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起業するにあたり、最も大切なのは顧客に提供する商品、サービスを中心とするコンセプトだ。
 

起業志望の方によく質問されたのが
「開業資金はどう調達したのですか?」
「資本金はどうやって作ったのですか?」
というものだったが、コンセプトについて逆に質問してみると思慮不十分というケースが多かった。本来、お金はコンセプトに対して提供されるものである。
 

あとよく言われたのが

「林さんはやりたいコンセプト(ベーグル専門店)がしっかり決まっていていいね」

というもの。
 

一流企業に勤務されているような方々から言われることが多かった。「自分もいつかは起業したいのだが、何をしたらいいのか分からない」と。
 

優秀で、会社や学校から明示された道のりで、ひたすら1番乗りを目指して来た人に急にコンセプトが湧いてくるはずもない。
 

逆に言うと必ずしも学歴が良いとか一流企業にいたということが、起業で成功するわけではなく、自分でコンセプトを考え出すことができれば誰にでもチャンスがあるということだ。
 

これは起業という仕事、いや「生き方」が万人に平等に与えられている機会であることを意味する。

起業にはそもそもやりたいことがあってその実現に起業する場合と、起業すること自体は決めているのだけど何をするかは決まっていない場合がある。
  

前回書いた通り、僕は後者であった。前者の方がもちろん話は早い。自分のやりたいビジネスの差別化ポイントをしっかりと設定し、あとは実行して試行錯誤しつつモデルの完成を目指すのみ。
 

何をするか決まってなかった僕は20代半ばにあれこれ拡大思考でいろんな可能性を検討した。当時時流に乗っていたビジネス、当時将来性があると言われていたビジネス、当時していた仕事の周辺分野、等々。
 

ほぼ夢想していたといっても良いかもしれない。
外へ外へと意識が向かっていたので、自分自身の中に源泉が隠れているという認識は無かった。楽しくはあったが遠回りした結果、フードビジネスという自分の中にあった宝と出会った。そしてその延長でベーグルと出会った。
 

この経験は我々が社会起業大学で行っている「自己棚卸し」とも一致する。
そう、コンセプトの萌芽は皆さんの中に存在しているのだ。これは自分の好きとか得意といったポジティヴなものだけでなく、過去の失敗や傷といったネガティヴなものも含まれる。
災い転じて福となすではないが、負の要素もそこにニーズが紐付けば、ビジネスチャンスに転ずるのである。特に社会起業の場合は、その傾向が強いように思う。
 

起業したい皆さん、外にばかり目を向けず、内にも目を向けよう。宝は皆さんの中にひっそりと眠っている。

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