノードロップ」

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 今回は、まだ寒い中、雪の下から芽吹いて可憐な花をつけるスノードロップのお話です。原作はアンデルセンです。 ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 ※画像はフォトギャラリーからお借りしました。ありがとうございました。 「スノードロップ」 雪が深く積もっておりました。だって、冬なのですから。冷たい冬の風が吹いていましたが、おうちの中は何もかもが気持ちよく、暖かでした。このおうちの中には小さなお花が横になっておりました

          [西洋の古い物語]「スノードロップ」

          [西洋の古い物語]「メイブロッサム王女」第6回(最終回)

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 「メイブロッサム王女」最終回です。 思いがけない結末をどうぞお楽しみになさってください。 何回にもわたってお読みくださり、どうもありがとうございました。 ※ 画像はジョルジュ・バルビエ作「デルフィーヌの結婚」です。花嫁さんの少々微妙な表情が気になります。パブリック・ドメインからお借りしました。 「メイブロッサム王女」第6回  そうこうしている間に、コックトハット提督は首相付きの伝令であるお喋り屋のストローブーツ

          [西洋の古い物語]「メイブロッサム王女」第6回(最終回)

          [西洋の古い物語]「メイブロッサム王女」第5回

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 「メイブロッサム王女」第5回です。 ファンファロネード大使に一目惚れし、彼と駆け落ちしたメイブロッサム王女。上陸した離れ小島で、果たして二人は仲良く過ごしているでしょうか。 今回もご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 ※画像は、お話とは関係ないのですが、シェイクスピアの『夏の夜の夢』で、妖精の女王タイターニアが妖精たちが歌う子守歌を聞きながら眠る様子を描いたイラストをパブリック・ドメインで見つけました。メイブロッ

          [西洋の古い物語]「メイブロッサム王女」第5回

          [西洋の古い物語]「メイブロッサム王女」第4回

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 お散歩をしていたら、草むらに水仙が咲いていました。 この前来たときには気づかなかったのですが、あちらこちらに少しずつかたまって咲いていました。 このところ、暖かくなったりまだ寒かったりですが、水仙は少し寒いぐらいのほうが好きなのでしょうか。それともやっぱり暖かいと嬉しいのでしょうか。 「メイブロッサム王女」第4回です。 前回は、ファンファロネード大使に一目惚れしたメイブロッサム王女が、彼と二人で離れ小島へと駆け落ち

          [西洋の古い物語]「メイブロッサム王女」第4回

          [西洋の古い物語]「メイブロッサム王女」第3回

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 「メイブロッサム王女」第3回です。 ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 ※明日は3月3日、桃の節句ですね。画像は外出先で出会ったお雛様です。なんだか幸せな気分になったので、思わず写真を撮らせていただきました。 「メイブロッサム王女」第3回  行列には王妃様と王女様、王女様の親類にあたる60人の王女様方、それから近隣の王国から来られた120人の王女様方が加わっていました。この方々が堂々と進んで来ますと、空が暗く

          [西洋の古い物語]「メイブロッサム王女」第3回

          [西洋の古い物語]「メイブロッサム王女」第2回

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 「メイブロッサム王女」第2回です。 ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 ※ 画像はアルフォンス・ミュシャ作「四季・春」(1896年)です。パブリック・ドメインからお借りしました。 「メイブロッサム王女」第2回  王女様はほころび始めた花のように瑞々しく、まさに春そのもののようでしたので、メイブロッサムと名付けられました。彼女はすらりと背も伸びて美しく成長し、彼女がなすこと言うことすべてが魅力的でした。王様と王

          [西洋の古い物語]「メイブロッサム王女」第2回

          [西洋の古い物語]「メイブロッサム王女」第1回

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 今回から塔の中に20年も閉じ込められていた王女のお話を始めたいと思います。少し長いお話ですので、数回に分けてお届けいたします。 ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 「メイブロッサム王女」第1回  昔々、ある所に王様とお妃様がいらっしゃいました。お二人の子供たちは、一人また一人と皆亡くなり、遂には一番末の王女様唯一人だけが残りました。王妃様は王女様を世話して養育する優れた乳母をどこで見つけたものかと途方に暮れて

          [西洋の古い物語]「メイブロッサム王女」第1回

          [西洋の古い物語]「バレンタインデー」

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 今回はバレンタインデーにまつわる物語です。 ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 ※ 画像はエドモンド・ブレア・レイトン作「歌の終わり」(1902年、部分)です。歌が終った後、恋人たちはどんなことを話すのでしょう。 バレンタインデーの起源は幾つか説があるようですが、こんなお話もあります。 「バレンタインデー」  善良なる聖ウァレンティヌス(バレンタイン)は皇帝クラウディウス2世の時代のローマの司祭でした。彼と

          [西洋の古い物語]「バレンタインデー」

          [西洋の古い物語]「妖精と靴屋」

          こんにちは。 いつもお読み下さり、ありがとうございます。 今回は気の良い靴屋とおかみさんが不思議な経験をする物語です。 ご一緒にお読みくださいましたら幸いです。 ※ 画像は物語とは関係ないのですが、蝋梅の花です。昨日、きれいに咲いているのを見つけました。春の訪れを感じますね。一説には蝋細工を思わせる花の質感から「蝋梅」と呼ばれるそうです。ご近所のお宅のお庭で咲いていたので写真を撮るのは控え、フォトギャラリーからお借りしました。ありがとうございました。 「妖精と靴屋」 (ホ

          [西洋の古い物語]「妖精と靴屋」