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ショートショート 記憶冷凍


鍋の湯気を見ながら、私はぼやんりと子供達が肉団子に箸を入れて、各々の受け皿に入れているのを眺めている。

私は好きだったごまだれよりも、なぜかポン酢を受け皿に入れて食べていたことを思い出していた。

大好きだったドラマを録画し忘れてしまった私は好きでもない幼馴染が、偶然録画をしていたから一緒に見ることになった。

彼の両親が作ってくれた鍋を二人で食べながら、ドラマを見ていた。

なんのドラマっだけ??

あんなに好きだったドラマのことを全く思い出せないのに、彼が使っていたお箸や匂い、おたまの色は明確に思い出せる。

「冷凍肉団子解凍しておたから」

旦那の声を聞いてハッとする。幼馴染は肉団子が大好きだった。

私達は肉団子を鍋の中に入れた。マロニーが丁度いい具合に茹で上がり、ポン酢で食べると美味しい。

沸騰された鍋の名で肉団子がお風呂に入っているように気持ち良そうに茹で上がっている。

私、思い出したけど、肉団子を食べてる貴方に惚れちゃったのね。

(410文字)


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お題  記憶冷凍



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