RNRLL / ロックンロール・ラブレター

ロックンロールおじさん、ロックンロールおばさんに捧ぐ。自分が経験してきた田舎の音楽事情…

RNRLL / ロックンロール・ラブレター

ロックンロールおじさん、ロックンロールおばさんに捧ぐ。自分が経験してきた田舎の音楽事情をつらつらと書き連ねます。難しいことは書けません。うろ覚えの部分もあるのでご容赦を。こんなものに何の価値があるのかわかりませんが、自分の音楽遍歴確認と妻へのラブレター、家族への遺書も兼ねてます。

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

はじめに

ロックンロールおじさん、ロックンロールおばさんに捧ぐ。 S県の田舎町で育った。町には1軒だけレコード店があり、川を渡った隣町にも1軒レコード店があったがこのレコード店は半分が時計店だった。 そんな田舎町だったので入ってくる音楽情報も2~3年ぐらい遅れていた。 電車に乗って一番近い「K市」に行くと、大きなレコード店が3軒ほどあり、そこでは音楽情報の遅れは1〜2年だった。 昭和の50〜60年代はこういう地方の田舎町が日本中至る所にあって、見てきた物、聴いてきた物、経験してきた事

    • コスミック・スロップ/ファンカデリック Cosmic Slop / Funkadelic

      80年代からMJ、プリンスは聴いていたけど、MJはポップに近い感じだし、プリンスもどちらかいうとエレクトロとかロックの延長のような感じで聴いていた。 UKのニューウェーヴ勢がソウル/ファンクに接近していったのも聴いていた。シンプリー・レッドとかファイン・ヤング・カニバルズとか。 でもやっぱりUKのブリット・ファンクなのであって、本格的なファンクを聴き始めたのはHR商会でO城さんにご教授頂いてからだった。 まず手始めに基本中の基本、JB、スライ、カーティス・メイフィールド、オハ

      • アルファベット・ストリート/プリンス Alphabet Street / Prince

        1990年に東京ドームでプリンスを観た。 S野さんという地元の幼馴染と観に行こうと約束していたが、彼女は当日を迎える前に引っ越してしまった。 S野さんとはたまたま仕事帰りの電車でバッタリ会って、中学卒業以来何年振りかで話をした。 化粧品の美容部員をしていたので周りにオシャレな女の子が何人かいて、俺の仕事がらみの男どもから紹介してくれと言われていたので何回か会をセッティングしたりしていた。 当時はF原さんとは一時お別れしていて、フリーの時期だったので心置きなくその会にも出席

        • アイ・ジャスト・ウオント・トゥ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー/マディ・ウオーターズ I Just Want To Make Love To You / Muddy Waters

          ある日、H市の営業回りの最中にHR商会というレコード屋さんに寄りこんだ。 ここのお兄さんが、ブラックミュージックに精通していて、東京の俺が通っていた駅前のレコード店にも行ったことがあるという。 共通の話題が見つかった。 正直帰郷してからは音楽の趣味が合う人と出会うことはあまりなかった。 少し欲求不満が募っていたときだったので余計嬉しかったのかもしれない。 このお店を切り盛りしていたO城さんにはソウル、ファンク、ブルース、ジャズなどのブラックでファンキーな音楽をご教授いただいた

        • 固定された記事

        マガジン

        • 1990年代(会社員)
          5本
        • 1980年代(高校生以降)
          25本
        • 1970年代(小学生~中学生~高校生)
          5本
        • 雑感
          3本
        • 1960年代(幼少期)
          1本

        記事

          メイヤー・オブ・シンプルトン/XTC Mayer Of Simpleton / XTC

           ある日K崎くんから電話がかかってきた。 「俺君、パソコン買ったから見に来ない?」 「いいよ、今から行くよ」 「ギターの音を入れて欲しいからギター持ってきて」 「分かった」 ギターとMTRを持って行ってみるとそこには小さな箱と化け物のような デカいプリンターが置いてあった。 K崎くんが言うには、 「これはアメリカのアップルっていうメーカーのパソコンで、マッキントッシュ・プラスって言うんだ」 「ほーほー」と俺。 とは言ったもののまったく意味は掴めていない。 当時はパソコンな

          メイヤー・オブ・シンプルトン/XTC Mayer Of Simpleton / XTC

          ティアーズ・イン・ヘヴン/エリック・クラプトン Tears In Heaven / Eric Clapton

          F原さん(俺の名字になったので今後は「妻」と表記)と結婚してアパートを借りて、一緒に住んでしばらくすると子供ができた。 二人で大喜びして産まれてくるのを今か今かと待っていたが、ある時病院に呼び出された。 どうも気になる影があるという。 地元の大学病院で検査を勧められた。 検査の結果、お腹の赤ちゃんの腎臓に水が溜まっていることが分かった。 医者が言うことにはちゃんとお腹の中で育たないかもしれない。 もし育っても産まれてこれないかもしれない。 産まれてきても重度の障害が残る可能性

          ティアーズ・イン・ヘヴン/エリック・クラプトン Tears In Heaven / Eric Clapton

          ランニング・アウェイ/カラーフィード Running Away / The Colorfield

          実家に戻って生活して3カ月ほど経った頃、新聞広告の求人欄を見て広告代理店の面接を受けてみることにした。 全く未知の仕事だったが、応募資格に大卒の記述が無かったので、とにかく受けてみようと思った。 業界のことは全く知らなかったが、名古屋本社でそこそこ大きな中堅どころの代理店だと後から知った。 現地採用なので希望しない限り転勤は無く、H市の駅前に事務所があって始業時間が9:30だった。 普通の会社は9:00だったから朝が遅いのは助かる。 あとで聞いた話だが、採用1名に対して応募し

          ランニング・アウェイ/カラーフィード Running Away / The Colorfield

          終わりなき旅/U2 I Still Haven't Found What I'm Looking for / U2

          故郷に帰るのを前提に東京のPA会社に勤めていたが、当時の音響業界はとても立場が低かった。 コンサートの全体予算からまず出演者のギャラが支払われる。当然だ。 次に会場、舞台関係が優先的に予算を取る。 そのあと照明が予算取りして、最後に残った予算で音響関係をなんとかやり繰りする。 その結果、労働環境は最悪なものとなる。 正直ある程度覚悟はしていたものの、あまりの給料の安さに音を上げた。 ここまで酷いのかと。 まだ何もできないのだから安くて当たり前と言えば当たり前だが、暮らして行く

          終わりなき旅/U2 I Still Haven't Found What I'm Looking for / U2

          時そば/古今亭志ん朝 Tokisoba / Kokontei Shinchou

          80年代前半、東京に住んでいた時、時間とお金があると通っていたところが3ヶ所ある。 新宿ロフトと新宿末広亭と六本木WAVEだ。 G大駅の駅前レコード店に通っていた時、長兄さんに勧められて落語を見るようになった。 高校時代に読んでいたロッキンオンの松村雄策さんの影響もあったかもしれない。 もともと漫才ブームを経由していて、お笑い演芸は好きだったので試しにと聞いてみたらずっぽりハマってしまった。 新宿の末広亭という寄席によく行っていた。 昼の部12時から4時半まで、または夜の

          時そば/古今亭志ん朝 Tokisoba / Kokontei Shinchou

          ベートーヴェン弦楽四重奏15番 Beethoven: String Quartet No. 15

          80年代前半、東京に住んでいた時、時間とお金があると通っていたところが3ヶ所ある。 新宿ロフトと新宿末広亭と六本木WAVEだ。 80年代の一時期、六本木のシネヴィヴァン(CINE VIVANT)に通っていたことがある。ちょっと難解な雰囲気のアート系の映画にあこがれていた時期だったのだ。 それがナウかったのだ。 映画や音楽やアートなど薄っぺらく広く浅く見て廻っていたのだ。 意味不明なシーン、細切れの音楽、美しい風景のつぎはぎ、そんなものをひどくカッコよく感じていた。 だから

          ベートーヴェン弦楽四重奏15番 Beethoven: String Quartet No. 15

          恋のダイヤル6700/フィンガー5 Koi No Dial 6700 / Finger 5

          もうじき16歳の誕生日を迎えるという高校1年生の2月の寒い日、 俺は親戚のおじさんからもらった銀色のポルシェのジャンパーを着込んで、 家の近所の駅前の公衆電話からF原さんに電話して付き合ってほしいと告白した。 すでにバンドを一緒にやっていて仲良くしていたとはいえ、付き合うとなれば話は別だ。 指の震えを抑えつつ、俺はダイヤル回したよ。 君のテレホンナンバー〇〇〇〇 うわぉー! まさにこの曲の気分。 「はい、F原です」 ヤバい。 お父さんじゃん! 怖い。 「あ、あの、えーと

          恋のダイヤル6700/フィンガー5 Koi No Dial 6700 / Finger 5

          ダンス・ダンス/ザ・シェイクス Dance Dance / The Shakes 

          80年代、東京に住んでいた時、時間とお金があると通っていたところが3ヶ所ある。 新宿ロフトと新宿末広亭と六本木WAVEだ。 俺はややメジャー寄りのポップな音が好きだったので、そういう音を聴きたいときには渋谷エッグマン、テイクオフセブン、原宿クロコダイルなどのライブハウス巡りを楽しんでいた。 T本君などは屋根裏あたりのハードコアを観に行っていて、今日は客同士の喧嘩に巻き込まれたとか、楽し気に話してくれた。 当時のライブハウスはとにかく汚いところが多かったし怖かった。 それをま

          ダンス・ダンス/ザ・シェイクス Dance Dance / The Shakes 

          ホエン・ラヴ・ブレイクス・ダウン/プリファブ・スプラウト When Love Breaks Down / Prefab Sprout

          PA会社で仕事をしていた時は、勤務時間がとても不規則になった。 土日はイベントやコンサートがあり、朝早く家を出て、帰りは夜12時近くなった。 銭湯はもう終わってしまっていたので2〜3日風呂に入らないこともしばしばだった。 事務所は渋谷にあったが、機材などの倉庫はK県K市にあって、週の前半は土日に使用した機材のメンテナンス、後半は週末に向けての機材の準備をしていた。 他の会社と同様に先輩たちがまだ仕事をしているのに先に俺が帰るのは憚られた。 ある日どうしても新宿でコンサートを見

          ホエン・ラヴ・ブレイクス・ダウン/プリファブ・スプラウト When Love Breaks Down / Prefab Sprout

          テンプテッド/スクイーズ Tempted / The Sqeeze

          焼肉店でバイトをしていたある日、故郷の広告代理店に勤めるS藤先輩から電話がかかってきた。 「俺君、音響の学校は卒業したんでしょ?」 「はい」 「田舎に帰ってきて音響の仕事する気ない?東京に本社があるんだけど、こっちに支社があってさ、人手が足りなくて困ってる会社があるんだ。よかったら東京本社に1〜2年勤めて、ゆくゆくはこっちに帰ってくるっていうのはどう?」 悪くない話だった。 F原さんと一緒に楽しく暮らしていたのでどうかとも思ったが、 相談してみたらF原さんはそろそろ故郷に

          テンプテッド/スクイーズ Tempted / The Sqeeze

          ガールフレンド・イズ・ベター/トーキング・ヘッズ Girlfriend Is Better / Talking Heads

          1984年、TEACというメーカーからPORTA ONEというマルチトラックレコーダーが発売された。 マルチトラックレコーダーとは音を重ねて多重録音できる音響機器で、レコーディング用のプロ機器は存在していたが、趣味レベルの物は無かった。 録音する媒体はカセットテープだった。 この後、MDやCD、ハードディスクへと録音媒体が進化し、パソコンでの録音に変遷していく。 この製品の前にPORTA STUDIO244という名機が発売されていて欲しくてたまらなかったが、値段が198000

          ガールフレンド・イズ・ベター/トーキング・ヘッズ Girlfriend Is Better / Talking Heads

          ビールス・カプセル/シーナ&ザ・ロケッツ Virus Capsule / Sheena And The Rokkets

          2回目のバンドの練習中、T野さんは何を思ってか俺に向かって 「俺君はギター弾いてみてよ。僕がベース弾くから」 と自分が持っていたナショナルのギターを俺によこした。 ベースとしてバンドに加入したけど、そもそもギターが弾けるからと言ってバンドに入ったから俺がどんなギター弾くのか知りたかったみたいだ。 T野さん 「曲は何がいい?」 俺 「う~ん、3コードの簡単なやつがいいですね」 T野さん 「じゃ、シナロケのビールス・カプセル知ってる?」 俺 「はい、知ってます(得意です)」 T

          ビールス・カプセル/シーナ&ザ・ロケッツ Virus Capsule / Sheena And The Rokkets