ショートショート　二億斉藤

旦那がまた変なことを言い始めた。

「3歳と2ヶ月と2日。一花が産まれてから1億秒が経過したよ」

だからなんなんだ。

数字が好きな旦那が喜びそうなことだ。

私が31歳と8ヶ月19日のときは10億秒とか言って喜んでいた。

10億秒経過したところでなに??私は老ける一方だって言いたいの??なんて怒ったのもつい最近だ。

私は彼のどこに惹かれて、結婚して、一花を産んだのだろうか。

周りが結婚して焦っていたことは覚えていて、まぁまぁ顔も整っていて、大手企業に勤めている旦那はすごく条件が良いとは思った。

私、条件と結婚してしまったのかもしれない。

「ねぇねぇ。写真撮ろうよ。記念日だし」

「うん。。。毎日なんか記念日だね(汗)」

旦那の性格に悩んでいる私のことは気にせず、旦那は笑顔で一花を撮影している。

私もあまり乗り気ではなかったけど、娘を可愛がる旦那を否定するわけにもいかず、携帯のカメラで撮影をしていた。

「ちなみに今日は2億秒の記念日でもあるだよ」

「えぇ??」

「美和の苗字が斉藤に変わってから今日で2億秒だよ」

「2億秒って…….6年4ヶ月4日??」

「そんなとことろ。僕、数字も好きだけと、それより好きなのが美和と一花。たくさん記念日作ろうね」

彼は数字も好きなのかもしれないが、なんでも記念日することで、思い出をたくさん作りたいのかもしれない。

そう気づいたとき、また愛情が芽生えた気がした。

(582文字)

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裏お題　二億斉藤

　
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