西山涼二|一級建築士の空間づくり

一級建築士事務所さんかくデザインラボ主宰|ギャラリー運営|クリエイターコミュニティ運営…

西山涼二|一級建築士の空間づくり

一級建築士事務所さんかくデザインラボ主宰|ギャラリー運営|クリエイターコミュニティ運営|京都芸術大学非常勤講師などをしてます。「建築設計×場づくり」の2軸で、空間づくりについて発信します。https://bio.site/ryojinishiyama

最近の記事

【保存版】中古マンションの購入フローまとめ

投資用ではなく「自己居住用の」中古マンション購入の話です。 ぼく自身、2022年に中古マンションを購入し、リノベして、1年半ほど住んでいました。その物件が、この春に売却となりまして、つい先日、引き渡しをしてきました。この機会に、ぼくが中古マンションを購入した際の具体的な流れを記録としてまとめ、留意点などを記しておこうと思います。 家を買うというのは、ほとんどの人にとって生涯に何度もないイベント。大きなお金が動くし、住宅ローンなんかは誰も丁寧には教えてくれない(教えられる人

    • 自邸マンションフルリノベの費用大公開

      2022年4月に築40年弱の中古マンション(70㎡)を購入し、自らリノベ設計し、自邸 兼 事務所として単身で暮らしています。 toolboxさんに特集記事を書いていただいたり、毎日放送の番組「住人十色」にも出演予定だった住居(売却が決まり破談に。涙)ですが、実際、どれだけのコストがかかっているのでしょうか。 結論から言うと、めちゃくちゃコスパよく仕上がってます。では、具体的にいくらだったのか?そこに再現性はあるのか?「施主 兼 設計者」の視点から、記述してみようと思います

      有料
      300
      • 空間を立体的に彩る「吊りもの」知識

        今日はちょっとニッチだけど、刺さる人には刺さるはずの内容。 2年前にギャラリー八角を利用してくれた方が、困り果てた様子で連絡してこられました。自分のお店を持つことになったのだけれど、吊り金物の選定がうまくいっていない。八角で採用されていたものが理想形なので、ブランドや商品名がわかればおしえてほしい。とのこと。 「吊る」ことは、空間を立体的・3次元的に使うことであり、ギャラリーに限らず、店舗や住宅にもとても有効な手段。うまく使いこなせるようになると、空間づくりがより面白くな

        • マンションリノベの定番になるべき名案

          今日は、タイトル通り、マンションリノベを行うときの定番として普及してほしいことについて書きます。 名案と書いてますが、ちょっと考えれば、ああそうだよなとわかること。でも意外と誰もやってない。ぼくの自邸でも採り入れており、訪れる人の評判もとてもよいです。なにより、ぼく自身がこれやってよかったなぁと心から感じています。 結論から言うと、玄関扉に内扉を設けること。写真を添えながら解説していきます。 断熱改修は「二重窓」がコスパ最強まず、前段となる話をしておきます。 ここ数年

        【保存版】中古マンションの購入フローまとめ

          複業時代の死なない経営

          ぼくは今、3つの事業をやってます。 ・建築設計業(さんかくデザインラボ) ・ギャラリー運営(ギャラリー八角) ・コミュニティスペース運営(かもがわクリエイティブベース) しかも、基本的にすべて一人で。最近、ようやくスポットでバイトを雇ったりするようになってきたものの、それでも基本は一人です。 メインに据えているのは設計業。独立以来、安定して利益を出していて、それを原資にギャラリーを始め、ギャラリーが収支トントンまでいけたタイミングで、新たな事業としてかもベース(かもがわ

          建築家がよく使う合板3選

          建築資材として、もっとも一般的なものに「合板」があります。 種類も使われ方もさまざまですが、合板をうまく使い分けられれば、安くても質感ある空間をつくることができます。 今回は、建築家がよく使う3種類の合板をピックアップし、その使い方について簡単にまとめてみました。 3種の神合板早速、書き出してみると、、 ・針葉樹合板(構造用合板) ・ラワン合板(ベニヤ板) ・シナ合板 この3種類です。 呼び名や定義はまちまちですが、ベニヤというと、5.5mm以下の薄いラワン合板を指す

          今、ローカルコミュニティに所属する意味

          今日は、ぼくが運営する「かもがわクリエイティブベース」(通称:かもベース)を引き合いに、コミュニティについて書いてみます。 なぜぼくらは、単なるワーキングスペースを超えて、ローカルコミュニティに近しいものをつくろうとしているのか。 今、時代はあきらかに個々人がそれぞれ自立することを促しています。大企業であっても、生涯その会社で勤め上げるんだと思って入社する人は、ほとんどいなくなっているはず。日本の経済成長が止まって30年、もはや企業は個人を支える力を失っています。現に、早

          今、ローカルコミュニティに所属する意味

          木造経験ゼロで設計した住宅兼店舗が、AWARDを受賞した話。

          今日は、ちょっとしたご報告。少し前のことにはなりますが、 「住宅設計.jp」AWARDにて \準グランプリ/をいただきました!! AWARD主催の高千穂シラス株式会社様は、シラス壁をはじめとした自然素材の住宅建材を開発・販売されている企業です。コロナ禍で苦しむ設計事務所の助けになればと、設計事務所の住宅作品を紹介するサイト「住宅設計.jp」を立ち上げられました。 今年はそのサイト内で、投票形式での設計AWRADを開催しておられたのですが、さんかくデザインラボの過去作「の

          木造経験ゼロで設計した住宅兼店舗が、AWARDを受賞した話。

          インナーテラスのすすめ<機能編>

          インナーテラスを設けると、めちゃくちゃ良いですよ!という話の続き。前回は、体感的メリットについて書きました。今回は機能面。 大きく3点のメリットがあると思ってます。それぞれ、詳しく解説していきます。 タイル床でメンテフリーぼくの家では、インナーテラスの床をタイル張りにしています。 南側の窓際って、フローリングだと経年でかなり傷むんですよね。日焼けもありますし、濡れたりもしやすいので。それがタイルだと、ほとんど気にする必要がなくなります。 植物を育てていて土や水がこぼれた

          インナーテラスのすすめ<機能編>

          インナーテラスのすすめ<体感編>

          ぼくの自邸は、2022年4月に築40年の中古マンションを購入し、リノベーションしたもの。来客からは「今まで見てきた中で一番いい家!」と言っていただくことも少なくありません。 何人もの方にそう言ってもらえる理由の一つには、インナーテラスがあると思っています。 均質的なマンション区画に、豊かな空間をつくるために今ではこの家の象徴的空間となっているインナーテラス、実は計画当初には頭の中にありませんでした。 均質的なマンション区画の中で、いかに豊かな空間をつくれるかということに

          インナーテラスのすすめ<体感編>

          建築家による住宅設計初期案 -ハウスメーカーとの決定的な違い-

          今週は、写真家(かつ2人の幼子の母)の友人夫婦に対して設計プレゼンをしてきました。彼女は以前、ぼくの「自宅 兼 事務所 兼 ショールーム」に遊びに来て、すごく気に入ってくれて、この住宅の設計依頼に至っています。 とは言え、ぼくの家がマンションリノベであるのに対し、彼女は祖父が残した80坪もの土地に建てる新築住宅。期待通りの設計ができるか、いささか不安はあります。 今回は、そんな不安の中から始まる、設計の一番初期で考えたこととその成果物について綴ってみます。 タイトルは少

          建築家による住宅設計初期案 -ハウスメーカーとの決定的な違い-

          抜けをつくり、ゆらぎを取り込む

          海や川をぼーっと眺めるのは、気持ちいい。 これは普遍的な事実であって、ここに意を唱える人はほとんどいないと思います。自然に限らず、龍安寺石庭のような空間に対しても、人は心地よさを感じ、長時間たたずんでしまうもの。一方で、ビルに囲まれた都市の隙間空間では、なかなかこういった感覚は得られません。しかし、公園まで足を伸ばせば、いくらか安らげたりもします。 これはなぜなのか?心地よさに共通するものはなんなのか? その規則性がわかれば、意図的に心地よい空間を作り出せるはず。もちろ

          抜けをつくり、ゆらぎを取り込む

          ダウンライトはこう使え

          前回、ダウンライトは使うなと書いておいて、真逆のタイトルです。笑 使わないのがベストだけど、そうは言っても、適材適所でどうしても使いたいときもあります。または、すでに使っちゃってる、、という場合もあるでしょう。 結論を先に言うと、 ・直径が小さいダウンライト ・グレアレスタイプのダウンライト のいずれかを選ぶ or これらに変更しましょうという話。 解説していきます。 拾い画像を比較してみる 以下の画像A・Bは、天井面がきれいなものと、そうでないもの。 画像B

          ダウンライトは使うな

          過激なタイトルを付けてしまいました。笑 ダウンライトとは、天井に埋め込み設置する直径10cmくらいの照明器具のことですね。もっとも一般的かつ初歩的な照明と言ってもよいでしょう。 賃貸住宅などではシーリングライト(円盤型の照明)が多いですが、注文住宅などになると、シーリングライトは野暮ったいしダウンライトがいいよね!と考えられがちです。ハウスメーカーや工務店も、黙っていればダウンライトで設計してくることが多いのではないでしょうか。 ですが、ぼくはダウンライトの使用は避ける

          狙った物件を確実に射止める方法

          物件探しをしていると、これは!!と思う物件に当たることがあるでしょう。そういう物件は多くの場合、他の人にとっても魅力的。つまり、人気物件で競争率が高い場合がほとんどです。最初からうまくいくなんて思ってはいけません。 と、少し脅かすようなことを言いましたが、これから書くことを行えば、狙った物件をゲットできる確率が格段に上がります。 即決命!内見時に申し込め!人気物件であれ何であれ、まずは問合せして実際に物件を見に行きますよね。内覧とか内見ってやつ。 このときに契約申込に必

          狙った物件を確実に射止める方法

          物件の探し方<本気モード編>

          先日書いた物件探しの方法は普遍的・基本的なものでしたが、今回は本気の人のためのバージョン。 数年住むだけの賃貸住宅探しなら、以前の記事に書いた基本的な探し方だけで十分だと、ぼくも思います。でも、自分のお店を初めてつくるときの物件探しや、自宅を購入するときの物件探しって、人生においてめちゃくちゃ重たくて重要なことですよね。それを、なんとなく物件サイトを眺めるだけで済ませてしまってよいんでしょうか? 不動産投資をしてる人たちからするとわりと常識的な話ですが、本気で良い物件を探

          物件の探し方<本気モード編>