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決算書分析だけでは見抜きにくい粉飾手口

 今回は、グレイステクノロジー上場廃止(2022年2月28日予定)について書いていきたいと思います。

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はじめに

2022年1月27日に、グレイステクノロジー上場廃止(2022年2月28日予定)というニュースが飛び込んできました。上場廃止に至った理由は、端的に言うと粉飾決算なのですが、その手口が衝撃的だったので、その経緯を詳しく書いていきたいと思います。

まずグレイステクノロジー株式会社とは、機械メーカーやソフトウエア開発会社などに向けて、各種操作マニュアルや運用マニュアルなどの作成支援を行う企業です。

技術力は優れているが、マニュアル作りが負担になる企業が多く、そうしたニーズに応え、代理でマニュアル作りを行う会社として成長してきました。過去には滝川クリステルさんをCMに起用する事もありました。

JPXホームページ 上場廃止等の決定:グレイステクノロジー(株)

上場廃止の現状

東京商工リサーチ調べ

まずは、上場廃止の状況について解説したいと思います。

2022年に入り、上場廃止を公表した会社は2月4日現在で9社。年度別推移を見ると、毎年40~80社ほどあるのですが、2021年は、86社に達しました。コロナ前(2019年)の42社から倍増したことになります。

リーマン・ショック時の2008年に倒産した上場企業は33社で、同年の上場廃止は2007年以降で最多の79件だった。2021年は11月末までに上場企業の倒産はなく、倒産以外の上場廃止が増加。廃止理由は「完全子会社化」が目立ち、コロナ禍が「企業再編」を促している格好でした。

グレイステクノロジーの上場廃止理由

JPXホームページ

上記は2022年の上場廃止企業一覧です。グレイステクノロジーの上場廃止に至った理由だけ「四半期報告書提出遅延」という上場企業の義務である期限内の決算書の提出が行われなかったという、近年見ないような内容でした。

なぜ、提出遅延に至ったのかというと、2021年4月に創業者が亡くなり、粉飾決算の誤魔化しが効かなくなったからです。

2022年1月14日には「特別調査委員会による調査の継続、2022年3月期第2四半期報告書の提出遅延及び 当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせ」の中身を見てみましょう。なぜ創業者が亡くなり、粉飾が誤魔化せなくなったのかは後述します。

グレイステクノロジーIR情報

上記表は、グレイステクノロジーのIR情報に公表されたものです。2016年から架空計上を行っており、その合計額は、2016年3月期から2021年3月期までの6年間で合計23億4700万円に達しています。

売上の前倒しや架空計上を繰り返し、売上高19億円と予算を達成し、そこに着目した投資家から買いが入り、2020年12月の株価は上場来最高値の4,235円まで上昇しました。

2021年3月期単体においては、実に売上の半分以上が架空計上となっており、完全に常態化してしまっていますよね。

Yahoo!ファイナンス

同社、株価の推移も創業者の死去による不安視の影響もあり、2021年4月以降は売りが相次ぎ、大きく下落している事が分かります。

なぜ粉飾に手を染めたのか❓

東京商工リサーチによれば、2016年3月期から期をまたぐ売上の前倒しが始まったとの事。

元会長(創業者)による、営業担当役員を激しく罵倒、叱責。そして、叱責を受けた営業担当役員は、部下に売上目標の必達を厳命する。叱責の「順送り」がはびこっていたとの事。

こうなった背景に、達成困難な過剰ノルマとパワハラ行為、目標必達のために、架空売上に手を染めていったようです。

見破るのが難しい❓粉飾

通常の粉飾決算は売掛金、棚卸資産の増大や異常推移などが一般的ですが、グレイステクノロジーの場合は、創業者のポケットマネーから売上として不正入金をしていたのです。

よって、決算書分析の観点から、貸借対照表のどの項目の推移が怪しいとか、見破る事は困難だと思います。

通常、架空計上だけなら原価がかからないため利益率が大きくなってしまう。そのため架空の外注費も計上して、極端な増益にならないよう工夫されています。2021年3月決算での自己資本比率66%、流動比率544%と普通に財務分析をしたら優良企業ですよね…

では、創業者のポケットマネーの原資はどうしたのでしょうかね❓

まず、架空でも会社の売上があがれば、業績に連動して投資家から買いが入り、株価も上昇していきます。そこで大株主でもある創業者が高値で売却された資金を、更に架空売上として創出し、利益を上げ続けるという自転車操業を繰り返してきたのです。

よって、貸借対照表を大きく操作せずに疑いをもたれる事なく粉飾を繰り返せたのだと思います。

グレイステクノロジー粉飾の手掛かりはなかったのか❓

それでも、今後、粉飾決算に引っ掛からないためにも手掛かりはなかったのかを検証していきましょう。

■2ヶ月平均の売掛債権回転期間が、20年3月期には5.3ヶ月となっている

21年3月期の2Q時点では、この売掛金回転期間は8.6ヶ月と異常値であった。

■2020年8月24日に、グレイステクノロジーの大量保有報告書が提出されている

前会長が250万株超をゴールドマン・サックス証券に譲渡すると発表した。譲渡する株式は議決権ベースで17%超に相当し、ゴールドマンは取得したグレイス株を直ちに転売する。株式譲渡に伴う経営体制の変更はないとしている。

松村会長などの保有株の譲渡は8月20日を予定する。松村会長は6月30日時点で議決権ベース16.63%を保有する筆頭株主だが、譲渡により9.85%まで保有比率が低下する見込み。グレイスは今回の譲渡により投資家層の拡大と多様な投資家との対話が期待できるとしている。

当時は、前向きな記事となっていましたが、創業者の株式保有割合が減少していないかを中長期で見ていく事で防げる可能性があるかも知れませんね。

グレイステクノロジーIR情報

まとめ

今回の粉飾事件は、創業者による恫喝など、過度なノルマ設定による追い込みで、善悪の判断すら難しくなり、架空計上での自転車操業に陥ってしまった例です。

売掛金、棚卸金の水増しではなく、シレっとポケットマネーからの入金と、大手監査法人すら不正を見分けられないという難しい案件でした。

同社の2月4日現在の株価は33円と厳しい状況ですが、製品のマニュアル作成代行は、今の時代にはマッチしたビジネスでニーズは高いです。新経営陣にて、どう立て直すのかに注視する必要があります。

本日の内容は以上となります。
次回もお楽しみにでは

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