じろうの破滅日誌

太陽民芸じろうが綴る己への戒め

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最近の記事

破滅その4 鬼ころし

鬼を殺す、鬼ころしとはよく言ったもんである。鬼ころしをご存知だろうか。鬼ごろしではない。鬼ころし。濁点があるのかないのかはどうでもいいようでとても重要なポイントだ。この感覚、きっと茨城県民の方ならよくわかるのではないか。いばらぎではない、いばらきなのである。ちなみに私の苗字も岩川と書いてイワガワではない。イワカワなのである。 そもそも鬼ごろしという名前だと殺伐とした感じが出てしまう。鬼ごろし。人ごろし。鬼ころしは飲み物だから一商品として大衆に受け入れられるよう殺伐感を消すた

    • 破滅その3 よっちゃん①

      もう10年以上前になるが、下北沢に3年ほど住んでいた。下北沢と言っても厳密には新代田だ。「下北沢に住んでいます」という人間は大抵、厳密には下北沢住まいではない。上北沢だったり池之上だったり世田谷代田だったり。しかしどこに住んでいるのかと訊かれるとつい「下北沢に住んでいます」と言ってしまう。かのお洒落タウン下北沢に住んでいるというステータスを手に入れたいが、下北沢駅の近くに住むには家賃が高い。何とかして家賃は抑えたいという努力の結果、下北沢へ何とか歩いて行ける程度の距離に住み、

      • 破滅その2 はたけさん

        川口に引っ越してきた頃、よく焼き鳥屋のハシゴをしていた。この辺には安くて美味い焼き鳥屋がたくさんあるのだ。始めに駅前のやきとりJへ、その次に線路沿いのKへ、最後に住宅街の中にあるNへ行くのがお決まりのパターンだった。 やきとりJは当時、西川口の西口にも東口にもあり、オートレース帰りのおじさんで賑わう、西川口のシンボル的な店だった(今でも東口店は営業中)。立ち飲みスタイルでカウンターしかない狭い店。小汚い…いや、昔ながらの味わい深い店内は、その雰囲気も相まってそこで飲んでいる

        • 破滅その1 千葉

          目が覚めるとそこは千葉駅だった。見上げると大きな光る文字でJR千葉駅と書いてある。私は一瞬で悟った。「ああ、またやってしまったな」と。 千葉は寒かった。信じられないくらい寒かった。寒風吹きすさぶとまではいかないが、冷たい風が時折吹き付けて頬を撫でてどこかへ去っていく。終電はとっくに行ってしまった。もう帰れない。そういえば過去に何度か用事で千葉へ来た事があった。そう思い出し、記憶の片隅からあの時歩いた道のりを引っ張り出して、おぼつかない足取りでとぼとぼと歩いていく。 冒頭で

        破滅その4 鬼ころし