テレワーク導入方法と組織の変革について
ブランドバディーズの照屋です。
コロナショックで、急遽テレワークをはじめることになって「何から手をつけていいかわからない!」という経営者や人事担当者、総務担当者は多いのではないでしょうか?
単純に、ビデオ会議のzoomやGoogleハングアウト、チャットワークなどのクラウドサービスを導入すればよいってわけではないと思います。
ブランドバディーズでは、フルリモートの組織を会社設立時から貫いているので、コロナでも普段通り、何も変わらず仕事をしています。
そのノウハウを共有したいと思います。
そもそも、テレワークって在宅すればいいってわけではないです。
組織そのもの、業務の在り方の根本を全て見直さないといろんな弊害がでてきます。
企業がテレワークをするうえで、必要な考え方を順にまとめたいと思います。
※あくまで経験値をもとにしたものであり、僕の会社がうまく出来ているというわけではないです。まだまだ進行中です。
4月9日にzoomで開催したセミナーのスライドをもとにご紹介します。
1.インナーブランディングが重要
企業の存在価値を明確にする
そもそも何のために存在しているのか?
テレワーク・リモートワークになると、同じ時間、同じ場所に人は存在しません。
大前提として、個人がパソコンやスマホに向かって仕事をすることになります。
そこには、プライベートな環境で各自仕事をします。
求心力が著しく低下することが想定されます。
会社に出勤し、上司や同僚がそばでがんばっていれば、やる気がなくても、なんとなく仕事をします。
朝礼をして、士気を高める経営者もいません。
モチベーションの管理は各個人に委ねられます。
ましてや今後、自分が勤めている会社がどうなるかもわからず、不安になります。
求心力がない会社は、空中分解していくところも出てくると想定されます。
個人の目的と、その会社に所属する目的が一致しないと、優秀な人材は複業、副業をしたり、フリーランスで独立していきます。
そうならないためには、個人と組織の目的を一致させる必要が出てきます。
そこで重要なのは、インナーブランディングです。
社内に対し
「何のために社会に存在しているのか?」
「どんな未来をつくりたいのか?」
といった、ビジョン、ミッションを明確に発信することが求心力を高めるポイントになると考えます。
個人が
「会社というコミュニティーに所属することで自分の自己実現はできる」
と共感すれば、どんなに危機的な状況でも人はついていくと思います。
なので、テレワークを導入するタイミングで、会社の理念や考え方をしっかりと経営者が動画にとって、社員に対してメッセージを送る必要があります。
僕の場合は、採用する段階からYouTubeに考え方を発信し、共感できるかどうかで採用をするか決めました。
2.組織の在り方を変える
テレワークでは、同じ時間、同じ場所に人がいません。
そうなると管理者は
「本当にあいつ仕事してるのか?」
「言ったことやっているか?」
と疑心暗鬼になったり、不安になったりします。
働くメンバーも
「信用してもらえてるかな?」
と不安になることもあると思います。
なので、テレワーク・リモートワークで絶対に、絶対に必要なのが
大前提として
「信用・信頼」だと僕は思います。
そもそも「管理する」って考え方自体を改める必要があると思います。
この際、思い切って
「管理しない」ってしてみてはどうでしょうか。
社員一人一人の自主性に任せることが必要だと思います。
僕の会社では、従来の組織にありがちな、「管理」をしていません。
メンバー1人1人が、働きたい時間、働ける時間にGoogleスプレッドシートにシフトを入れてもらっています。
コアタイムもありません。
だから、同じ時間に他メンバーが働くことはとても稀です。
テレワークが普及すると、従来の組織の概念を一度ぶっ壊す必要があると僕は考えます。
わかりやすく、昭和型組織と令和型組織でまとめてみました。
平成がないのは、昭和とほぼ変わらないと考えていますので、あえて昭和型にまとめています。
昭和型組織と令和型組織
昭和型組織(ピラミッド)
スポーツでいうと、「野球型」でしょうか。
監督がいて、ポジションが決まっていて、指揮命令系統がはっきりとしている。
キーワードを並べると
・階層・指示命令・マニュアル・権威・上下
・物欲・昇給昇進・席順・年功序列・経験値・勤続年数
ここでは、一番情報を持っていて、意思決定ができるのは、階層の上の人です。
役所や国、学校や古い体質の企業はこの組織体制ではないでしょうか。
メリットは統制がとりやすいことだと思います。
ただ、意思決定は階層の上の人が行うので、環境の変化についていきにくいです。
「上に確認してから」
「稟議書を回してから」
などといっている間に、状況は刻一刻と変化しています。
現場が一番イラつくパターンですね!笑
令和型組織(サークル)
スポーツでいうと、サッカーに近いと感じます。
誰でもシュートを狙えます。
監督はスーツをきてフィールドの外からチームに判断を任せます。
オフェンスもディフェンスも状況に応じてフォーメーションを組んでゴールを狙います。
キーワードを並べると
・自律・自立・個人の自己実現・志に共感・承認欲求
・自己学習・心理的安全性・プロジェクト・タスク・副業・複業
サークルが重なるところは、副業、複業している個人がいるから重ねています。
優秀な人材ほど、一つの組織だけでなく、複数の組織(企業・商工会・NPO・オンラインサロン)などに所属しています。
副業OKな会社は、こうなっているんではないですかね。
僕自身も2018年に会社を設立しましたが、その当時は他の企業にサラリーマンとして勤めていました。
社会保険は2社分払っていたので、二事業者勤務扱いとなり、所得税も甲乙あって、どっちかをメインにすると、片方の所得税がめっちゃ高くなり、びびりました。
サラリーマンをしながら、会社法人を設立すると、経営者は社保は義務付けられるので注意が必要です。
隠れて会社設立しても、100%ばれます。
なので、潔く会社に伝え、交渉しておくことをお勧めします。
話が脱線しましたが、令和型の企業は、個人が自立、自律しつつ、共感で繋がるゆるいコミュニティーになっていくと考えます。
年功序列でもないし、テレワークだと完全実力性にかわります。
プロセスを評価することが難しいので、社内政治で上に上がった「自称できると思い込んでいる管理職」は生き残ることが難しくなると思います。
ビデオ会議やチャットでのコミュニケーションがメインなると、仕事においては全て成果物がないと評価のしようがなくなるからです。
あなたの周りにもいませんか?
「社内政治で実務ができない上司」
自律した個人を組織がつなぎ止めていくのは「志」です。
自律した人材はその会社にいることによって「自己実現が早くなりそうか」「コミュニティーの考え方に共感するか?」
といったことがあげられます。
個人と組織の関係性
大前提として個人は組織がもつ「志」に共感するか?
がポイントになります。
組織は、個人が活躍できる場を提供し、個人は、個人としての価値を提供する必要があります。
コロナをきっかけに、テレワークをはじめた方は「個人としてどんな価値を組織に提供できるか?」と考えた方もいるのではないでしょうか。
テレワークで求められること
組織
「志」の継続発信が重要
・組織はなんのために存在しているのか?
・どんな未来を実現したいのか?
個人
「自律心」と「自己学習」が重要
・自己実現のために何が必要か?
・自己実現のために組織をどう利用するか?
3.テレワークでの個人の基礎スキル
土台にあるのは、「信頼されている感」です。
心理的安全性とも言われます。
頂点にあるのは「自己実現と組織の志の一致」と僕は考えています。
<必要なスキル>
・学びの共有(ナレッジの共有)
・自己学習力(課題解決)
・タスク管理スキル
・クラウドベースのコミュニケーションスキル
・クラウドツールの基本操作スキル
4.管理者のマネジメントスキル
テレワークでビデオ会議はあたりまえになります。
そこで必要なのがチームの育成です。
個人でできることには限界があります。
チームでプロジェクトを遂行していくためには、個人と個人を繋ぐ必要がありますが、これがテレワークだととても難しいです。
僕の会社でもチームでWEBサイトを構築したりしますが、出勤時間もバラバラなので、チャットでリアルタイムにメンバー間でコミュニケーションができません。
タスク管理ツールを使って、作業は細かく管理していきますが、チームワークをつくるのは本当に苦労します。
そもそもチームワークって何か?
って考えさせられます。
僕は、同じ目的をもって、共に助け合うことがチームワークだと思っています。
管理者は、その個人と個人を繋ぐファシリテーター的な役目を担う必要があると考えます。
テレワークで必要な管理者のスキル
・ファシリテーションスキル
・コーチングスキル
・タスク別トレーニングスキル
・タスク洗い出しスキル
・プロジェクト構築スキル
チャットでのコミュニケーションがほとんどですが、メンバーから「どうしたらよいか?」と質問がたくさんとんできます。
そこでは、「目的を明確にしたうえで」
「どう思う?」って聞き返します。
常に考える癖をつけてほしいからです。
考えることが苦手な人や、依存心の強い人はテレワークには向いていないです。
これは、社会に出て学ぶのでは、遅すぎます。
義務教育の時に学ぶスキルだと思います。
マニュアルのない、答えのない時代には、自ら課題をみつけ、解決策を考えて行動する人が必要です。
5.テレワークで必須なクラウドサービス
今は低価格でとても便利なクラウドツールがたくさんでています。
僕の会社で使っているクラウドサービスの一部を紹介します。
共通するのは、全てブラウザ上で完結できるものってことです。
ベースとなるのは、Googleドライブです。
契約書もクラウドサインを使ってます。製本して、収入印紙を貼って、郵送するのって馬鹿馬鹿しいです。契約書のために出勤する人って、可哀想すぎます。
勤怠管理もクラウドのタイムカード、FocusUを使っています。
Gsuiteで、メールを発行し、各クラウドサービスへのログインはGsuiteで発行したメールでログインしてもらうようにしています。
そうすることで、一元管理をすることが可能です。
追加も削除も簡単です。
セキュリティーの兼ね合いから、ローカルに保存せずに、全てドライブに保存してもらうようにしています。
画像編集ソフトなどもブラウザのみで操作できるものを利用しています。
クラウドサービス一覧(一部)
6.テレワークで一番の課題は教育
ブランドバディーズではWEBサイト制作やSNSの運用代行など行っていますが、未経験の方を採用し、育成しています。
本来であれば、即戦力になる経験者を採用したほうが会社にとっても効率的ですぐに事業を軌道に載せやすいですが、当時は社員を雇うほどの資金力がなく、フリーランスに毛が生えたような会社だったので、未経験者を採用するしか考えられませんでした。
また、僕の会社のミッション「誰でもどこでも幸せを実感できる社会を実現する」を実現するためには「誰でも」と「どこでも」に拘りたく、未経験でも出勤不要で仕事ができる仕組みをつくりたかったのです。
インディードの無料登録で、2日間募集してみました。
募集要項に記載したのは
・未経験OK!
・週1日1時間からOK!
・出勤不要!
この3点です。
全国から2日間だけで20名の応募があり、びっくりしました。
そこでビデオ会議とリアルでの面談を行い、何人かに集約しました。
フリーランスの方も応募してきましたが、すぐに仕事を依頼できるスキルのある方は、仕事をすぐに依頼しました。
ここで感じたことは、人材不足ではない。
「人財活用不足」だ。
ということです。
未経験の方にWEBの専門知識を教えて、即戦力になるためには相当な教育が必要です。
僕がやったのは、考え方や知識、必要なスキルを全て動画にしました。
社内教育向けの動画は限定公開で共有しています。
動画のいいところは、一度作ってしまえば、24時間僕の代わりに教育することができます。
スタッフは、朝早く出勤する人もいれば、夜遅く出勤する人もいます。
事前にタスク管理ツールにトレーニング動画のURLを共有しておけば、出勤時に何を学んで、何をアウトプットすればよいか一目瞭然です。
定期的に抜き打ちテストも行います。
zoomなどのビデオ会議で1対1でレクチャーしたときは、録画をし、YouTubeで他メンバーに共有します。
そうすると、1対N数まで、時間を拡大することが可能です。
YouTubeを活用した社内教育動画
オンライン動画講座
ただ、YouTubeで教育するには限界があります。
どこまで学んだか、視聴管理をすることができないからです。
そこで、使用しているのがThinkficというオンラインスクールのプラットフォームです。
これなら、何%まで視聴しているのか、ユーザーを管理することができ、テストを行うことが可能です。
一般向けにオンラインスクールを行っていますが、社内のメンバーには無料で受講できるようにしています。
Thinkficを活用したオンラインセミナー
テレワークで一番難しいのは、教育です。
また、もともとリアルの場で仕事をしていて、テレワークにシフトしたなら、ある程度各社員の個人的なことや個人のスキルを理解し、関係が構築できているなら、クラウドツールさえ使いこなせれば、業務はスムーズだと思います。
ただ、新卒や全くの未経験の中途を採用した場合、その関係性や仕事のスキルをテレワークで教えることは相当しんどいです。
特に、単純労働ではない、知識労働型のビジネスは、答えが決まっていない。
個人の感性を必要とするものやコミュニケーションスキルが要求されるものは、テレワークのOJTでは難しいです。
僕も出来ているとはいえませんが、メンバーが出勤中のときに、チャットで相談があれば、即レスするよう心がけています。
移動中も寝ている途中もスマホでレスしています。
社内のトレーニング動画は、GoogleドキュメントにURLを貼り付けて、トレーニングコースとしてまとめています。
とにかく、インプットとアウトプットを最速で回すようにしています。
7.コロナショックは個人と企業の在り方を問いなおす時
僕はこのように考えています。
見えない不安と予想できない未来だからこそ、今後の生き方を見つめ直すときではないでしょうか。
テレワークは大手企業も中小企業、小規模事業者もみんな同じスタートラインです。
むしろ、大手じゃない小さな企業のほうが、スピーディーに柔軟に変革できると思います。
また、働く場所を選ばない。お客さんも皆テレーワークだと、今後は地方に人が移住し、離島にいながらも今まで通り仕事をすることが当たり前になります。
そうなれば、地理的な制約がなく、沖縄の田舎にいながらも、県外、海外どこでも顧客を開拓することができ、人財を採用することができると思います。
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