【燻り続ける火】中平卓馬 火/氾濫 東京国立近代美術館
常に「写真とは何か」「社会とは何か」を考え続けていた人なのだろう。
以前読んだ赤瀬川原平「全面自供」に中平卓馬との談話が載っていた。
内容は以下の様な内容。
「(昏倒から復活した)中平さんと久々に会った時『80年代安保はどうなりましたか?』と聞かれて絶句した」
その一文に驚きつつ、止まってしまった時間と流れていった社会について思いを馳せた。
あるがままを撮る
植物図鑑のように。
その写真の記録性を考える。
表現なのか、記録なのか。
何かがスッキリするわけではない。でも
考えるきっかけ、を与えてくれる展示だった。
それでもカラーフィルム写真に活動の場を写した後の作品は、鮮やかで、クリアで、清々しさを感じさせてくれた。
※トップ画像は、森山大道氏の撮った中平卓馬。
【展示内容】
作家としてなかなか捉えどころが難しい人物だな、と。解説するのが難しいのかもしれないがキャプションも難解な部分があった。
思わぬ予習になったのは2023年、東京都写真美術館で行われた「風景論」の展覧会と神奈川近代美術館葉山で行われた「中平卓馬×森山大道 挑発関係」。
今から思うと神奈川近代葉山の解説は凄く素直な文でわかりやすかったのだな、と。
資料展示が多いので時間をかければかけただけ読み進める事ができるだろう。過去発行の雑誌の展示が多いので、つい読んでしまうと時間もかかるし、昔の活字は目がすごく疲れる。
ビタミンAをっかり補給してから行くと良いかもしれない。
過去の展覧会再現の部屋
純粋に楽しめた。
プリントの色褪せ具合。
どうしたって紫外線はあるわけです少しずつ褪色している。
2018年にプリントしたものはその鮮やかさとモチーフによっては昨日撮った様な鮮度感がある。
復元性、複製性、プリントを増やせる、印刷技術の進化、という写真に作用する様々な面白味を感じる事ができた。
あと、昔の東京国立近代美術館の図面が展示されていたこと。これはかーなり興奮ポイントだった。東近美の現在の建物ができてすぐの展覧会の資料。リニューアル前の状態がわかる。
東京国立近代美術館での写真家の単独展覧会はとても久々な気がする。
コレクションも進んでいると思うので、今後も写真企画展は定期的に行なって欲しい。
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