【アンメット】劇伴で見る2024春ドラマ(2)【ミス・ターゲット】
劇伴、いわゆるドラマや映画の中で流れるBGMとその作曲家さんに注目して作品を見ていこう、というシリーズです。
【アンメット ある脳外科医の日記】
早いもので今期の大本命、『アンメット』も第5話まで来てしまいました。
『アンメット』で劇伴を手掛けているfox capture planについては前回詳しく書いたのでぜひ見てみてください。
第5話では始まりから緊迫感のあるピアノが流れますが、その後の千葉雄大さんを中心とした会話では無音。いつもにも増して映画っぽい演出だなと思いました。
今までだと毎週、患者さんが救急搬送されてきたり病院の仲間でごはんを食べにいったり、というシーンで勢いのあるドラムから始まる曲が流れていたのですが第5話ではそれもなし。もともと無音のシーンが印象的なドラマでしたが、さらに音数を減らしている回になっています。
その中で音楽が強い印象を残したのが、ミヤビが手術に向かうシーン。朝、森ちゃんと一緒に起きて自分の状態について説明されて、周りのサポートを受けながら自分と向き合って手術室に入る。この数分間、途切れずに流れるピアノとストリングス。曲が入る瞬間も終わる瞬間も絶妙で、必ずしも音楽が前に出ているわけではないのですが欠かせないものになっています。
早くサントラ出てほしいな、けど終わってほしくはないな、と思いながら毎週楽しみにしています。
【ミス・ターゲット】
今期の連ドラが出揃って数話が流れていった中で、週を追うごとに面白くなっているのが松本まりか主演の『ミス・ターゲット』です。
結婚詐欺師が婚活を始める正統派ラブコメで、話のテンポもいいし笑いと真面目さのバランスも絶妙。詐欺師という極端な設定を利用して結婚と仕事、愛情とお金に悩む女性像を体現する松本まりかの演技はもちろん、脇役の八嶋智人や鈴木愛理もまたキャラが立っていて毎週楽しみにしています。
劇伴っていう観点からはそこまで特筆するところはないかな?と最初は思っていたのですが、派手さはなくても盛り上げるところはしっかり盛り上げる、悲しいシーンではしっとり寄り添ってくれる、そういう職人技的なメロディが散りばめられていて、じわじわと良さがわかってきました。
最新の第5話だと上杉柊平さん演じる和菓子職人が新作の和菓子を配るときに流れる主題歌、家入レオ「ワルツ」のストリングスアレンジがとてもよかったです。(ドラマEDの家入レオっていい曲が多いですよね)
さて、『ミス・ターゲット』の作曲をしているのが富貴晴美さん。苗字は「ふうき」と読むそうです。
プロフィールを見てみると国立音大の作曲科を主席で卒業(!)、2012年の映画『わが母の記』で日本アカデミー賞優秀音楽賞を22歳で最年少受賞(!!)、2018年の『西郷どん』で大河ドラマ史上最年少で劇伴を担当(!!!)というとんでもない方でした。
NHKではその後、朝ドラの『舞い上がれ!』の音楽も担当しています。
すごいのはわかった、ただ、いかんせん個人的にはどれも見たことがない…ということで富貴晴美さんの仕事の検索を続けていたら「これも????」となったのがこちら。
昨年末のカロリーメイトの長編CM。大きく話題になったこともあり、今でもよく覚えています。ピアノとストリングスでの曲はプリキュアのアレンジだったんですね。
もうひとつ、よく印象に残っていたのはアニメ映画版の『かがみの孤城』。こちらの劇伴も富貴晴美さんの仕事でした。原作小説も好きなのですが、映画では優しく包み込んでくれるようないい音楽だな、と思いながら観たのを覚えています。
映画やドラマ、CMのほかに劇団四季とも仕事をしているのが面白いですね。これからも追っていきたい作曲家さんです。
【夜のクラゲは泳げない】
ドラマ『Nのために』や『最愛』を手掛けてきた作曲家の横山克さんが現在携わっているのがアニメ『夜のクラゲは泳げない』。
作品中にはアイドルグループ「サンフラワー・ドールズ」と、主人公が結成する覆面のシンガープロジェクト「JELLE」が登場するのですが、そのうち前者の劇中歌も横山克さんが手掛けている、という話を前回書きました。
今回は後者、「JELLE」について。というのもストーリーが進むにつれて曲数が増えてきたこともあるのですが、JELLE、とにかく曲がいい。
JELLEの曲を手掛けているのは40mPという方で、ボーカロイドを使ういわゆるボカロP。ボカロもアニソンも全然詳しくはないのですが、何千万と再生されてる曲があって「知らない世界…すごい…」と圧倒されました。wikipedia情報ですがもともとはジブリ作品をきっかけに久石譲が好きになり、歌が入った音楽に興味を持ったのはその後っていうのも面白いなと思いました。
「夜のクラゲは泳げない」のOP、ED、劇中歌は公式でプレイリストにまとめられています。
横山克さんに話を戻すと、いま公開中のアイドルアニメ映画「トラペジウム」でも劇伴と劇中歌を手掛けていますね。
イメージ的には「Nのために」の人だったけど本当はアニメがやりたかった人なのか???とも思ったのですが本人的にはそういうわけではない模様。
横山克さんも国立音大作曲科の出身ということで、『ミス・ターゲット』の富貴晴美さんとは在学中からのお知り合いのようです。すごい、繋がってしまった…
今回はここまで。劇伴について調べるのも楽しくなってきたのでまた更新したいと思っています。
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