規格外の才能で社内外で大活躍!! 高橋正興さん 〜モトヤフインタビュー〜
-お名前をフルネームで教えてください。
高橋正興(たかはし まさおき)です。
声優としては「成瀬 一興(なるせ いっこう)」、児童文学作家としては「とうじょうさん」という名前で活動しています。
-お生まれはどちらですか、またどちらにお住まいですか。
港区の病院で生まれて、少年期を五反田で過ごし、その後芝浦へ。結婚後は港区・杉並区を経て、現在は吉祥寺に在住です。ずっと都内をうろうろしてますね。
-差し付かえなければ、ご幼少期から現在までのおおよそのプロフィールを教えてください。
小学校は、千代田区立永田町小学校に越境で通ってました。岸田首相も同窓です。国際親善校だったこともあって、マイケル・ジャクソンが来訪したこともありました。マイケルが真横に立った時の強めの香水の香りを鮮明に覚えてます。
中学・高校は、筑波大学附属駒場中高等学校でした。周りに優秀な人が多かったので人格形成に紆余曲折がいろいろありまして(笑)。そのあたりのことは「筑駒の研究」(河北新書)という本のインタビューで少しお話ししています。
大学は早稲田大学の法学部に進みました。法学部に入った割に、さっさと弁護士とか国家公務員の道を諦めたので、ほぼ4年間サークル活動(放送研究会)にのめり込みました。
卒業後はCSKに新卒入社しました。ヤフーの社長をされた小澤さんや現CFOの坂上さんなどもいらした会社ですね。そして2006年4月にヤフーに転職し、7年くらいサービス作りに従事して、2014年からはコーポレートコミュニケーション本部に所属して、現在に至ります。(昨年10月にLINEヤフーに合流)
-ヤフーでの所属部門はどちらですか?
現在は、コーポレート部門の「コーポレートコミュニケーション本部」というところに所属しています。そこで広報と社内広報のチーム運営やDX化、人材育成の業務にあたっています。
2014年から9年間は「インターナルコミュニケーション(IC)」の担当として、社内イベントの運営を統括したり、映像やWebの社内報を作ったりしてきました。個人的には、両国国技館でヤフーグループの8,000人が参加した社員大会を開催した際の思い出が大きいですね。国技館中央の360度ステージに登壇する方のスピーチ指導や、8000人の席決め・誘導、全員の集合写真を撮るための音頭を取ることなんて、なかなかできないことなので。
さらに、社内ではYahoo! JAPAN公式アナウンス部という有志団体を立ち上げていまして、部長として会の運営や、皆さんの練習指導にあたっています。この団体は年間で100件以上、社内外向けのイベント司会や映像ナレーションの仕事を受けています。
個人としては副業届を出して、ナレーターや司会者、声優、劇作家、舞台俳優、児童文学作家等としても活動しています。
-社会人劇団「みなとミュージカルカンパニー」の代表も務めておられますが、大学で演劇活動などはしていたんですか?
大学時代には演劇活動はしてなかったんですよ。もともと「ラジオドラマを作りたい」という想いが強かったので、それを実現できる「放送研究会」に入ったんです。モトヤフでいえば、「Yahoo!グルメ」PMだった中澤雄一郎さんとか「みんなの政治」PMだった阿南愛さん、LINEで言えば役員の舛田淳さんとか落合紀貴さんなどと同じサークルで過ごしました。
で、ラジオドラマを作るために音響技術を学んでいたんですが(当時はオープンリールやMDなどを使っていました…古いw)、そのサークルではアナウンスの技術も学べたので、それも面白くて熱心に練習していました。ただ、就活の頃になって同期の影響でアナウンサー試験を受けながら、「いや、アナウンサーになりたかったわけじゃない。ラジオドラマを作ることが楽しかったんだから、むしろ声優をやりたかったんだ」ということに遅まきながら気がつきました。
で、就職してから勤務の傍ら声優・ナレーターの専門学校に通うようになりまして。そして、そこで出会った同級生に誘われてミュージカルのオーディションを受けて、舞台に立つ機会を得ました。初舞台の時は千人を超える観客を前にして、武者震いなのか震えが止まらなくなったんですよ。
一言目のセリフを口に出したらその震えがスッと収まったんですが、震えるほどの緊張をすることなんて人生でしたことがなかったので、それで舞台に立つことを強烈に面白いと感じたんですね。そんな経験が、社会人生活を通して演劇に取り組むきっかけになったんだと思います。
その後、舞台を一緒にしてきた仲間たちと「みなとミュージカルカンパニー」という社会人劇団を立ち上げて、細々とアマチュア舞台活動を続けていければいいなと思いながら過ごしていたんですが、縁あってレジェンドとも言える声優の小原乃梨子さん(のび太役・ドロンジョ役・未来少年コナン役など)のもとで声の表現を勉強することができるようになりました。
朗読の舞台や、お話し会などのステージを十年以上ご一緒させていただいて、そのうちに小原さんがプロデュースしている朗読CDにも出演させていただけることになったんです。その収録現場で、初めて「お金を出して教えてもらう」レベルのダメ出しではなく、「一緒に商品となる作品を作る」ためのダメ出しをもらえたんですね。
その非常にシビアなレベルの指摘によって自分の新しい芝居が引き出されるっていう経験がとても刺激的で。それで、このレベルで成長していくためにはアマチュアの趣味ではなくて、プロになって仕事として引き受けなくちゃダメなんだと気づき、きちんとプロになろうと思い直して35歳で再び声優の専門学校に入りなおしたんです。
20歳そこそこの学生が多い学校で、子持ちの私は「パパ」というあだ名で呼ばれていました(笑)。卒業後は声優事務所に所属し、ナレーションや外画の吹き替えの世界に本格的に入っていくことになりました。現在は81プロデュースという声優事務所に所属して活動しています。(事務所の先輩には、ばいきんまん役の中尾隆聖さんや、名探偵コナン役の高山みなみさんなどもいらっしゃいます)
小原乃梨子さんの朗読CD紹介ページ
声優「成瀬一興」の紹介ページ
-「みなとミュージカルカンパニー」の活動について教えてください。
私が代表を務めている社会人劇団です。創立が2007年なのでもうかれこれ17年目を迎えています。「ミュージカル」と銘打ってあるように、最初の数年は毎年オリジナルミュージカルを作るという気合の入った劇団でした。
ミュージカルって、普通のお芝居(ストレートプレイ)に比べて、歌とダンスのある分、制作の手間も時間もお金も3倍かかるんですが、よくやってきたなと振り返って思います。毎年お客様も千人近くいらしてましたから広報や受付周りも大変でしたし。毎年公演するごとにみんなヘトヘトでした。今はもう制作コストをグッと抑えて、年に一回くらい、ミュージカルに限定しないで、規模も小さめに、社会人が楽しみながら作れるくらいでやっています。
僕は俳優として出演するだけでなく、劇作家として、オリジナル作品をいくつか提供したり、演出として携わったりもしています。自分の作品を人に演じてもらって、お客様に見ていただける場というのは望んでもなかなか得られるものではないので、心底感謝しながら、日々のアイディアを披露できる貴重な場と思いながら取り組んでいます。
「書くこと」はもともと好きで、高校時代の将来の夢が実は「脚本家」でした。全然お芝居書いたことなかったんですが。夢先行型ですね(笑)
大学時代にラジオドラマの脚本は少し書いたりしたんですが、書くことが一段と楽しくなったのは「せりふの時代」(小学館・劇作家協会)という戯曲の専門雑誌に投稿したコントが審査員のいとうせいこうさんに褒められたことがきっかけです。「誌上添削」と銘打ってあるコーナーなので直されるのが前提なんですが、僕の作品について「直すところはないので全文をそのまま載せます」と褒めてくださったのが嬉しくて。
なんとなく「自分が面白いと思ったものが、他の人から見ても面白いと感じてもらえるかも」と感じて、その後調子に乗ってたびたび投稿して、他のコントや短編戯曲も掲載してもらえたりしました。それを読んだ方に勧められて、Jーwaveで念願のラジオドラマ脚本も書かせてもらえたのはすごく嬉しかったですね。
不思議な縁なのですが、妻も学生時代から書くことが好きだったようで、今、妻と共著で児童文学を書いてます。「はじめて王国」というシリーズもので、小学館から現在3巻まで出していただいています。
今は台湾版、中国版も出版されていて、さらに他の国へも展開予定です。もともとは編集部から妻に打診があった仕事なんですけども、僕も戯曲を書いている実績があったので、「では共著でやってみては」と声をかけていただけて。おかげで夢にも思ってなかった児童文学の世界に入らせてもらいました。
読み手が就学前後の子どもたちということで、とりわけ使う言葉に気をつけて書いています。毎回妻とアイディア構想から推敲までダイニングテーブルで話し込んだりしますが、こういう形で妻との共同作業をできることが面白いし、嬉しいですね。この機会を生み出してくれた妻に大感謝です。実はこの作品はミュージカルにもしていただけて、日本の各地で上演されています。
こうして振り返ると、いろんな形で自分の書いたものを多く方にご覧いただけて、本当にありがたいばかりだなあと改めて感じますね。
はじめて王国紹介ページ
-社内外でも幅広く活躍されているYahoo! JAPAN公式アナウンス部を立ち上げられた経緯や活躍の様子についても教えてください。
2015年の1月に立ち上げたので、丸9年活動しています。一言で言えば「有志社員による司会・ナレーター集団」です。
立ち上げた時期に「司会をお願いできないか」「ナレーションをしてくれないか」といった個人的なお声がけをいただくようになっていて、ぼちぼち社内で「喋り」についてのニーズが増えてきているのを感じていたんです。社内外に向けたイベントも増えていて、映像制作をする人も社内に増えてきていました。
だけどそのような依頼は「身近にいる喋りの上手い(上手そうな)人」にお願いするパターンが多くて、必ずしも「きちんと訓練された人」に頼めるようなマッチングができてないなと気づいたんです。せっかく企画して台本を作って映像やイベントの準備を積み重ねても、最後の司会やナレーションの腕がイマイチだと残念な仕上がりになってしまいます。そういう場面を何度か見て、本当にもったいないなと思っていたんですね。
ちゃんと訓練を受けた人が司会やナレーションを担当すれば、仕上がりの質をもっと引き上げられるのになと。そこで「喋りの仕事を引き受ける旗」を立てることにしたんです。「アナウンス部」という旗をわかりやすく立てたら、そこに喋りの仕事を引き受けたい人が集まってくるし、訓練された人にお願いしたい案件も集まってくるだろうと。そうやって最初に集まった数人で、僕がそれまで各地の養成所やスクールで学んできたアナウンス技術訓練をベースにして、一緒に練習するようにしたんです。
この9年でメンバーも増えてスキルアップも進んで、今では15名のメンバーが年間100件以上のイベント司会、動画ナレーションの仕事を引き受けています。社内向けのイベントに限らず、社外向けのアワード、記者会見やカジュアルなショーの司会、サービスの説明動画やWeb広告CMのナレーション、電話応対のガイド音声など仕事の種類も非常に多岐に渡っています。メンバーの何人かは社外での仕事も有料で引き受けている「プロ」なので、まさにプロレベルの仕事を社員が提供できる体制になってきているといえます。モトヤフのイベントで司会をされている飯島聡美さんもアナウンス部の出身ですよね。
特にコロナ後はナレーションニーズが急増していますが、映像ニーズの高まりに合わせて必ずナレーションのニーズも増えるなと思い、早めにナレーターを育成しようと取り組んできた成果が実を結んでくれたのが嬉しいです。社員の「才能と情熱を解き放つ」場を作りたいと思っていたことが、ここで結実できたと感じています。
おかげさまで、アナウンス部の活動で2017年にGOOD ACTION アワードも受賞しております。
GOOD ACTION アワード紹介ページ
-更に現在、壌晴彦さんと一緒に朗読『新平家物語』をライブ配信されていますね。
本当に、最近のことまでよく調べてくださっていますね(笑)。頭が下がります。縁あって、俳優の壤晴彦さんと「美しい日本語を楽しい作品で次世代に残していこう」という思いを共有しあいまして、お互いにボランティアでYoutubeに朗読を配信する企画に取り組んでいます。
毎週月曜から金曜まで毎日1話ずつ配信するという超ハイペースでやっているので、2021年の年末に開始して、今年ですでに650回をこえる配信をしています。こんなに長く一つの作品を朗読するなんて、もしかして日本最高記録を出しているんじゃないかしらと思っています。壤さんは古典を語れる俳優を育てたり、学生向けの無料講座を開催したり、次世代に日本語や日本文化をきちんと残したいと切に願っている方なので、僕も精一杯応援したいんです。ビジネスマン向け発声講座の開催もお手伝いしていますが、あの発声を身につけると人生が変わります。声って一生ものの技術だなとつくづく思いますね。
壤さんといえば、演出家の蜷川幸雄さんが世界に進出した時に主演を務められていた舞台俳優のレジェンドですし、声優としても「スターウォーズ」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」、そのほか多くのディズニーアニメ作品で活躍してこられている唯一無二の声の持ち主です。僕は「今の日本で最高の語り手」だと思っています。その語りを、毎回の収録の時に目の前50センチのところで聴かせていただいてるという本当にありがたい経験をさせてもらっています。この経験をちゃんと自分の声の表現に取り込んで、自分自身がもっと上質の語り手になれるよう努めていきたいですねぇ、、、。
朗読「新平家物語」紹介ページ
-これからチャレンジしたいことは何ですか?
LINEヤフーでは現在「AI」が大きいテーマになっています。まず自分がしっかりAIを使い込んで、業務への活かし方や社内への広め方のアイディアを膨らませて、コミュニケーション領域を中心に全社のDXを強く進めていきたいと意気込んでいます。
また副業については、これまで色々な領域に「広げる」ことを続けてきた気がしますので、これからはその一つ一つをもっと掘り下げて、磨きこんでいきたいと思っています。
「はじめて王国」シリーズは今年4巻の刊行を控えていますし、アナウンス部も若い方が次々と入部してくれているので次世代のために私抜きでも切磋琢磨し合える組織にしていかないといけないと思っています。また、声優として、ナレーターとして、劇作家として、舞台俳優としても、もっと経験を積んでいい作品を作っていけるように精進します。壤さんとの取り組みは今年「新平家物語」の朗読が全話分完結するので、さらにその先の取り組みをしていく予定です。
そして、特にインターナルコミュニケーション(IC)の分野については、今年本を出させていただく予定なので、それを皮切りに、LINEヤフーという自社だけにこだわらず、会社の枠を越えて業界全体で互いに学び合って、どこの会社でも質の高い社内コミュニケーションを実現できる世界を作っていきたいと思っています。これまで9年間取り組んできて「ICは、社外リソースを取り合う競争がないので、もっとも会社同士が学び合いやすい領域だ」と実感しています。それを実践するための企画をいくつか仕込んでいますが、先行して現在「深掘り!ICPセッション」というシリーズ企画に取り組んでいます。他にも新しいメディア作りを中心に企画していく予定ですので、応援していただけると嬉しいです。
深掘り!ICPセッション紹介ページ
-モトヤフや読者に伝えたいメッセージをお願いします。
2006年にヤフーという会社に入った初日の衝撃は今でもよく覚えています。六本木ヒルズのフロア内にいくつも暖簾のかかった作業ブースが並んでいる中で、入社初日だからとスーツを着てきてしまった私はそのカルチャーに驚くばかりでした。
そこではみんな自由で、情熱に満ちていて、意見をはっきり言い合い、それでいてきっちりするところはしていく真面目さもある。インターネットの可能性を信じて、やりたいものを形にしていくパワーが本当にすごいところだと感じました。あの環境を共にできた皆さんからはこれからも一生、たくさんの刺激をいただき続けていけると思っています。
私自身は当面、LINEヤフーという場で、ヤフーという会社とLINEという会社の、文化も遺伝子も異なる2社の社員たちが一つになっていくまでのICや社風作りを支えて、見届けていこうと思っていますので、何かLINEヤフーでご用がある時は遠慮なく窓口の一つとしてお使いください。
「UPDATE JAPAN」という思いは、一社だけでは実現できないものですので、どんどん交流しながら、お互いにそれぞれの場で頑張っていきましょう。思いは一緒です!
そしてどこかでお会いできた際はぜひお酒飲んで話しましょう!
じゃんじゃんお声がけくださいませ!^^
-高橋正興さん、本日は大変ありがとうございました!
(本日の高橋さんへのインタビューは飯島聡美と川村英樹が担当しました)
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