見出し画像

映画45「幸せなひとりぼっち」

泣くわ、そりゃ。
ハスに構えて「こんなもんね」と
鼻をほじりながら観るより
泣いた方が私はいい。

なんだそんなもん!
みたいな「孤独な老人オーヴェ」まではいいが
59歳
ってどうなの(現在50歳のオレ氏)。


トム・ハンクス主演でハリウッドリメイクされているらしい。
それは後で観るとして。

恋人が死んでいて、隙あらば会いたいと思う私。
側から見たら「たかが(別れた)恋人」かもしれないが
幽霊になって帰ってきた恋人だ。
子ども達がいなかったら私もどうなっていたことやら。

そんな私がオーヴェに感情移入しないわけがない。
オーヴェみたいな私。
ドアも直すし、水道も、蛇口も直す私だ。
頑固だし、人は助けちゃうし、おこりんぼ。
オーヴェみたいに愛されない気もするけどね。

ソーニャとオーヴェ。
とても美しいカップルだった。
恋人は私にとってソーニャであり、オーヴェだった。
彼にとっての私もまた。

色鮮やかな美しい日々だった。
目の前にも、それらが広がっているし
見る見ないはその人の好きにしたらいい。

だけど、世界はこんなにも美しく、
人と人のつながりはこんなにもあたたかい。

孤独は悪くない。
ただ寂しさだけはだめだ。
寂しさは人間を蝕む。

私は寂しさから非行少女→虞犯少年になった。
寂しさから嗜癖や不倫、自傷などあれこれあった。
小児性愛の性犯罪被害に遭っていたから
「母が私を嫌うのは仕方ない、だって私が汚いから」
そんな風にも思った。
寂しさは心をどんどん蝕み、食い続ける。
何をしても、褒めてもらっても
私はなぜかまるで満たされなかった。

それを救ったのが恋人だった。
特別な何かをしたわけじゃない。
彼には障害があったし。
だけど、私を100%守ってくれた。
彼がいたら私は怖くなかった。
何も怖くなかった。

寂しくないあの場所に、帰りたい。
そう願うオーヴェの気持ちが分かる。

早く会いたいよね。

おしまい。

この記事が参加している募集

映画感想文

よろしければ投げ銭をこちらへお願いします。 投げ銭をくださるあなたにも私以上の喜びがありますように。