◆レビュレポ掲載◆ 国立西洋美術館「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」 講演会「作品と作品をつなぐものー解釈、応答、変奏」講師:田中正之 

月刊美術批評WEBマガジン「レビューとレポート」へ掲載頂いた執筆記事の紹介です。

国立西洋美術館の館長 田中正之氏による講演でした。もともとは同館の講堂でおこなわれる予定でしたがZoom配信に変更されおうちで拝聴。

「なりえてきたか?と皆さんと考えたい」と問いかけたわりに質疑応答時間もないZoomてひよってないかーー!?!?それなら録画を配信してくれればいいんだがーー!?!?参加予約の手間も時間しばられるのも意味ないんだがーー!?!?と思っちゃいますけどまぁ色々あるんでしょう。

まるで授業のように、導入・進め方の提示・本題・まとめという構成で、スライドを使いながら、時間ぴったりまで、聞き取りやすい速さで話されていて、田中館長は"一般の方にも分かりやすく楽しみやすく"を一番に意識していらっしゃるのだろうなと感じられました。


導入のお話では次のようなことを話されていました。

今の時代の作品を作ることは前の時代の作品への応答行為であり、前の時代の作品をどのように見るか?という「解釈行為としての制作」ともいえる。そして我々は、今の時代の作家が前の時代の作家をどう見たのか?今の作品を通して前の時代の作品を見ると、前の時代の作品はどう見えてくるか?そんなことも考えられる。
美術作品にとって重要なのはどれだけオリジナリティを出せたかじゃないの?と思うだろう。実はオリジナリティということだけで作品を見るのが重要なのではなく、前の時代の作品とつなぐ意識・その応答、も美術作品を理解・解釈していくためにはとても重要だ。

ということでこの後は、西洋美術の文脈で先行する作品への応答としての制作がどのようになされてきたか、ラファエロ、アングル、マネ、セザンヌ、ピカソ、マティスなどを挙げて紹介されていきました。この作家は誰々の絵に似ていて且つ新しさもあったので評価された…とか、この作品に描かれる女性は実はこの作品の女性のポーズと同じ…とか。7割くらい西洋美術のお話でした。なんでこの絵が評価されてきたんだ?と首を傾げるときに理解の一助となるような講演だったとは思います。

企画展出品作家について取り上げたのは松浦寿夫、内藤礼のみでそのどちらもがセザンヌの作品と並べられています。お二方の絵には分かりやすく具体的なモノが描かれているわけではなく「セザンヌの絵に描かれているこの木だ!」とかはないんですが、セザンヌの絵に影響を受けてきた/取り入れてきた作家はごまんといるなかでお二方の身体を通るとこんなふうに出力されるんだな〜って(それは必ずしも西美のコレクションから得てきたと言えるのか疑問だがそんな出品作家は他にもいるので🤫)。


会期は5/12(日)までです!

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