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人類という生態系

生態学を基準として世界を見ると、気が付くことがたくさんある。

今回は、免疫系と適応力について考えてみたい。

最近発表されたニュースでは、AIDSが致死性の高い病気ではなく、発症率が低くなったり、徐々に人類と共存し始めているらしい……という研究結果があった。

通常、人体の免疫系メカニズムが発現すると、病気やウイルスに対しては抵抗し、排除しようとする。しかし今回のニュースでは、とうとう人類はAIDSにまで適応するようになってしまった……という事である。

この免疫系と適応力の相反するメカニズムは、微生物の世界をはじめ、様々な所で見られるが、どうやらそれは人間においても同じらしいと最近気が付いた。

例えば、異文化や諸外国は敵であり、テリトリーに侵入して来られるのは排除しなければならない、という論調。……これは免疫系によく似ている。

例えば、グローバル化を受け入れ、古き文化に囚われず、良いものは取り入れよう、という論調。これは、適応力そのものである。

もう少し歴史的な視点から俯瞰して捉えてみると、これらの考えは「鎖国か開国か?」といった江戸時代の終わりとよく似ており、免疫系に例えられるものとしては、鎖国して国交を閉ざすべきだ、という意見であり、逆に日本だけに囚われることなく、身内だけに留まらずにいい物は取り入れていく、という姿勢が適応力に値する。

共産主義は保守的で排他的であり、過去に焦点を当てて現状を維持する恒常性であり、免疫系である。そのため、既に成功例があるものしか取り込まない。

資本主義は流動的であり、未来に焦点を当てて変化していく順応性であり、適応力である。そのため、常に新しい物を取り込んで進化していく。

つまり、人類も生態学的に群として見てみると、そこにはきちんと免疫系であるホメオスタシスが機能しており、逆に進化のための適応力も機能するようになっているのではないだろうか。……これは個人的に、非常に面白い発見だと思っている。

となると、微生物群と同じように、免疫系が働きやすくなる環境があったり、逆に免疫系が過剰反応を起こして、内部崩壊するようなパターンがあるというのも頷ける。……てか正に最近の日本がアレルギー症状を起こしているような気もするし……。

人それぞれに個性があって多様性が素晴らしいだとか、右翼だとか左翼だとかでこれまではカテゴライズされてきていたが、これからはきっと生態学的な分類がされる時代だ。

過去を基準において、「これまでは平和だった。だからそこへ戻すべきだ」という意見と、未来を基準において、「これからもっと良くなっていく。だから先へ進むべきだ」という意見のせめぎ合いは続いていくことだろう。

……人類という生物群のこれからの動きは面白くなっていくだろうなぁと思う。

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