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人生が変わる7つのステップ(2)

[要旨]

経営コンサルタントの板坂裕治郎さんによれば、経営者が自分の「熱い想い=理念」を「見える化」すると、人の輪ができ、その関係性の中で経営者自身の「覚悟」が決まっていき、そのことが自分を「変化」させることができるそうです。すなわち、理念を社内に浸透させることが、経営者の基本的な活動であり、それを実践し続けることで、経営者自身もスキルを高めることができると言えます。

[本文]

今回も、前回に引き続き、経営コンサルタントの板坂裕治郎さんのご著書、「2000人の崖っぷち経営者を再生させた社長の鬼原則」を読んで、私が気づいたことについて述べたいと思います。前回は、板坂さんによれば、起業して社長に就いた方が、経営者としてスキルを高めていくには、事業に対する想いを明文化し、それを社内や社外に定着させていくステップを踏むことが必要であり、このステップは、容易なようで、実際には実践されていることは少なく、だからこそこれを実践することで経営者としての成長が期待できるということについて説明しました。

これに続いて、板坂さんは、「人生が変わる7つのステップ」の5つ目から7つ目について述べておられます。「『熱い想い』を『見える化』し、『公表』すると、必ず『共感』してくれる人たちが現れる。そして、共感した人たちの中から『協力者』が生まれ、あなたの味方となって働きはじめる。これが、5つ目のステップだ。『熱い想い』に『共感』して動いてくれる『協力者』がいることが、あなたに勇気を与える。勇気に背中を押されて行動したとき、あなたの内面の変化は次の段階に入っていく。6つ目のステップである『覚悟』が決まるのだ。

これだけの人が協力してくれている。応援してくれている。信用してくれる。だから、本気になる。後戻りはできない。自分の中だけで決めた覚悟なんて、いつでもひっくり返すことができる。でも、協力者は裏切れない!これが本当の『覚悟』だ。そうなったら最後、7つ目のステップ、『変化』が始まる。人間は1人切りで変わろうと思っても、難しい。自分自身で、自分が決めたことを否定することがすぐにできるからだ。ところが、『熱い想い』を『見える化』すると、人の輪ができ、その関係性の中で『覚悟』が決まっていく。その後はとにかく進むしかなくなる。それがあなたを『変化』させるのだ。出発点は『想い』。まずはそれを掘り下げていくことだ」(105ページ)

私は、「『熱い想い』を『見える化』すると、人の輪ができ、その関係性の中で『覚悟』が決まっていく」という板坂さんの考え方は、まったくその通りだと思っているのですが、これを、別の観点から理解しています。すなわち、経営者の活動の目的は、組織活動の成果を最大化することであり、それを実現するためにに、組織活動を最適化することが経営者の役割だと思います。そして、その役割の基本的なものが「理念=熱い想い」を浸透させることです。これは、当然ですが、高い業績をあげている多くの会社で実践されています。

そのひとつは、ドン・キホーテ(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、PPIH)です。安田さんは、ご著書、「安売り王一代-私の『ドン・キホーテ』人生」の中で、次のように述べておられます。「当社のCEOは、(2015年6月に)後任の大原孝治へとバトンタッチしたが、それは、会社法上のCEO交代に過ぎない。当社には、より上位の、真のCEOとも言うべきものが存在する、それが企業理念集『源流』だ」同社では、創業者の安田隆夫さんご自身が書いた「源流」を、アルバイトを含むすべての従業員に持たせ、これに基づいて自らの行動の判断をしてもらうようにしているそうです。

安田さんは、「『源流』が真のCEO」と述べておられますが、私は、「源流」に基づいた判断をしてもらうことによって、すべての従業員が安田さんの分身(=安田さんに共感して協力してくれる人)になったのだと思います。このように、「熱い想い=理念」を浸透させることで、組織活動が効率化し、成果が大きくなっていくようです。そして、そういった働きかけを行っていくことで、経営者自身も成長していくのだと私は考えています。

2024/5/22 No.2716

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