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#04 活動記録:紆余曲折の、末の落着

 お久しぶりです、立天編集部 部長です。今回は前回の更新からしばらく期間が空いてしまった原因のお話とその活動記録となっております。


 3/28、宇治のサイゼリアにてある企画が誕生した。それは、天文と他のコンテンツを融合させた企画を行おう!という一見すると名案…しかし多くの問題を抱えた企画だったのである。

企画を思いついたなら

 筆者と会計がお世話になっているパーラー喫茶結社様、そしてそのパーラー様で知り合った、テトラポット様というブルーグラスバンドに所属しているゆいとなかむら様に声をかけ、「天文・喫茶・音楽」のイベントを企画し始めた…

草案編

 筆者こと会長にはある夢があった。それは外部の方とコラボをして一般の方むけの活動をしたい!というもの。
会計の先輩と宇治旅行にいった際、サイゼリアでサークルの企画の話となり、ふと漠然と考えていた案を話す。それは天文解説を音楽ライブ、そしてコーヒーやお茶なんかを楽しめるイベントなんていいよね!という案。
 開催地は鴨川デルタ。音楽はつい最近知り合った音楽活動をやっていらっしゃる方。飲み物はパーラー様にお声がけしよう。なんて草案は固まっていき、気がついたらお二人にDMを送っていた。
 企画の内容としてはまずテトラポット様の音楽ライブを30分ほどおこない、参加者にはパーラー様のコーヒーをお出しする。暗くなってきた頃合いで天文研が天体解説を行い、その後に望遠鏡を覗いていただく、というものだ。しかし、企画書。やはり企画書をつくらねば話が始まらない。宇治から帰った私は即刻その着手をした。

初期の企画書

交渉編

 宇治から帰って次の日、企画書をもってパーラー喫茶結社様の店主さんにお話を窺うと、出展自体は構わないというお返事をいただけた。
しかし、飲食を伴うというのは素人目からみても行政の規則が厳しそうである。その件について質問すると、もちろん飲食物の提供には多くの制約と規則があるという。
 どうやら、この企画書の通りに行おうとすると飲食物の提供にあたって、鴨川の管理者の許可を取らねばいけないのと、パーラー喫茶結社様が参加者から直接お金を受け取ることはできないとのこと。また、提供方法はその場でコーヒーを淹れることも可能であるが、ケータリングというあらかじめ作ったのものを提供するほうが申請が通りやすいそうだ。
そんなこんなでその日は帰宅。
 その夜に、ゆいとなかむら様とZOOMで交渉。初めてのZOOM会議ということで緊張のあまり私が暴走してしまう一幕も見られたが、会計役の先輩のナイスフォローもあり、前向きに考えてくれるそう。バンドとしての日程はすぐには答えられないが、メンバーの方にはお話をしてくださるということで纏まった。
しかし、音楽というものの特性上、参加者と非参加者の区別が難しいのではないかというご意見もいただいた。

考察編

初期の案に修正を加え、企画書を作り直す。

ブラッシュアップ版


 二団体様に出演の許可を頂いたところで、計画を詰めなければならない。
具体的には

  • 会場の確保

  • 会場の設営

  • 広告、告知の準備

  • 参加者の区別の方法

といったところか。
会場の確保については紆余曲折あったので一旦飛ばすと、まずは会場の設営である。これは音楽ライブを行うのには明かりが必要だが、星を見るには明るくではダメ、ということで暗い場所を明るくしてライブを行う必要がある。また、会場にはテントや多くの椅子等も必要になるため、どこかの業者様からレンタルする必要がある。ひとまずはレイアウトを考えねばならない。

初期案

 これが最初に完成した会場レイアウトだ。だいたい13m四方に収まり、音楽の鑑賞や星空の観測に問題がないものとなっている。
しかし、ライトにはここから必要な電気を引かねばならないので膨大な電力供給が必要だ、ライトにお金がかかる上に、バッテリーにも費用がかかる。無料での開催は望めなくなってしまった。

 次に広告、告知についてだ。
 一般の方を対象にしているということは、前々から告知をしなければならない。5/11に開催するなら一月前の4/11には告知が必要だろう。
ということで、デザインの基本のキも知らない素人がビラを急いで作ることになった。

我ながら頑張ったものである

 キャッチコピーも一緒に考え、あとは日程や値段、出演者の紹介をすれば出来るところまでなんとか完成することができた。

 最後は参加者の区別の方法だ。
 今回のコンテンツでコーヒーと望遠鏡は枠の中、つまり参加者しか享受することはできないが、音楽と天体解説はお金をはらっていない人でも楽しむことができる。そこで、カラーコーンをなくし、音楽ライブ、天体解説時の椅子の使用等を許可する代わりに、コーヒーの受け取り、望遠鏡の使用はチケットの提示を要求する形になった。これなら料金を払った払っていないの違いを生み出し、お金を払った人がよりよい待遇を受けることができる。それにともない会場レイアウトも変更されることとなった。

枠がなくなったのが分かるだろう

 というわけで、開催場所以外はなんだかんだと決まり、あとは開催場所の条件にアジャストしたり、設備の見積もりを出すだけの状態になっていった。


交渉が会場を生む

鴨川デルタと鴨川沿線

 まず、会場として白羽の矢が立ったのは鴨川デルタ。ここなら一定の暗さがあり、かつアクセスも良ければ広さも十分である。これならいけるだろうと考えたものの、イベントを行うのだから下調べをせねばならない。そこで調べてみることにした。すると、

京都市内を流れる一級河川 鴨川と高野川の一定の区域においては、京都府鴨川条例に基づき、平成20年4月1日からバーベキュー等(火気を用いて食品を焼くこと)を禁止しています。知事の指定する職員の中止命令に従わない場合は、5万円以下の罰金が科せられます。
 《禁止区域》
 ・出町柳近辺
   鴨川 葵橋より上流50mから賀茂大橋より下流50mまで
   高野川 河合橋より上流50mから鴨川合流点まで
 ・柊野近辺
   鴨川 高橋から庄田橋より下流50mまで

京都府よくあるお問い合わせ

とあるのだ。火気の使用=喫茶の要素に抵触してしまう。パーラー様の出展形態はともかく、これではデルタは保留である。この時点ではケータリングか否かの判断はついていなかったのだ。しかし、火気の使用についての条項をみると出町柳付近は賀茂大橋より下流50m以降なら火気の使用が出来るとあるので、宇治の帰りにロケハンに行くこととした。




夜の鴨川、暗さは十分である

 画像の通り、京都市内では暗さは十分。広さもあるしアクセスもよい。これなら満足ということで、次に管理者に連絡しイベントの許可を取る。
今回は天文研究会の身内で行うのではなく飲食提供、音出しアリかつ一般の方を呼び込む大イベント。企画がなにかの規約に抵触したら一大事だ。翌日、調べてみると鴨川の管理をしているのはどうやら京都土木事務所らしい。早速電話をかけてみる。結果は…駄目!!!
どうやら、鴨川は団体による企画を沿線で行うことを是としていないようだ。つまり、個人の集まりがなにか行う分には問題ないが、企画者団体とその参加者、という形でのイベントは認められていないらしい。
思えば、鴨川でイベントやってる会社とか団体っていないよね…
 サークルが勝手に使う分には問題ないそうだが、今回のケースはもちろんダメ。
という訳で次の候補にいってみよう。

上賀茂神社

 上賀茂神社は個人的によく天体観測に行くのだが、芝の区域は開けており光源もすくない絶好の天体観測スポットである。

上賀茂神社の芝。


 京都産業大学の天文サークルも活動をおこなっていて、我が天文研究会も観測会を打診したことがある。(その時は雨天中止になってしまった。)
 まずは鴨川の一件から事前に似たようなイベントがないか情報収集。
すると少し前のものだが、京都パン祭りなるものを発見。どうやらコーヒーも販売しているようだし、一安心。

飲食の販売は大丈夫らしい


コーヒーの物販も行っている

 次は音出しの確認である。こちらは葉加瀬太郎の音楽ライブを舞台で行っていた事が判明。スケールは違うがこれより音が小さければいいのでモーマンタイ。勝ったな!と思いながら社務所の方に早速お電話。
結果の中身を要約すると、
「飲食を伴うイベンt…」
飲食はアカンわ、ごめんなさいね。
電話をかけた先輩いわく一蹴だったらしい、縁日とかパンのイベントはなんだったのか…しかし断られてしまったものはしょうがない。
どうやら、芝での飲食行為を上賀茂神社は禁じているそうで、参拝の際に持ち込んだペットボトルを飲む(その行為を目的として訪れていない)には問題ないが、今回に関してはもちろんダメ。
言われてみれば、たしかにそうかも???
とにかく次、次!

宝ヶ池公園

 宝ヶ池公園は市の中心から北東方面にある公園で、近くには国立京都国際会館があったりもする。

デルタの真上である
街灯も少なそう

 池ということで開けているし、音出しや飲食を伴うイベントも前例がある。
どうやら管理者は先ほどの京都土木事務所様ではなく、京都市 土木みどり事務所様らしいということでお電話すると…やっぱりダメ!どうやら、以前行われた音楽イベントで近隣の方から苦情が来たらしく、それ以来事務所の方が音出しに対して敏感になってしまっている様子。その上、公共の施設ということで、料金をとることで土地を専有するということがいただけないそうだ。(このときはレイアウト改善前であった。)しかし、音量のことを説明すると後日ヒアリングを行った後に検討ということになったので、ひとまずロケハンをすることに。
 お昼に到着して場所を確認。広場もあれば、開けてもいる。行けるか???と考えたが重要なのは光源の多さである。夜にならなければ意味がないのだ。


東側のロケーションは中々


お誂え向きの広場

夜の様子は語るより見た方が早いだろう。
写真がこれである。

明るい!!


明るい!!



東も明るい!!

 奥にある芝生広場を利用しようとも考えたがハロゲンランプが強烈すぎて話にならない。これはどうしたものか…
とはいえ、ヒアリングをして場所の許可が出れば、企画自体はできるのだ。最悪、学校という手段はあるが、ここまできて学校内でやるのは納得できない。一旦、北大路ビブレのサイゼリアで作戦会議をする会長と会計であった。
 明るいというのは致命的だし、アクセスが悪そうであるというのは行ってみて感じた。バスがあるのは確認済みだがバスについて改めて確認してみる必要があるだろう。
 すると、そこには…

!?

 日曜日に一本だけって…たしかに205系統で赤字ならここで黒字はそりゃないけどさ…絶対に人が来ないなら集客が見込めないから無理じゃん。
 しばらくサイゼリアでうなだれた後、ふと私は気がついた。
今日ロケハンした場所は公園の西側だけだということに。ぶっちゃけ疲れてもう帰りたいが、出演してくださる方たちへの思いと学外でイベントを行いたい自分たちのプライドは譲れない。サイゼリアの会計をサッサとすませ、21時を回って閉店作業を進めるお店を横目に、地下鉄に乗り込む私達であった。
 北大路ビブレから地下鉄にのり電車に揺られ、しばらくすると国立京都国際会館駅にたどり着く。
 今、目指すのは桜の森というゾーン。グーグルマップでは光源もなさそうだし、開けている。ここで希望をつなぎ、明日のヒアリングに望みたい。
鹿|《しか》し、そんな気持ちで現場に到着した我々の目に映ったのは、大量の鹿とライトの群れだったのはなんとも悲しいことであった。
国際会館が近いおかげで整備させれた公園は煌々と星の光の妨げてそれはそれは見にくかったのだ。

明るい!!!


鹿の影が見える

鹿《しか》たないので諦めて帰ることにする。
あとは学校しかなさそうだ。

ヤケクソの筆者
折角だから写真をとったが、もう笑うことしかできなかった。

立命館大学

 もうプライドがなんだかんだ言ってはいられないので、意気消沈しつつも学校で行う際のメリットを考える。一つは設備の心配がないこと。もう一つは集客が多いことを予想できることである。
 音楽ライブをキャンバスの広場でおこない、校舎の屋上に移動し天体観測を行う。二つの場所を使えるというのはとても大きい。
というわけで、立命館大学のサークル運営マニュアルを覗いてみる。

これ以外にも音量やスピーカーの向きも指定されていた

 なんと毎週火曜日木曜日限定で、かつお昼しか使えない。マニュアル通りなら企画が潰えてしまう可能性さえでてきた。こちらの企画は土曜日19:00から。規則抵触どころの話ではない。とにかく電話で確認することに。どうやら学生オフィスは一応が考えてみてくれるそうで、資料を送信し確認をし会議の後に結果を教えてもらう手筈となった。

落ちとオチ

 結果から言えばこの企画は落ちた。
パーラー様で店主さんと雑談をしていると先輩からラインが、学生オフィスから否決の連絡が来たらしい。
店主さんにその事を告げ、ゆいとなかむら様にもDMの方でお伝えした。

 宇治で閃いてから8日間。色んな資料を確認して、慣れないエクセルをつかって、基本も知らないのにデザインして、出来るかわからないのに駆け回った。
春休みももう終わりがけだが、こんな濃い一週間はこの期間には全く無かった。本当に楽しかったし、色々なことを学べた。
このノートもパーラー様で書いている。自分自身や後輩がこの記事を見直して参考になることがあれば幸いだ。

クヨクヨしてはいられない、失敗はまた次に活かしていければいいのだ。
明日から学校だ、新歓にも力を入れなければ。そう思う4/4の昼であった。

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