ある人をひそかに監視している
僕は十年間ほどある人をひそかに監視している。一目見たときから「こいつはヤバイ」と思ったやつだ。負のオーラを全身から漂わせている。誰もこんなやつ好きにならないだろうな、というぐらいの陰気な男だ。
その人はもう、すぐにでも自らを死なせかねないぐらいの恐ろしい暗黒に片足をつっこんでいた。絶望し、深い穴の淵に立ってその下を見つめていた。飛び降りようかな、やめとこうかな、と迷っていた。僕はすぐにそういう気配にピンと来て、背後からこっそりとそいつを見守ることにした。さすがに目の前で死な