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エイコン、50歳、かく語りき。

00年代半ばに彗星のように現れ、特徴的な歌声を武器に「Lonely」などなど大ヒットを連発していたシンガーのエイコン。

久しぶりに聴きましたが独特の明るさと切なさがないまぜになったいい曲ですね。

 エミネムとの共演が記憶に残っている人も多いでしょうか。

そんなエイコン、今では50歳を迎え、BBCのインタビューに答えています。

(ということはデビュー作『Trouble』をリリースした2004年には既に30歳を過ぎていて、わりと遅咲きだったんですね。)

50歳で音楽を作るということは以前にも増して「音楽への情熱と愛だ」とエイコンは語る。音楽で稼がなくてはならない重圧が減ったことでよりアフリカの影響を取り入れることができるようになった、とも。

「自分の収入に占める割合でいえば音楽は1番目じゃないんだ。今ではたぶん10番目くらいだね」

エイコンによれば経済的な自由によって楽曲に文化的な要素を加えられるようになり、新作『Afro Freaks EP』では"Lonely"や"Locked Up"から大きな進歩を遂げているという。

「音楽ビジネスに伴う政治的なこととは関係なしに楽曲制作ができて楽しいよ」

エイコンは合衆国を中心とした音楽シーンでこそ目立たなくなりましたが、アフリカで都市開発からファッション、TikTokとの提携まで幅広く手掛けるビジネスマンとして大成功しており、ヒットを生むために曲を作る必要はなくなっています。

そして合衆国のレコード会社とのしがらみもなくなったので、セネガル生まれである自らのバックグラウンドが持つアフリカの要素を自由に取り入れられるようになったと語っています。

エイコンは 西洋の楽器とアフリカの楽器をいくつか習得していたが、音楽キャリアを追求し始めた2000年代初頭にプロデューサーが興味を持ったのはエイコンの文化的側面の一方だけだった。

「あの頃、最も距離を置かなくちゃいけなかったことの1つが自分がアフリカ人だっていう事実だったんだ」

エイコンはアフリカ音楽と西洋音楽をミックスしようと何年も努力を重ねてきており、2008年にはウィズキッド(Wizkid)を自身のレーベルに迎え入れている。

しかし、アフロビーツが業界の重役から却下されていた時代をエイコンは思い出す。

「2000年代の初め頃、アフロビーツをアメリカで売り出そうとしてたんだけどレゲエだと思われたんだよ。とてもフラストレーションが溜まった。アフリカの人口は巨大だし、アフロビーツこそが未来なんだって説得したけどダメだったね」

その後、2021年にウィズキッドがグラミー賞を獲得し、2024年現在までアフロビーツやアマピアノといったアフリカの音楽が大きなトレンドになっているのはご存知の通り。

エイコンはアフロビーツの成功が故郷アフリカ大陸への関心を促してくれると信じている。そして新しいアーティストたちはエイコン自らがやったように自分のルーツを切り離す必要はなくなるだろう、とも。

「アフロビーツは世界中から注目を集めて、人々がアフリカについてたくさん学べるようにドアを開けてくれるんだ」

ここで訳したのはごく一部なので、ぜひ本編を読んでみてください。

 エイコンの現時点での最新作『Afro Freak』(2023年)。

ナイジェリアのラゴスで撮影された"Loco"。

BLM運動が盛り上がっていた2020年には星条旗を背負って"Ain't No Peace"と繰り返すMVを撮っています。


2019年にはラテンポップの盛り上がりを見逃さず、スペイン語圏で大ヒットさせています。

ここ数年のエイコンの音楽活動はアフリカやスペイン語圏をターゲットにしていたのでUS中心のシーンからは見えにくいものになっていましたが、また改めて掘り下げてまとめていきたいと思っています。

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