日記: ファレルの思い出

ファレルが主催のフェス、Something In The Waterを見ました。ストリーミングでフェスを見るのはコーチェラ、ルーツ・ピクニックに続いて今年3つめ。いい時代です。

アッシャーやらT.I.やら往年の大スターが出てきたのも懐かしかったですが、最終日大トリのタイラー・ザ・クリエイターがファレルに向かって「あんたがthe Greatest of All Timeだ、ありがとう」と両手を合わせて頭を下げていたのが印象に残っています。

ファレル(左)に頭を下げるタイラー(右)。中央は21サヴェイジ。

フェスの一番の出し物だったのが2日目のファレル&フレンズ。ジェイZとか来るんじゃないかと言われていましたがノリエガにドマーニとやたら渋いメンツが出てきたのもよかったです。

このファレルのステージでプッシャTがマリスと共に登場してクリプス再結成となったのですが、ライブで初めて見たプッシャTのラップの上手さが尋常ではなかったです。よく通る声質にブレない声量、ビートを一打も外さないリズム感。えげつないリリックなどのスキルは音源を聴いてわかりますが、こういうライブアクトとしての基礎能力がめちゃくちゃ高かったのは意外な驚きでした。USのラッパーの7割8割はライブで見るとたいして声が出てなかったりがっかりすることが多いのですが、ルーツ・ピクニックで見たブラックソートと今回のプッシャTは圧倒的にレベルが違うなぁと思いました。

Something In The Waterを観てからはクリプス筆頭にファレルの昔のプロダクションを聴くことが多くなりました。今になって思うのは、10代の音楽を聴き始めたころにDrop It Like It's HotやMr. Me Too、Wamp Wampのような変な曲、「こんなのアリなの?」とこっちの既成概念を揺るがせてくるような曲が売れまくっていて自然と耳に入ってきたのはとても良かったなぁということです。少なくともHappyやGet Luckyで洋楽に入るよりは間違いなく良かった。

そういえばファレルといえば、ネプチューンズが監修したコモンの『Universal Mind Control』が好きです。カニエが作った『Be』に比べると今では全く顧みられることのない作品ですが、コモンが堅苦しいリリックよりも言葉の響きを優先して遊ぶようにラップしている最後のアルバムだと思います。チャド・ヒューゴもしっかりクレジットされているのでファレルのアイディアがアイディアだけで終わらずにしっかり形になっていて、ヒップホップの原初的快楽性に溢れたいい作品です。


ではまた。

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