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行動できる経営者は顧客から敬意を得る

[要旨]

経営コンサルタントの板坂裕治郎さんによれば、福井県の足場屋の社長さんが、下請けの状態を脱することを決意して、板坂さんのセミナーを受講し、毎日ブログを書き続けたそうです。その結果、そのブログがよく検索されるようになり、直接仕事を受注できるようになったそうです。このように、現状を改善するには、行動力が鍵になるということです。

[本文]

今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの板坂裕治郎さんのご著書、「2000人の崖っぷち経営者を再生させた社長の鬼原則」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、板坂さんによれば、事業は利益が得られなければ継続できないものの、損得を最優先さると、その価値観を持つ相手としか取引できなくなり、「金の切れ目が縁の切れ目」になってしまうので、事業にかける「想い」を利害関係者に伝えることで、同じ価値観を持つ人たちと強い関係を持つことができ、それが自社の事業を安定化させることに資するということについて説明しました。

これに続いて、板坂さんは、経営者は行動力が重要であるということについて述べておられます。「実際に中小零細弱小家業の社長が心構えを変え、行動できる経営者に育っていったケースを紹介したい。彼は、福井県にある、株式会社トラストという、足場屋の社長だった。足場屋とは、ビルの建設や改修工事などで、外壁の周りに足場をくみ上げる商いをしている。基本的に、大手ゼネコンの下請けの下請け、孫請けやひ孫請けの立場で仕事をしている会社がほとんどだ。働いている従業員も、中卒や高校中退、現場では、オラコラの罵声が飛び交うこともしょっちゅうだ。

そんな足場屋の社長が、“脱下請け”を心に決めて、私のセミナーを受けにきた。そして、できない理由は何も並べず、言い訳もナシで、1年365日、ブログを書いた。1年続けた結果、「福井 足場」と検索すると、彼の会社のブログが最初に表示されるようになった。そもそも、自社サイトを持っている会社の方が少ない業界、地元・福井は、下請け、孫請けのネットワークががちがちに固まっていたが、他県や関東のゼネコンは、福井で工事をするとき、ネットで調べて依頼先を探すわけだ。

その際、彼のブログがヒットする。自社による一貫工事、安全第一主義、美しい仕事、チームワークなど、足場にかける想いを綴った文章を読み、仕事がくるようになった。それまで、年間1億6,000万円の売上があったものの、利益は100万円ほど。それは工事を中抜きされる下請け、孫請けだったから。しかし、直で指名仕事が入るようになった結果、売上2億4,000万円、利益1,600万円に。足場を組むという仕事のクオリティを上げ、取引先を変えていった。

『軽く値切られる』、『客からの無理難題に答えすぎている』、『面倒な仕事ばかり回ってくる』など、業界を問わず、中小零細弱小家業は客から安く使われていることが多い。なぜ、そんなことになるかと言えば、自分の仕事に自信を持っていないからだ。(中略)儲かる仕事は、自信を持ってやっている会社に行くようになっているからだ。社長が行動できる経営者になることで、お客さんからの敬意を勝ち取ることができるのだ」(99ページ)

私は、毎日ブログを書くことによって、SEO対策になり、自社のホームページが検索されやすくなって売上増加につながるということは、現在では、ほぼ不可能だと思っています。しかし、それでも、板坂さんがお薦めしているように、ブログを毎日書くことは大切だと思っています。それは、ブログを毎日書いているという事実があることが、それを書いている社長の自信を強くするからです。ブログを毎日書いていれば、社長本人は自覚がなくても、一つひとつの所作が変わり、それに呼応して顧客の反応も変わって行き、それが自社の評価を高め、業績に良い影響を与えるのだと思います。

これに対して、よく、「ブログを毎日書くだけで本当に売上が増えるのか?」と質問をする人がいます。前述したように、現在は、ブログによってSEOが改善はしませんが、自社の顧客の立場になって考えてみたとき、社長が毎日ブログを書いて、社長の考え方や商品の情報などを発信している会社と、他社と代わり映えのしないWebPageしかない会社とを比較したとき、どちらと取引をしたくなるかというと、答えは自ずと明らかでしょう。

2024/5/20 No.2714

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