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【プロジェクト紹介】データサイエンスで盗塁記録を塗り替えろ!

立正大学データサイエンス学部 講師 永田聡典

埼玉武蔵ヒートベアーズと立正大学DS学部の「塁感プロジェクト」の全貌を解説

■一芸を磨く、シーズン盗塁記録を塗り替えた取り組み

 2021年シーズンに、埼玉武蔵ヒートベアーズは、球団創設初の地域リーグ優勝を果たしました。この偉業の裏には、本学部との共同事業「塁感プロジェクト」があり、盗塁に特化した挑戦の結果、BCリーグの盗塁記録を大幅に更新(60試合で164盗塁)するだけに留まらず、優勝までも手中に収めることができたのです。
 走力の高い選手によるユニット「武蔵ロケッツ」が盗塁に特化して走力を高めたことにより、出塁率や守備にも好影響をもたらしました。相手チームは、盗塁を警戒するあまり、配球が単調になったりするなど戦略的にも優位に進めることができました。
 そして、盗塁という一芸に特化した取り組みがとうとう花を咲かせました。2022年NPB(日本プロ野球)ドラフトに指名されたのです。指名された選手は、高校・大学ともにプロから注目される選手ではなかったとのことですが、BCリーグ盗塁記録を作ったこと、日本プロ野球の2軍との交流試合等で走力をアピールできたこと、スポーツデータサイエンスを活用したトレーニングに粛々と取り組み続けたことが、気づけばプロが注目する走力を身につけることに繋がりました。

■盗塁の構造を分析し、科学的手法によるトレーニングを継続する

 塁感プロジェクトでは、盗塁に必要と考えられる技術を構造的に分析しました。そして全身選択反応時間を活用し、帰塁にも進塁にも適正なリード距離を選手ごとに決定しました。ウェイトトレーニングにおいても毎回加速度センサーを活用し、脚パワーの向上やバネ機能の増加に着手しました。
 また走速度を高めるためのスプリントトレーニングにも計測機器を試用し、武蔵ロケッツの走力をできるだけ可視化しました。【計測しながら走る→自然と全速力になる→そのときのデータをリアルタイムにフィードバック→次への課題や意識するポイントを整理する→身体意識を変化させ、計測しながら再度、全速力で走る】この一連の流れを繰り返すことによって、走る際の身体感覚とフィードバックされるデータを擦り合わせながら、質の高いトレーニングを積み重ねるように取り組みました。リアルタイムにフィードバック(外在的フィードバック)を受けた選手は、高い意識レベルで機能や感覚を磨くことに集中する(内在的フィードバック)機能やモチベーションが高まった状態でトレーニングを継続することができます。

■選手、コーチと一緒に創り上げていく

 スポーツにおけるデータ活用において最も重要なことは、データの採取・分析・評価だけで終わらずに、選手やコーチと一緒になって課題解決まで試行錯誤を継続することです。データを共有しながらコミュニケーションすることによって、選手の意思決定を良質なものへと促進することに繋がり、個々に合わせたトレーニングプログラム(高めたい機能や、トレーニングの方向性)を提供することができます。データに基づくフィードバックとリフレクションによって意思決定し、ビジョンがはっきり見えてきた選手は、意識すべきことや取り組みのレベルがさらに高まり、より効果が出やすい好循環を生み出します。選手の可能性を信じ、潜在的な技能を引き上げるために、選手に歩み寄りながらデータを活用できる人材がスポーツ界に求められています。

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