見出し画像

#5 覘の5月号 増刊号(と反省会)

閲覧していただきありがとうございます。
ついに5月になってしまいましたが、皆さん如何お過ごしでしょうか。
お久しぶりです。立天編集部 部長です。
月初めということで「覘」の配布になりますが、今回の記事の補足とアレコレの反省をしていきたいと思います。


「覘」5月号

オモテ


ウラ

今月の記事

神話紹介

今月は「熊の親子と嫉妬の女神」ということで、カリスト親子とヘラの一件についてご紹介しました。
おおぐま座というのはほぼ一年中見ることができますが、分類としては春の星座ということになるようです。北斗七星、綺麗ですよね。

北斗七星

この気持ちがわかっていただけるかは分からないのですが、おおぐま座を見ようとすると北斗七星で満足してしまって、おおぐま座までしっかり観測することが少ないのですよね…(乙女座もおんなじ)
これはおおぐま座が全天で3番目の大きさをもつことがかなり影響しているのですが、同じ様な方いらっしゃるのでしょうか?

閑話休題。

今回の神話で紹介しました息子のアルカス、実は人の姿でも星座になっています。それが、うしかい座。先月の覘にて紹介した一等星、アークトゥルスをもつ星座ですね。うしかい座は特定のモデルを持たない星座といわれているのですが、アークトゥルスの意味が”熊の番人”らしくアルカスがモデルではないか、という説があります。
二つの姿で星座になるなんて贅沢なやつだなぁと思いますが、思えば罪もないのに神の私情に振り回された苦労人ですので、それくらいはいいか…

また、この話に限らないですがヘラが怖すぎるというのはギリシア神話あるあるです。
ところで…どうして相手女性とその子供に当たるんでしょうか…?
ゼウスに騙されて行為をしてしまったカリストを熊にした上で、休憩できないようにわざわざ北の空に移動させてしまうというのは中々恐ろしい。
[補足:ちなみに大洋の神オケアノスは名作「ローマの休日」で有名な真実の口の神様ですよ。また、英語のオーシャン(Ocean)の語源だったりもします。ラテン語ではオケアヌス(Oceanus)と発音しますからね。]
ただ、ヘラに同情してしまう面もありまして。
彼女はゼウスとは反対にとても一途な上に、清廉です。ヘラはゼウス以外は相手にしないし、そもそもゼウスからのアプローチで結婚に至っています。(その時にはすでにゼウスは他の神と結婚をしていましたが…)
ですので、相手女性に対して当たってしまうのも「それを覚悟で私を選んだんやろがい!!!(怒)」となるもの頷けます。当てつけという解釈も出来るでしょう。
そもそも、ゼウスが浮気性なのが悪いのですよ…ほんっっっっとに浮気ばっかですからね。

  ギリシア神話/系図 ©Shogakukan

この際、姉妹と婚姻しているのは何も言いません。他の神話でもあるあるネタですし、他に相手がいないのに誰と結婚するねん、って話ですから。
ただですよ、家系図で一人から4本も線が出てるってどういうことなんだ…。おそらく夏あたりに触れると思いますが、孫と交わるパターンとかもありますからほんとにどうしようもない。

実はこのようなゼウスの奔放さというのは現実世界が関係しています。
当時のギリシアは都市国家、という社会形式をとっていました。特定の王がいるのではなく、文化を共有し、交流もある複数の都市が同時に並立していたのです。
彼らは自らに箔をつけるために都市ごとに「我々は〇〇神の末裔である!」ということを主張していました。ということは、都市の数だけ神が必要になります。ですので、根拠となるエピソードを創作するのにゼウスがあちこちで子供を作ることとなったのです。(台風になったり、白鳥になったり、牛になったりね。)

なぜなにQ&Aコーナー

「覘」でも触れましたようにギリシア文化というのはローマに輸出され、ローマでも信仰されることとなりました。この時にギリシア語からラテン語に翻訳が行われ、ゼウス(Zeūs)はユピテル(Jūpiter)となったのです。
もちろん他の神も輸出されていきました。他の有名どころですとアルテミス(Artemis)のディアナ(Diana)とかアテナ(Athena)のミネルヴァ(Minerva)とかでしょうか。
一時期はキリスト教の発展や国教化によって憂き目を見るギリシア神話ですが、その血族は今でも西洋で見ることができます。簡単な例をあげてみましょうか。ディアナに関しては英語読みするとダイアナ。ギリシア神話という壮大な神々の物語は今でも世界の中で生きているのです。

また、惑星と神の対応ですが、下の画像のようになっております。
これは機械的に割り当てたのではなく、しっかり根拠があります。例えば、火星は赤く輝きますから軍神アレス、非常に観測が難しい水星は神出鬼没の盗みの神であるヘルメスと中々面白いのです。

Copyright (c) Nagoya University.


反省会

その1

今回最大の失敗ですが、神話紹介についてです。これはそもそも先月にまで遡ります。
先月の記事では乙女座について触れたのですが、これが失敗だった。
なぜなら4月に見える星座は「獅子座」「かに座」「うみへび座」の3つだから。
要は時期がずれていたのです。これには、少し理由がありまして4月はやはり春ですから春の誕生について書きたかったのと、初回ですから有名どころを紹介したかったのです。
また、そのせいで乙女座を紹介したのに戻って獅子座を紹介するのもなぁ、という考えから今回はおおぐま座の神話を紹介する運びとなったのです。
獅子座を取り上げようとした痕跡は実はコラムに残っています。うみへび座のヒュドラはヘラクレスの二番目の難題の相手。こちらもしっかりまとめたかったけど、書くことがないから載っける運びとなりました。
ネタを選ぶって大変ねぇ…。

その2

文字がパンパンだと感じた方はいらっしゃるでしょうか。
そうです。文字がパンパンなんです。こればっかりは仕方ありません。だって書きたいことがいっぱいあるんですもん…。
と、言っているうちは進歩がありませんね。わかりやすい文章を心懸けますので温かく見守っていただけると幸いです。
正直この原因は明らかで、どの層に当てたものなのかが編集者視点でもあやふやなせいです。
学生に向けるのか、一般の方に向けるのか、それともある程度ギリシア神話を理解している人に向けるのか。ここら辺はこれから判断していく必要があるでしょうね。

おわりに

おわりに、今回の「覘」および、増刊号はいかがだったでしょうか。
前回初めて自分で作ってみてかなり好評だったのでよいモチベーションで5月号をつくることができました。
私の作ったものが皆様の人生の足しになれば幸いです。それでは、星降る夜に…。あ、「覘」でも触れましたが、5/6は実際に星が降ります(流星群)のでお忘れなく。流星群についての記事もそれまでには出しますからお楽しみに。
それでは、また。

「星降る夜に会いましょう。」


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?