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『Pan-Asiaのスタートアップエコシステムの構築、イノベーションにより世の中を変革する』 大蘿淳司さん 〜モトヤフインタビュー〜

-まず最初にお名前をフルネームで教えていただけますか。

大蘿淳司(たいら あつし)です。トップ画像でマリナベイサンズをバックに写っている二人のうち、右が私で左がエンジニアとしてバリでデジタルノマドしている私の息子です。

-現在、おいくつですか。

60歳になりました。1963年4月26日生まれです。

-お生まれはどちらですか、またどちらにお住まいですか。

生まれは山口県徳山市で、育ちは広島県です。現在はシンガポールに居住(7年目)しています。

-これまでのプロフィールをご紹介ください。

1987年3月 早稲田大学工業経営学科卒業(B.A.in Industrial Engineering)
1989年5月 同大学院機械工学修士課程卒業(M.S.in Mechanics & Robotics)

2003年以前は、製造・流通業のコンサルタントとしてAndersen Consulting (現Accenture)、日本コカ・コーラ株式会社においてコーヒー(ジョージア)やお茶カテゴリー(爽健美茶など)のブランドマネージャ、株式会社ドコモAOLジャパンのCMO、イスラエルベースのスタートアップ 副社長などを歴任しました。

2003年から2015年、SoftBankグループに12年間在籍。

2003年、ヤフー株式会社の初代マーケティング本部長に就任、インターネットの成長期を経験。2008年 News Corp、ソフトバンク株式会社のJV、MySpace Japan CEOに就任、日本のSNS黎明期に関わりました。

2010年よりソフトバンクモバイル株式会社 SoftBank Mobile 常務執行取締役 海外事業戦略室長として、孫正義のVisionの下、インド、シンガポール、インドネシアへのJV設立、スタートアップ創業、投資活動に従事。

インドのパートナーとともに創業したHike Messengerは1億人以上の登録者数、Tencentからの出資時には企業価値$1Bのユニコーンに。また、インドのスマフォフォーカスの広告配信プラットフォームのInMobiにUSD200投資し、取締役として2012年から4年間参画、その後インド最初のユニコーンになりました。

2013年からシリコンバレーにて、US戦略の推進、子会社支援、投資に従事し、SoftBankによるSprintの買収や買収後の事業統合、買収会社の財務立て直しなどを実行。

2016年2月より、孫泰蔵とともにMistletoeの立ち上げ加速化のため、代表取締役 Chief Growth Officerとして参画。東京、シリコンバレー、インドや東南アジアを飛び回り、革新的なスタートアップの発見、投資、そして成長支援を行いました。

2017年7月、Mistletoe Singaporeを孫泰蔵とともに立ち上げ、Managing Directorに就任。アジアでのスタートアップエコシステムの構築に従事し、参画以来100社以上の投資に関わっています。

2023年、孫泰蔵とともにThe Edgeof をシンガポールに共同創業し、同年SoftBank Groupより傘下の投資会社、SoftBank Venture Asiaを100%買収し、Pan-Asiaのスタートアップエコシステムの構築、イノベーションにより世の中を変革する世界のスタートアップへの投資を開始しました。

-ヤフーに在籍しておられた期間はいつでしたでしょうか?またヤフーに入ったきっかけは何でしたか?

2003年6月〜2007年12月ですね。
DoCoMo AOLに在籍していた時にYahoo! JAPANの可能性に興味を持ち、ヘッドハンター経由で紹介され、井上さん、梶川さん、喜多埜さんとお会いして、意気投合してその場で入社することを宣言いたしました。

-ヤフーでのお仕事はどんな内容でしたか?

ヤフー初のマーケティング・オフィサーに就任。井上さんからは、「ユーザー数の伸びを加速化させろ、でも金は使うなよ、頭使え」と。マーケティングと広報の人材の採用と組織づくり、事業部との連携して動くためのプロセスデザイン、メディアとしての力を活用することで社会貢献系の活動によるブランドイメージの構築(ピンクリボン、パラリンピック、など)、検索を世の中で一般的な言葉にするために、フジテレビ等との番組タイアップ企画(カワズ君の検索生活など)をお金を使わずに立ち上げました。

その後、パーソナルビジネス本部の本部長に就任し、B2C売上の責任を事業部横断で持つ役割になり、オークション事業部、コンテンツビジネス、プレミアム会員などの売上拡大に貢献しました。また、サービスの立ち上げなどで、マーケティングリサーチの視点やユーザビリティでの助言などを行い、サービスの質の向上にも貢献しました。

-ヤフーで学んだことはどんなことでしたか?

井上イズム。「金使ってやるんだったら誰でもできるんだよね。金は使うな、頭使えよ。」意見は無謀なようだけど、結構深くて、経営資源である人、モノ、金、人とモノ(Y!Jの場合はメディアとしての力)をとことん活用すれば、経費を使わず成長はできる、という本質を学び、実践することができました。これは、今スタートアップの方々にアドバイスをする時などに本当に活きているし、自分の仕事への取り組み方を大きく変えたという意味で人生にとっても非常に大きな学びでした。

-ヤフー時代のエピソードやトピックはありますか?

当時の監査役から真顔で怒られてしまった企画ですね!

Y!Jがブランドとしては確立されつつあったものの、面白みのない、会社という感じだったので、ちょっと普通はやらないことやっちゃえって、許可も取らず独断でこれを仕掛けて、ウケた!やった!と思ったら、経営会議で吊し上げられた思い出。井上さんは、ニヤニヤしているだけで怒らなかったけど。

-辞めたから分かるヤフーの良さというものはありますか?

最近のことはわかりませんが、僕が入った時には、社員がまだ500人も居なかったんじゃないでしょうか。スタートアップの雰囲気と素早い動きができてた時で、いろんなバックグラウンドのユニークな人々が集まってて、本当に楽しかった。インターネットを信じてパッションを持っていた人たちと出会え、組織の壁などなくて、ダイナミックに自由に動いてできたカルチャーは本当に素敵でした。他の会社ではそのカルチャーという部分があるようでない。カルチャーを醸成するとはどういうことか、トップダウンでコントロールしなくても、皆がシンクロして動く場とは何なのか、そのようなことを学べる環境と人々がヤフーの良さだったと思います。

-ネクストキャリアを選んだ決め手は何ですか?

直接的にはヘッドハンター経由で孫社長から、MySpace Japanの立ち上げに苦しんでるから、なんとかしてくれというオファーがあったこと。Y!Jに残りながらやるオプションも提示頂いたけど、なんか片足だけつっこんでやるのは、行った先の仲間に失礼だし、自分も退路を絶たないと甘えちゃうよな、ということで、後ろ髪を惹かれながら出ることにしました。

その後は孫社長の海外事業戦略と展開に結果的に関わることになり、インド、東南アジアへの進出、米国への進出と投資などをリードしてきました。結果的に、Y!Jからはじまってソフトバンクグループに12年間ぐらい在籍することになりました。

その後は孫泰蔵と共同創業したMistletoeでDeeptechやAIで社会インパクトを生み出すスタートアップへの投資と育成をやっていて9年目になるので、孫兄弟に合計20年ぐらいかかわることになった。そのスタート地点がY!Jだったということで、人生の大きな転換期になったわけですね。

-現在のお仕事は具体的にどんな内容でしょうか?

孫泰蔵と共同創業したMistletoeを通じて世界の170社ぐらいのスタートアップに投資をしているので、そのスタートアップの成長支援が一つ。
新たに、The Edgeofという会社を孫泰蔵とともに共同創業し、SoftBank Venture AsiaというVC会社を2023年に100%買収。広域アジアのスタートアップエコシステム構築とAIに特化した投資活動を開始することになり、2024年の夏から稼働する予定です。

アジアの各国のスタートアップ環境はサイロのようになっていて、各国でスタートアップ支援の枠組みが閉じてしまっている傾向があるので、この枠を超えてアジア全域でのエコシステムを構築することを意図しています。そしてシンガポールを拠点にしていることにも意味があります。シンガポールは小さい国で単独で何かをすると言うよりもアジア全域とどう連携していくかと言うことを常に考えてきた国なんです。政府もスタートアップ支援に力を入れていますし、スタートアップ経営者もとても若い人が多いです。

AIの大きな波は、私が体験したInternetの波よりもさらに大きなインパクトがあると感じていて、その最先端に関わることに非常にエキサイトしているとともに、非常に大きなポテンシャルがあるアジアの可能性をアンロックするために、エコシステムをアジアの今後数十年の成長に貢献すべく構築することはさらなる喜びとなっています。

-現在の仕事の面白いところや素晴らしいところを教えて下さい。

若く才能のある世界の、そしてアジアの創業者の方々にお会いし、意気投合して、投資と支援を行い、成功や失敗をともに味わいながら、次の世の中をよくするイノベーションを成長させ、創業者の方々の成長に関われることは、自分のライフワークとしても素敵だなと思っているところです。

-今、特に力を入れていることは何ですか?

仕事面では、エコシステムを支えるための、創業者と投資家をつなぐAIプラットフォームを自ら企画して自社開発していること、35年前の修士論文がAIとロボットデザインをテーマにしていたため、再び最先端のAIに関われることは最高です。

-ご家族以外で尊敬している方がおられたら教えて下さい。

やはり、直接働いた孫社長、そして、現在のビジネスパートナーである孫泰蔵は尊敬しています。

-ご趣味は何ですか?

米国にいるときは、軽飛行機を飛ばすこと(米国在住時にパイロットライセンス取得)、写真と映像撮影、最近はじめた太極拳と10kmランのイベントに参加することです。

-ライフワークは何でしょうか?

現在の仕事の面白いところでコメントしましたが、若い起業家の方々を支援し、次世代をよくするイノベーションに関わり続けることです。

-これからチャレンジしたいことは何ですか?

広域アジアのスタートアップエコシステムを仲間と構築すること。これはアジアのスタートアップの発展を大きく左右する活動だと思っています。

-モトヤフやnote読者に伝えたいメッセージをお願いします。

ずーっとY!Jのサービスを使っていましたが、最近はほとんど使わなくなってしまいました。イノベーションのジレンマというものでしょうか。平均点以上のサービスがたくさんあると思いますが、これはベストだよねっていうものがなくなってしまっている気がします。

いろんな壁を打ち破るパッションと行動力が今こそ必要なのかなって、勝手ながら思ってしまいます。スタートアップの方々といっしょにやるプロジェクトとかM&Aとかどんどん仕掛けて、新しい風を吹き荒れさせる時かもしれません。

普段はシンガポールにいて、あまりリアルのイベントなどには出席できませんが、ヤフーという素晴らしいカルチャーを体験した仲間として、何か私が貢献できることがあればお手伝いさせて頂きたいなと思ったりしました。

-大蘿さん、本日は大変ありがとうございました!

(本日のインタビューは川村英樹が担当しました)

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