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【春弦サビ小説】花弁ふわり、雨。


桜フワフワ舞い
ゆらゆら揺れて
あなたの手のひら
「好」「き」と花弁に
刻めたら この想い
伝えられるのに…

にゃんくしーさん「花弁ふわり」


「春とギター」を妄想バイク🏍で駆け回ったにゃんくしーさん🐱、まだ暴走妄想中ですがお疲れさまです!そのフィナーレ記事にちょこっと載せていた、こちらの歌詞から二次創作です。





春の雨が冷たいなんて、ちっとも知らなかった。

桜の花はすっかり散って、青々とした若葉で空が覆われていくというのに。私の中ではまだ春が消えてくれない。

風に舞ったあの花弁に、この気持ちを込めた飛ばしてしまえたら良かったのに。そうしたら、きっとこの「好き」の気持ちも…

春は雨で押し流されていき、季節が次へ進もうとしている。


何もない日曜日。
ページをめくる音だけが響く冷たい部屋で、私のそばにいてくれるのは、窓をそっと濡らす優しい雨音だけだ。

私は立ち上がって椅子にかけてあったカーディガンを羽織ると、やかんに水を注ぎ火を付けた。シューシュー、と音が鳴り、ティーポットとカップにお湯を注いで温めておく。とっておきの桜の紅茶を取り出してティーポットに注いだ。

蒸らす時間は茶葉の大きさによって異なる。ほどなくして湯気と共に甘く爽やかな香りが鼻をくすぐった。熱さが喉をゆっくりと通り過ぎていく。

好きと言えなかったのは、
答えを知っていたから。

ごめんね、なんて
聞きたくなかった。

「好きなんかじゃないよ」

精一杯の嘘を
ようやく呑み込んで。

いっそ、本当なら良かったのに。


今は雨の雫に項垂れた桜の枝も、
来年にはまたその身に美しい花を付けるのだろう。

その時にはきっと
笑っていられるようにするから。

テーブルに置いていた携帯が振動する。窓の向こう側を無数に落ちていく雨粒を眺めながら、私はその電源をそっと落とした。




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